下は田母神俊雄氏のブログの最新(4月23日)の記事です。
まずは虚心坦懐にお読みください。
安倍政権を支持する
第二次安倍政権が誕生したことは日本にとっての光明である。自民党政権に戻ったからいいと言っている訳ではない。安倍政権でなければ駄目である。
安倍首相は、東京裁判史観、即ち自虐史観に捕われていない数少ない政治家の一人であるからである。
もし自民党総裁選で石破茂氏が勝っていたら日本の復活はできないと思う。彼は靖国神社に一回も参拝したことがないし、これからも参拝しないと明言している自虐史観にどっぷり浸かった政治家である。私はあの第二次大戦をどのように認識をするかが、現在の我が国の国家政策に決定的な影響を及ぼしていると考える。戦前の我が国は悪の帝国で、中国大陸、朝鮮半島、東南アジアなどを侵略して多くの国に迷惑をかけたという歴史認識では、我が国を世界から尊敬される強い独立国にすることは出来ない。
これまでの歴代自民党総裁を見てみるとほとんどの人が、米国占領下で我が国に強制された自虐史観の持ち主である。我が国はかつて悪の帝国であり、戦後アメリカによって民主主義国に変えてもらったという歴史観を持っている。現在の自民党にもこの自虐史観を持つ政治家は多く、そのために我が国は、国を守る体制がいつまで経っても調わない。我が国は戦後アメリカによる占領体制から出発し、昭和27年に独立をした後も、日米安全保障条約によってアメリカに守ってもらうという体制が取られ、今なおその体制から抜け出すことが出来ないままである。外国に国を守ってもらえば、最終的には守ってくれる国の言う通りにせざるを得ない。国策の自由が奪われたままなのである。
自虐史観が、我が国の防衛力整備をどれほどいびつなものにしてきたか、私は自衛隊の現場でいやというほど味わってきた。日本以外の国では、軍は攻撃力と防御力のバランスが取られている。しかし自衛隊は世界でも稀な防御に偏重した軍なのである。自衛隊は攻撃力をあまり持たない。これは極東の米軍基地を守る存在として出発して、自衛隊創立後、半世紀以上も経っているのにいまだにあまり変わっていない。我が国が攻撃を受けたときはアメリカに反撃してもらうということになっている。自衛隊が自ら攻撃力を保有すると、間もなく侵略戦争を始めるからだというのだ。
我が国では、わが国が攻撃を受けたときアメリカが自動的に戦争に参加して日本を守ってくれると思っている国民が多いが、実は日米安全保障条約はアメリカの自動参戦を保障しているものではない。日本を守るか否か、それはアメリカの自由意志に任されている。だから日本が攻撃を受けたときにアメリカ大統領が日本を守ると決心をして米軍に命令を与えなければ米軍は日本を守るために行動できない。そして大統領が決心をしてくれても、大統領の決心の有効期間はわずか2ヶ月である。2ヶ月を経過すると、アメリカ議会の承認を得なければアメリカ大統領といえども米軍を行動させることは出来ない。しからば、アメリカ議会がいつでも日本を守ることを議決してくれるか。私は年がら年中、いわゆる反日法案と言われるような法案が成立するアメリカ議会に、それを期待することは無理だと思う。我が国を侵略しようとする周辺国は、第一撃を加えてアメリカ大統領による日米安保を発動させておいて2ヶ月待つであろう。その後、我が国を本格的に侵略すればアメリカ軍は動けない。アメリカ大統領や国務長官、国防長官などが、尖閣諸島は日米安保の適用対象であると言ったことで安心している場合ではないのである。
戦後の我が国は、東西の冷戦構造という戦後日本の復興にとって極めて恵まれた国際情勢があったことを認識しなければならない。冷戦間のアメリカの第一の戦略目標は、ソ連の封じ込めであった。そのためにアメリカは地政学的に日本列島を必要とした。世界地図をさかさまにしてみれば分かりやすいが、ソ連の太平洋進出を日本列島が完全に邪魔している。また日本の国民生活が安定しなければ、ソ連の盾にはなれないということで、冷戦間のアメリカは日本の戦後復興にも比較的協力的であった。戦後復興を成し遂げたのは歴代自民党政権の称賛されるべき功績であるが、そのような恵まれた環境が味方していたことも忘れてはならない。しかしどんどん経済発展する中で自民党政権が立党時の綱領に書き込んだ国家の完全独立を次第に忘れていった。「アメリカに守ってもらうのも悪くない」と思い始めたのである。
それでも冷戦終結までは、我が国が国を守るということを忘れた弊害が顕著に現れることはなかった。日米の国益は重なり合う部分が多かったからである。しかし冷戦終結に伴い、アメリカの戦略計画の変更があり、我が国が国を守ることを忘れた弊害が顕著に現れることになった。冷戦が終わって1991年、アメリカの第一の戦略目標は、ソ連の封じ込めから日本とドイツの経済力を抑えることに変更されたのである。アメリカは、もはや世界大戦争が生起する可能性はなくなり、これからは経済戦争の時代になると予測したのである。
経済戦争の時代には日米の国益が一致することはあり得ない。アメリカの言う通りにしていたら日本は損をすることが多い。しかし我が国は冷戦間の惰性から抜け切れずに、日米構造協議、年次改革要望書の交換などを通じて悉くアメリカの言う通りにしてきたのである。それが改革であり、グローバルスタンダードに合致させるということである。この二十年の改革で良くなったものがあるかと言えば一つもないのではないかと思う。改革の結果、みんな悪くなっている。日本国民が次第に安心して暮せないようになってきている。日本は、この二十年、自主的にアメリカの言う通りにしてきたのである。ロシアがある、中国がある、北朝鮮もあるということで、日米関係だけは損なわないようにしようとアメリカに譲歩せざるを得なかった結果でもある。アメリカが悪いと言っているわけではない。国家というものは徹底的に自国だけの国益を追求する存在なのである。アメリカもその例外ではないというだけである。
安倍総理が国防軍構想を打ち出した。政治的な防衛費の増額も戦後初めてのことである。これは自民党立党時の精神に戻るということである。独立国は自主防衛が基本である。自主防衛が出来なければ国策の自由を確保することは難しい。ましていまリーマンショック以降アメリカの力にかげりが見られるような状況があり、今後世界はどのように動くか不透明である。我が国は、今こそアメリカ依存から抜け出して、自分の国を自分で守る自主防衛の体制を強化しなければならない。国家があっての経済活動であることを今一度日本国民は想起すべきである。
私は安倍政権を支持する。安倍政権が崩壊するようであると、日本の再生はさらに困難になり、それこそ中華圏内で虐待を受けながら生活するような国に向かいまっしぐらということになりかねない。朝日新聞などマスコミではすでに安倍叩きが始まっているが、私たちは安倍政権を支えなければならない。彼ら左翼思想の持ち主は、強い日本が出来ては困るのだ。これまでどおり中国などにおもねる政権であってくれることが彼ら敗戦利得者にとっての利益なのである。保守派の国民の中でも一部安倍総理が韓国や中国に弱腰だとかの批判があるが、安倍総理は日本再生に向けて徐々にアクセルを踏み込もうとしている。ここは私たちもしっかりと安倍政権を支える心構えが必要だと思う。
私はこの方の書かれていることの8割は、その通りだと思います。
とくに下に引用する部分には、心からうなずかずにはおれません。
戦後の我が国は、東西の冷戦構造という戦後日本の復興にとって極めて恵まれた国際情勢があったことを認識しなければならない。冷戦間のアメリカの第一の戦略目標は、ソ連の封じ込めであった。そのためにアメリカは地政学的に日本列島を必要とした。世界地図をさかさまにしてみれば分かりやすいが、ソ連の太平洋進出を日本列島が完全に邪魔している。また日本の国民生活が安定しなければ、ソ連の盾にはなれないということで、冷戦間のアメリカは日本の戦後復興にも比較的協力的であった。戦後復興を成し遂げたのは歴代自民党政権の称賛されるべき功績であるが、そのような恵まれた環境が味方していたことも忘れてはならない。しかしどんどん経済発展する中で自民党政権が立党時の綱領に書き込んだ国家の完全独立を次第に忘れていった。「アメリカに守ってもらうのも悪くない」と思い始めたのである。
それでも冷戦終結までは、我が国が国を守るということを忘れた弊害が顕著に現れることはなかった。日米の国益は重なり合う部分が多かったからである。しかし冷戦終結に伴い、アメリカの戦略計画の変更があり、我が国が国を守ることを忘れた弊害が顕著に現れることになった。冷戦が終わって1991年、アメリカの第一の戦略目標は、ソ連の封じ込めから日本とドイツの経済力を抑えることに変更されたのである。アメリカは、もはや世界大戦争が生起する可能性はなくなり、これからは経済戦争の時代になると予測したのである。
経済戦争の時代には日米の国益が一致することはあり得ない。アメリカの言う通りにしていたら日本は損をすることが多い。しかし我が国は冷戦間の惰性から抜け切れずに、日米構造協議、年次改革要望書の交換などを通じて悉くアメリカの言う通りにしてきたのである。それが改革であり、グローバルスタンダードに合致させるということである。この二十年の改革で良くなったものがあるかと言えば一つもないのではないかと思う。改革の結果、みんな悪くなっている。日本国民が次第に安心して暮せないようになってきている。日本は、この二十年、自主的にアメリカの言う通りにしてきたのである。ロシアがある、中国がある、北朝鮮もあるということで、日米関係だけは損なわないようにしようとアメリカに譲歩せざるを得なかった結果でもある。アメリカが悪いと言っているわけではない。国家というものは徹底的に自国だけの国益を追求する存在なのである。アメリカもその例外ではないというだけである。
しかし、私にとって理解不能なのは、田母神氏が、ここまで戦後史の流れを正確に捉えていながら、
特に、冷戦終結後、アメリカの対日戦略が180度転換し、日本がこの20年間アメリカの言う通りにして改革を行った結果、「みんな悪くなっている」、ということが分かっていながら、
どうして、対米隷属を以前にもまして徹底させ、すべてにおいてアメリカに言いなりになり、アメリカに何もかも差し出そうとしている安倍政権に対して、
「安倍政権でなければ駄目である。」
だとか、
「第二次安倍政権が誕生したことは日本にとっての光明である。」
といった矛盾した言葉がでてくるかです。
田母神氏は、安倍晋三のことを
「自虐史観に捕われていない数少ない政治家の一人」
と述べておられますが、安倍晋三が本当に自虐史観に捕われていないのならば、どうして、彼は「戦後レジーム」の開始日であるサンフランシスコ講和条約の発効日を「主権回復の日」などと称して政府で祝おうとするのでしょうか。
サンフランシスコ講和条約の発効日を祝うということは、サンフランシスコ講和条約の遠因である日本の敗戦を祝うことであり、またサンフランシスコ講和条約の発効と、加えて、同日に発効した日米安保条約の発効をもって始まった「戦後レジーム」そのものを賛美し、肯定することにつながるものです。
サンフランシスコ講和条約の発効日を祝うという姿勢の背後には、田母神氏が批判される「我が国はかつて悪の帝国であり、戦後アメリカによって民主主義国に変えてもらったという歴史観」が見え隠れしているではありませんか。
また、
独立国は自主防衛が基本である。
我が国は、今こそアメリカ依存から抜け出して、自分の国を自分で守る自主防衛の体制を強化しなければならない。
というのも田母神氏の言われる通りなのですが、
何でもかんでもアメリカの言いなりである安倍政権に、「アメリカ依存から抜け出して、自分の国を自分で守る自主防衛の体制の強化」などできるのでしょうか。
そもそも田母神氏の記事に、「アメリカ依存」の問題や、「アメリカに強いられた改革」といった問題が述べられていながら、それらの問題が最も具体的な形で私たちの上に降り掛かっているTPPの問題が、まるで存在すらしていないかのように、一言も言及されていないというのは、どういうことなのでしょうか。
田母神氏が掲げられている歴史観や日本のあるべき姿からは、論理的には、
「安倍政権を支持しない」
という結論しか出てこないはずなのですが、
どうして、安倍政権を支持する論客の中から、必ず、このような矛盾した「ダブルバインド」的な言葉や姿勢が見られるのでしょうか。
この奇妙な共通点に、私は、戦慄すら覚えます。

最近のコメント