国内問題

2013年1月14日 (月)

鳩山由紀夫の偉大な功績

最初に、私は民主党支持者ではないことを、明言させていただきます。

政権交代がおきた2009年夏の衆議院選挙では、他の保守の皆さんと協力して「日本を愛する日本国民の会」というグループをYouTube上に立ち上げ、民主党に投票しないように強く呼びかけた一人でもあります。

あのとき私たち保守の仲間が予測し警告したとおり、民主党政権は問題だらけの政権となりましたが、今から振り返るならば、決してその全てが問題だったわけではありません。その中には讃えられるべき大きな功績もありました。

民主党政権が終わった今、良かったことは良かったときちんと評価する客観的な視野を失わずにいたいと思い、今日は、敢えて、保守の人たちに忌み嫌われている鳩山由紀夫氏の大きな功績について記しておきたいと思います。

鳩山政権の最も大きな功績は、「年次改革要望書」を廃止したことです。

年次改革要望書とは、wikipediaの説明によると次のようなものです。

年次改革要望書(ねんじかいかくようぼうしょ)は、日本政府と米国政府が両国の経済発展のために改善が必要と考える相手国の規制や制度の問題点についてまとめた文書で、毎年日米両政府間で交換される。(中略)

由来をたどれば、1993年(平成5年)7月の宮澤喜一首相とビル・クリントン米大統領との会談で決まったものとされている。『拒否できない日本』によれば、最初の要望書は1994年(平成6年)であった。(中略)

米国側からの要望が施策として実現した例としては、建築基準法の改正や法科大学院の設置の実現、著作権保護期間の延長やその強化、裁判員制度をはじめとする司法制度改革、独占禁止法の強化と運用の厳密化、労働者派遣法改正(労働者派遣事業の規制緩和)、郵政民営化といったものが挙げられる。米国政府からの要望で実現していない項目としては、再販制度・特殊指定の廃止・ホワイトカラーエグゼンプションが挙げられるが、年次要望改革書では引き続き取り上げられている。一方、日本側からアメリカ側への要望の一切が実現されていない。

アメリカは、この年次改革要望書を通して、90年代以降、日本政府にさまざまな規制緩和や法改正を要求し、アメリカの国益にかなうように日本の国内制度を改変させていきました。年次改革要望書に書かれたアメリカの要求通り、歴代の自民党政権が受け入れてきた法改正を年代順に並べると次のようになります。

1997年(平成9年)独占禁止法が改正される。持株会社が解禁される。
1998年(平成10年) 大規模小売店舗法が廃止される。大規模小売店舗立地法が成立する(平成12年(2000年)施行)。建築基準法が改正される。
1999年(平成11年) 労働者派遣法が改正される。人材派遣が自由化される。
2002年(平成14年) 健康保険において本人3割負担を導入する。
2003年(平成15年) 郵政事業庁が廃止される。日本郵政公社が成立する。
2004年(平成16年) 法科大学院の設置と司法試験制度が変更される。労働者派遣法が改正(製造業への派遣を解禁)される。
2005年(平成17年) 日本道路公団が解散する。分割民営化がされる。新会社法が成立する。
2007年(平成19年) 新会社法の中の三角合併制度が施行される。

持株会社の解禁は、買収合戦を過熱化させ、経済のグローバル化を押し進めました。大規模小売店舗法の廃止は、弱い小売業の人たちの生活を苦しめました。人材派遣の自由化は、不安定な派遣労働で働く人々の数を増やすことになりました。唐突に導入された裁判員制度により国民はアメリカ式の陪審員制度にかり出されるようになりました。小泉政権が行った郵政民営化も年次改革要望書を通してアメリカが日本政府に要求していたことでした。第一次安倍政権が導入を進めていたホワイトカラーエグゼンプションも、年次改革要望書でアメリカが要求していたことでした。

ほとんどは、国民には何の利益もないどころか、その生活を苦しめ、アメリカを利するだけのこれらの制度改革を、自民党政権は、90年代以降、年次改革要望書を通してアメリカに要求されるまま、唯々諾々と行ってきました。

問題は、年次改革要望書の存在や、上に挙げた法改正が年次改革要望書に記されたアメリカの要望に従って行われたという事実は、マスコミによって一切報道されず、私たち国民には知らされていなかったという事実です。

90年代以降毎年続いてきた、実質上はアメリカによる内政干渉の手段であった年次改革要望書の交換を廃止したのが、鳩山政権でした。彼は、アメリカの政府高官から「ルーピー」と呼ばれ、多くの日本人もこの言葉を使って、鳩山由紀夫氏をバカにしました。彼は、「日本は日本人だけのものではない」などと述べたり、宇宙人と呼ばれても仕方のない言動も確かにありましたが、自民党政権が決してなし得なかった年次改革要望書の廃止を実現し、アメリカによる内政干渉を退け、日本の国益を守ろうしたという点は、日本の保守として客観的に評価すべきではないかと思います。

鳩山氏は、「日米同盟」を破壊した政治家として国民から強い非難を浴びたわけですが、「日米同盟」が、国民の生活や日本の国柄を破壊するような内政干渉を含んでいたとしたら、やはり、それは一度は破壊されるべきものではなかったかと思います。

新しい安倍政権が、回復し、再構築し、強化しようとしている「日米同盟」がどのような質のものになるのか。年次改革要望書を復活し、国民の生活を顧みずにアメリカによる要求を一方的に受け入れるだけの従来型の自民党政治を再開させることになるのか。それとも、悪しき自民党政治の伝統を捨て、アメリカの内政干渉をきっぱりと退けながら、日本の国益にかなう対等な関係を築くことができるのか。しっかりと見守っていきたいと思います。

民主党政権の功績としては、野田政権が領土問題で示した毅然たる姿勢も評価しておきたいと思います。自民党政権が領土問題を何十年もうやむやにして、棚上げにし放置していたのと対照的に、尖閣諸島を国有化し、竹島問題の国際司法裁判所への単独提訴を実現の直前まで押し進めたことは野田元首相の大きな功績だと思います。彼が国連で行った演説も大変立派であり、日本人として誇らしく感じました。

民主党政権は確かに問題だらけの政権でしたが、その行ったことの全てが「悪」だったわけではありません。同時に、自民党が行おうとしていることの全てが必ずしも「善」ではないことを忘れずにいたいと思います。民主党は確かに売国政党であったかもしれませんが、民主党政権時代あれほど問題になった人権擁護法案は、そもそも2002年に小泉政権が最初に提出したことをどれだけの人が知っているでしょうか。外国人参政権は、安倍首相が参院選後も連立を解く意図はないと明言している公明党が、いまだに掲げている公約でもあります。自民党も公明党も、5年以内の道州制の導入を公約として掲げています。自民党以外の政党の売国のみをあげつらい、自民党の長き売国の履歴と性向に目をつぶるのは、欺瞞でありまた危険なことではないかと思います。

自民党(善) VS 民主党 (悪)

このような単純な善悪二元論に陥ることのないように気をつけたいものです。

(年次改革要望書については、「国民が知らない反日の実態」の次のページも参考になさってください。年次改革要望書の正体)

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2013年1月13日 (日)

陰謀論者の妄言

このブログを読んでいらっしゃる方は御存知のように、アメリカに対しても、自民党に対しても、安倍さんに対しても、彼らを盲信したり、依存しようとすることに対して批判的なWJFですが、同時に、「陰謀論」と呼ばれる妄言を振り回す人たちにも私は懐疑的です。

彼らは、ユダヤ人やら、イルミナティやら、統一教会やらを持ち出して、アメリカの陰謀を警告し、中国や韓国との融和を説きます。その代表的な例として、リチャード・コシミズなる人物がいますが、WJFも次のように彼やその一派に、さんざん「似非右翼」だの「統一教会だ」なの「壷売りだ」などと批判されたことがあります。

この動画の製作者・発信者は不明ですが、他の記事や動画を見てみると明らかに「似非右翼」と言われる特殊な「組織」によるものです。GloriousJapanForeverなる人物のほかの動画も参照してください。日韓関係、日中関係の破壊を目的としたものです。 http://www.youtube.com/user/GloriousJapanForever

この類の扇動メディアにころりと騙される前に、背後関係をぜひ知っていただきたい。日本には、日韓関係を悪化させるのを役割とした「似非右翼」がいます。彼らは実は最も日本的ではない人たちです。日本には済州島系在日や部落マイノリティーといわれる人たちが少数ですが存在します。(普通の日本人は、韓国のパクリどうのこうのにはあまり関心を持っていません。あまり重要な問題ではないからです。)具体的にいいますと「統一教会」がこれらの似非右翼の中心にいます。勿論、韓国にも統一教会はありますが、韓国側のそれは日本の統一教会による韓国中傷に激しく反発する役割を演じています。つまり、日韓で同じ組織が二手に分かれて二国間関係の破壊を狙っているのです。(それに騙されて追従する日韓メディアもあるようですが。)

日本の統一教会の中枢は在日朝鮮人脈であり、統一教会そのものも北朝鮮中枢と深くつながった「北朝鮮宗教」です。文鮮明は金日成の義兄弟であり、誕生日にはピョンヤンの国王様から祝電が届き、北朝鮮のマスゲームでは文鮮明は民族の英雄として遇されています。統一教会は北朝鮮王朝の存続のために巨額の秘密支援をしてきています。(その支援は、ウォール街の金融ユダヤ人のお墨付きの下に行われています。)

リチャード・コシミズのブログ、2011年10月4日

改めて申し上げておきますが、WJFは統一教会ではありませんし、背後にユダヤ人がいるわけでもありません。どの政治団体にも宗教団体にも所属しておりません。

これらの陰謀論者の誤りは、きちんとした根拠もなく特定の考え方を宗教のごとく盲信しているということもさることながら、やはり善悪二元的な考えに陥っていることだと思います。

アメリカ(悪) VS 中国・韓国 (善)

同時に、次のような善悪二元論も正しいものではありません。

アメリカ(善) VS 中国・韓国 (悪)

いかに日本が日本として立つか、いかに日本が日本であり続けるか、いかに日本を守るか、といった問題は、これらのような善悪二元論的な考え方に立つことによっては、決して実現することはできないのだということを、私たちは気づく必要があると思います。

善悪二元論的な二項を立てて、その片方にすがったり、片方の陣営についたりしようとするのではなく、福沢諭吉が、日本が世界に向かって一歩を踏み出した明治の初めに『学問のすゝめ』で述べた言葉を、私たちひとりひとりが噛み締めることが、今、もっとも必要なことなのだと思います。

彼は、国家は独立しなければならない。そのためには、外国を恐れるのでもなく、また見くびるのでもない、二元的な態度に陥ることのない、客観的で批判的な視野を持つことが必要であると述べています。

また自由独立のことは人の一身にあるのみならず、一国の上にもあることなり。わが日本はアジヤ州の東に離れたる一個の島国にて、古来外国と交わりを結ばず、ひとり自国の産物のみを衣食して不足と思いしこともなかりしが、嘉永年中アメリカ人渡来せしより外国交易のこと始まり、今日の有様に及びしことにて、開港の後もいろいろと議論多く、鎖国攘夷などとやかましく言いし者もありしかども、その見るところはなはだ狭く、諺に言う「井の底の蛙」にて、その議論とるに足らず。日本とても西洋諸国とても同じ天地の間にありて、同じ日輪に照らされ、同じ月を眺め、海をともにし、空気をともにし、情合い相同じき人民なれば、ここに余るものは彼に渡し、彼に余るものは我に取り、互いに相教え互いに相学び、恥ずることもなく誇ることもなく、互いに便利を達し互いにその幸いを祈り、天理人道に従いて互いの交わりを結び、理のためにはアフリカの黒奴にも恐れ入り、道のためにはイギリス・アメリカの軍艦をも恐れず、国の恥辱とありては日本国中の人民一人も残らず命を棄てて国の威光を落とさざるこそ、一国の自由独立と申すべきなり。  しかるを支那人などのごとく、わが国よりほかに国なきごとく、外国の人を見ればひとくちに夷狄夷狄と唱え、四足にてあるく畜類のようにこれを賤しめこれを嫌い、自国の力をも計らずしてみだりに外国人を追い払わんとし、かえってその夷狄に窘しめらるるなどの始末は、実に国の分限を知らず、一人の身の上にて言えば天然の自由を達せずしてわがまま放蕩に陥る者と言うべし。王制一度新たなりしより以来、わが日本の政風大いに改まり、外は万国の公法をもって外国に交わり、内は人民に自由独立の趣旨を示し、すでに平民へ苗字・乗馬を許せしがごときは開闢以来の一美事、士農工商四民の位を一様にするの基ここに定まりたりと言うべきなり。

外国を恐れるのでもなく、また見くびるのでもない。外国と対等に交わる、国家の独立を実現するためには、国民一人一人が、報国の思いと、独立の気概を身につけなくてはならず、そのためには、それぞれの才覚に応じて、学問(実学と批判精神)を身につけなくてはならないと述べています。

前条に言えるとおり、人の一身も一国も、天の道理に基づきて不覊自由なるものなれば、もしこの一国の自由を妨げんとする者あらば世界万国を敵とするも恐るるに足らず、この一身の自由を妨げんとする者あらば政府の官吏も憚るに足らず。ましてこのごろは四民同等の基本も立ちしことなれば、いずれも安心いたし、ただ天理に従いて存分に事をなすべしとは申しながら、およそ人たる者はそれぞれの身分あれば、またその身分に従い相応の才徳なかるべからず。身に才徳を備えんとするには物事の理を知らざるべからず。物事の理を知らんとするには字を学ばざるべからず。これすなわち学問の急務なるわけなり。

わが日本国人も今より学問に志し気力を慥かにして、まず一身の独立を謀り、したがって一国の富強を致すことあらば、なんぞ西洋人の力を恐るるに足らん。道理あるものはこれに交わり、道理なきものはこれを打ち払わんのみ。一身独立して一国独立するとはこのことなり。

また国民一人一人が独立の精神を欠くときには、(1)愛国心の喪失(2)外国に対して卑屈になる(3)売国という三つの弊害が生まれると警告します。戦後の、そして現在の日本の姿そのものです。

前条に言えるごとく、国と国とは同等なれども、国中の人民に独立の気力なきときは一国独立の権義を伸ぶること能わず。その次第三ヵ条あり。

第一条 独立の気力なき者は国を思うこと深切ならず。(中略)
第二条 内に居て独立の地位を得ざる者は、外にありて外国人に接するときもまた独立の権義を伸ぶること能わず。(中略)
第三条 独立の気力なき者は人に依頼して悪事をなすことあり。(中略)国民に独立の気力いよいよ少なければ、国を売るの禍もまたしたがってますます大なるべし。

何かを盲目的に信じたり依存したりするのではなく、一人一人が、批判的な精神と、独立の精神を身につけてこそ、一つの国は独立を果たすのだ。この福沢諭吉の言葉を、胸に刻み、独立国としての気概を今一度、取り戻したいものです。

一身独立して一国独立す

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2012年12月26日 (水)

Conservative is as conservative does

Stupid is as stupid does.

アカデミー賞を取ったアメリカ映画『フォレスト・ガンプ』の中の有名な台詞です。

他の子よりも生まれつき知能が低い少年フォレストをお母さんが励ますために使う言葉ですが、「実際にバカなことをする人がバカなのよ」(お前はバカではないよ)という意味です。

実際、物語の中で、フォレストよりずっと知能の高いはずの人々が「バカなこと」をして人生の失敗を重ねていく一方で、フォレストの素直で真摯な生き方は、フォレストに大きな成功をもたらします。

この映画のすばらしいところは、知能が低いが成功したガンプと、知能が高いが失敗した他の人々の物語として終わらず、最後は、失敗した人々もその失敗から人生の知恵を学び、成功したガンプも最後は大切なものを失っていく。人生は、広い視野でみれば、全ての人にとって平等であるということを語りかけている点です。

Stupid is as stupid does.

この有名な台詞を

Conservative is as conservative does.

と書き換えて、今日発足する安倍新政権に期待と願いをこめて送りたいと思います。

「保守とは、国をまもるために実際に行動する人々のことである」と。

この言葉を胸に刻んで、国をまもるべく自ら実行し、努力すると共に、安倍新政権をあたたかく、そして厳しく見守りたいと思います。

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2012年12月23日 (日)

現代日本の「事大主義」と「良賤制」

本来浅田真央選手を守れ(8)の続きとして書いた記事でしたが、内容が脱線しましたので、タイトルを変えました。

中華体制にかしずいた朝鮮において最も極端な形でみられた「事大主義」と呼ばれる外交戦術と、「良賤制」という民族・国民の二分化。この二つは表裏一体のものであるというのが前回のお話でしたが、この二つのものは、朝鮮に固有のものではなく、程度に違いこそあれ、時代と国境を越えて広く見られます。

たとえば、現代の日本。小泉政権の元で押し進められた構造改革とグローバリズム。あのとき日本国民が「勝ち組」と「負け組」に二分され、格差社会が進行したのはなぜでしょうか。

また、現在、押し進められようとしているTPP。経団連はどうしてTPPを推進したがっているのでしょうか。彼らにとってのメリットの一つに、人の移動の自由化により国内にいながら安い労働力を確保できるということがあります。つまりTPPを通してグローバリズムに事大することによって、彼らは国民の残りを自由に搾取する資格を得ます。グローバリズムの進行と共に、格差の拡大と国民の二分化は確実に進行していきます。

朝鮮において、「事大主義」と「良賤制」が表裏一体であったように、グローバリズムと、国民の二分化というのは表裏一体です。なぜなら、中華体制とは、当時のグローバリズムの一種に他ならなかったからです。

中華体制が、朝鮮に容易に払拭することのできない分裂や傷や社会の歪みをもたらしたように、グローバリズムも、国家の枠組みを根底から破壊し、国民の一致団結を将来にわたって妨げてしまうものです。

また「事大主義」が事大する対象はグローバリズムに限りません。アメリカや、中国や、韓国や、北朝鮮など特定の国家が事大の対象として選ばれることもあります。このときもやはり、それによって利益を得る人々と、利益を奪われる人々の「二分化」が、国内で発生します。つまり、「事大」とは「売国」のことにほかなりません。

残念ながら、日本の国内には、この「事大」したくてたまらない人々がうようよいます。日本の国全体、日本国民全体の益ではなく、特定の国に「事大」することによって、自分たちだけが利益を得、他の国民や国全体の利益を阻害したり、犠牲にしたり、搾取しようとしている、そういう輩が政治家の中にすら、うようよとうごめいている。

残念ながら、どうやら新しい自民党や、安倍新政権の中にもそのような「事大」することの大好きな人々が跋扈している、その匂いを、私はぷんぷんと感じずにはおれません。

日本は長くこの外国への「事大」や国民の「二分化」とは無縁に歴史を築く僥倖にめぐまれてきました。江戸時代の日本がその最たるものです。江戸幕府を頂点にした封建制と鎖国制度のもとで、外国勢力になんら事大することなく、したがって民族が二分化されることもなく、努力がそれ相応に報われる社会が発展していきました。その結果、安定した社会や洗練された国民性と共に、世界に先駆けて、貴族や特権階級のための文化ではない、市民が文化の発信者であり同時に享受者でもあるような市民文化(町人文化)までもが日本で発達をとげるようになりました。

他国に事大する国と、事大しない国とでは、その社会や人々の生き方に下のような顕著な違いが現れます。

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しかし日本は戦争にまけて、戦後の日本は、事大に事大を重ねて生きてきました。アメリカへの事大、中国や韓国・北朝鮮への事大。吉田茂による「吉田ドクトリン」はアメリカへの「事大」ではなかったでしょうか。

田中角栄による尖閣問題を棚上げにしての日中国交回復は、結局中国への「事大」ではなかったでしょうか。

池田勇人が推進した竹島問題を棚上げにしての日韓国交回復は韓国への「事大」ではなかったでしょうか。

これらの「事大」から、一面において日本(の一部の人々)が利益を得てきたことも事実ですが、同時に日本が多くを奪われ失ってきたこともまぎれもない事実です。特に冷戦が終結してからの弊害は一段と大きくなり、日本の経済成長を鈍らせ、日本の自虐的な卑屈な態度は中国、韓国には執拗な反日プロパガンダを許し、領土問題に関する増長を許してきました。そのような「戦後体制」を今こそ終わらせなければならない。日本人の日本人による日本人のための政治を再開させなくてはならない。この国民の間に広くひろがった危機感。それを受けて「戦後体制からの脱却」をうたって選挙に大勝した自民党から、一週間も立たないうちに聞こえてきたのが「竹島の日の政府主催を行わない」というニュースでした。「事大」する人々の嘲笑の声が、はっきりと耳に聞こえた気がしました。くやしくて、くやしくてなりませんでした。

日本の利益を守るよりも、他国に媚び諂うことを優先にする政治。「竹島は日本の領土です」と当たり前なことを内外に宣言する式典を、政府が開くことすらできない政治はいつまでつづくのでしょうか。

私たちは政治家たちに「事大」をやめさせることができるでしょうか。現代の「事大主義」を払拭できるでしょうか。現代の「良賤制」を払拭できるでしょうか。私たちは厳しい目で、これからの政治を監視していかなければならないと思います。

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2012年12月 3日 (月)

長かった3年3ヶ月

衆議院選挙が公示されます。長かった3年3ヶ月がようやく終わります。

日本にとって、宮崎の口蹄疫や東北の大震災などの自然災害、トヨタバッシングや尖閣問題、竹島問題、北方領土問題などの外患、また外国人参政権やら、人権法案やら、TPPやら多くの日本を破壊しようとする内憂との息つく暇もない戦いに追われた3年3ヶ月でしたが、中央道のトンネル崩落は、「コンクリートから人へ」という不毛なスローガンを繰り返してきた民主党政権が日本の国土にどんな荒廃を招いてきたかを、最後に国民に対して如実に告げ知らしめることになりました。

2009年の衆院選では、民主党政権の樹立を阻止すべく、YouTubeで「日本を愛する日本国民の会」なるものを志を同じくする方たちと立ち上げたり、大きな声をあげて呼びかけていましたが、今回は落ち着いて選挙の結果を見守ることができそうです。

愛国心に目覚める人たちもふえ、日本はようやく新しい時代を迎えますが、これから私たちに必要になるのは、いかに保守の数をふやすかのみならず、いかにその質を高めていくかということであろうと思います。この時代が一過性のものとならず、長く安定して続き、将来の日本のために多くの実りをもたらすためにも、私たちは広い視野を持ち、バランスのとれたものの見方を心がけ、よく学び、日本の保守のあり方というものを自ら自己点検して、一層の向上と精進に努めていくことが求められていくと思います。

それにしても、皆様本当にお疲れさまでした。

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2012年8月11日 (土)

去勢された日本

慰安婦動画と日々格闘しています。

オリンピックでの中国や韓国のメダル数を見ると、国力を誇示し、国際社会でのプレゼンスを高めるために彼らが国を挙げて取り組んでいるのが分かりますが、両国は、同じ努力と情熱を、日本を貶めるためのプロパガンダにも注いでいると考えるべきでしょう。

オリンピックの金メダルと、反日プロパガンダは、同じコインの裏表のようなものだと思います。いずれも形を変えた平和裏の戦争です。

日本も彼らと同じ努力と情熱を注いで、メダル獲得のためにもっと準備しなくてはならないし、また、プロパガンダの阻止のためにも同じエネルギーを注いでいかなくてはならないのだと思います。

金メダル級の業績を挙げられるよう、WJFプロジェクトも、微力を尽くして励んでまいります。

オリンピックの日本人選手に言いたいことがあります。とりわけサッカーの男子日本代表。試合前の国歌斉唱で、大きな口を開けて、誇りをもって正々堂々と、君が代をしっかり歌わないのはどういうことなのでしょうか。歌おうとしない選手もいるし、ぼそぼそ小さな口を開けて歌っている選手もいます。アメリカの選手も、フランスの選手も、どの国の選手も、大きな口を開けて国歌を誇らしげに歌っているじゃないですか。そんな姿勢でどうやって日本人は世界の中で外国人と互角に戦っていくんですか。

慰安婦問題などに取り組んでいて気づくことですが、反日プロパガンダの究極の目的は単に国際社会での日本の評判を貶めることだけではありません。「日本人は軍を持てば、女性を拉致して、性奴隷にするような異常な民族である」という誤ったイメージを国際社会に植え付けることで、日本が再び軍をもつ資格のない国であることを国際社会に印象づけ、日本を現在のような半人前の去勢された状態にとどめおくことが究極の目的なのだと思います。

今私たちが直面している問題の多くは、戦後の日本が、自国を自分の手で守るという国家として当たり前の機能を放棄してしまったことと、直接、間接に関係するものではないでしょうか。

自軍を失うことにより、日本が失ったのは、社会のあらゆる領域における権威の喪失です。政治は権威と責任感を失い、企業も国家に対する貢献を考えなくなり、教師も学校で権威を失くし、父親の家庭での地位も失墜し、男性は草食化しています。

19世紀に、日本が他のアジアの国に先駆けて近代化できたのは、自分たちの国を自分たちの手で命がけで守る侍という階級の人々が国家の中心に存在していたからです。侍たちが、命をかけて国家のことを考える人たちであったからこそ、自分たちの既得権益や特権を自分たちの手で放棄するなどといった離れ業をやってのけたのです。

明治初期の日本人の姿を、お雇い外国人のウィリアム・グリフィスは次のように描写しました。

「朝鮮にはサムライがいない。日本にあって朝鮮に欠けているものは、心身ともによく鍛えられ、兵士であると同時に学者であり、忠誠心と愛国心と自己犠牲の高い理想をかかげる文化的集団である。」
(ウィリアム・グリフィス, 1882年, 『隠者の国・朝鮮』)

サムライがいないのは、朝鮮だけではありません。現在の日本にもサムライはいません。「心身ともによく鍛えられ、兵士であると同時に学者であり、忠誠心と愛国心と自己犠牲の高い理想をかかげる文化的集団」は、現在の日本には完全に死に絶えてしまいました。

戦争を生き延びた、戦前の教育を受けた人たちがまだ社会を牽引していた1980年代までは、日本は国家としての体裁はなんとか保たれていました。しかし、社会の担い手が戦後の教育を受けて育った世代に入れ替わって以来、日本は迷走に迷走を重ねています。

自民党が、民主党・公明党などと協力をして、消費税法案を可決させたことにも、暗澹たる思いがしています。「景気条項」がついていたところで何の慰めにもなりはしない。景気が上向きかけていたときに、消費税率を5%にして自殺者を1万人も急増させた橋本政権時の失敗から何も学んでないんですか。一体、この国の政治は何に牛耳られているんですか?

Z101

他国に国防をゆだねて、あぐらをかいている戦後体制に決定的に終わりを来らせないかぎり、民主党政権が自民党政権に戻ってきたところで、何も解決しません。こんな法案通したあとに衆議院を解散させて「国民の信を問う」などと息巻いている谷垣はウルトラ級のバカですか。「国民の生活が第一」などといった政党名からして国民を愚弄した政党。道州制を導入して日本の解体を画策する「維新の会」。右を見ても左を見ても日本をだめにするアホばかり。一体日本の希望はどこにあるのでしょうか。

我々日本人は、明治六年に書かれた福翁の『学問のすすめ』第三編の次の言葉をよくよく心に刻むべきです。

「独立の気力なき者は必ず人に依頼す、人に依頼する者は必ず人を恐る、人を恐るる者は必ず人に諛う(へつらう)ものなり。常に人を恐れ人に諛う者は次第にこれに慣れ、その面の皮鉄の如くなりて、恥ずべきを恥じず、論ずべきを論ぜず、人をさえ見ればただ腰を屈するのみ。いわゆる習い性となるとはこの事にて、慣れたることは容易に改め難きものなり」

悲しいことに、これが戦後67年間の日本の姿であり、この傾向はますますひどくなっています。

「故に人民に独立の気力なきは、その取扱い便利などとて油断すべからず。禍は思わぬところに起るものなり。国民に独立の気力いよいよ少なければ、国を売るの禍もまた随って益々大なるべし。即ち、この条の初に言える、人に依頼して悪事をなすはこの事なり。」

自分の生活のことしか考えない国民と、自主独立の気概のない政治家が恊働して、日本という国家に対して未来に禍根を残すような悪事をなしているのが、日本の現状です。

「外国に対して我国を守らんには、自由独立の気風を全国に充満せしめ、国中の人々貴賎上下の別なく、その国を自分の身の上に引き受け、智者も愚者も目くらも目あきも、おのおのその国中たるの分を尽さざるべからず。英人は英国をもって我本国と思い、日本人は日本国をもって我本国と思い、その本国の土地は他人の土地に非ず我国人の土地なれば、本国のためを思うこと我家を思うが如くし、国のためには財を失うのみならず、一命をも抛て(なげうって)惜しむに足らず。これ即ち報国の大義なり。」

「一身独立して一国独立する」

(福沢諭吉, 明治6年, 『学問のすゝめ・三編』)

私たちの国、日本はいつ、再び独立を手にするのでしょうか。



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2012年3月29日 (木)

人権侵害救済法案反対デモ in新宿

「人権侵害救済法案の廃案を訴える日本国民の会」様より、人権救済機関設置法案に反対するデモのお知らせが届いていますので、みなさんにもお知らせします。

民主党が人権侵害救済法案を来る臨時国会にて成立させようとしており、同法案が成立した際には、WJFプロジェクトも含め、さまざまな保守活動が「人種差別」を口実に弾圧を受ける可能性が予想されます。大きな反対の声を上げていきましょう。

【デモ開催日】3月31日(土) 【集合場所】新宿柏木公園    地図&最寄り駅は↓をクリック    http://www.shinjuku.info/S75269.html 【集合時間】1時00分   【出発時間】1時30分  【主催】人権侵害救済法案の廃案を訴える日本国民の会

デモの告知動画です。

人権救済法案の詳しい情報はこちらの動画をごらんください。


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2012年1月24日 (火)

失くしてはならない一番大切なもの

日本にとって失くしてはならない一番大切なものが、失われようとしています。日本にとって一番大切なものであることを知っているからこそ、いわゆる「反日勢力」は、あらゆる手練手管を使って、ご皇室を破壊しようとしています。

チャンネル桜の真摯な姿勢と取り組みは讃えられるべきものであることは言うまでもありませんが、日本の保守の一員としてつくづく感じるのは、もっと効果的な表現力や戦略的なアピール能力を磨かなくてはならないということです。日の丸を掲げてがなり立てるだけでは、街宣右翼と同じものだと無関心な層からは思われてしまうかもしれない。しかし、一方で、ストレートなアピールは誰かがやらなければならないという面もあるでしょう。それを周辺から支えることができるように、豊かな表現能力をもった多くの才能が結集しなくてはならないと思います。

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