2013年8月の2件の記事
2013年8月 3日 (土)
2013年8月 2日 (金)
麻生の発言は歪曲されて報じられたのか?
下が、7月29日に、麻生太郎が憲法改正に関して行った発言の実際の文面。その一部が朝日新聞により公開されています。(下の動画は、その発言の実際の肉声だそうです。)
僕は今、(憲法改正案の発議要件の衆参)3分の2(議席)という話がよく出ていますが、ドイツはヒトラーは、民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って、ヒトラー出てきたんですよ。ヒトラーはいかにも軍事力で(政権を)とったように思われる。全然違いますよ。ヒトラーは、選挙で選ばれたんだから。ドイツ国民はヒトラーを選んだんですよ。間違わないでください。
そして、彼はワイマール憲法という、当時ヨーロッパでもっとも進んだ憲法下にあって、ヒトラーが出てきた。常に、憲法はよくても、そういうことはありうるということですよ。ここはよくよく頭に入れておかないといけないところであって、私どもは、憲法はきちんと改正すべきだとずっと言い続けていますが、その上で、どう運営していくかは、かかって皆さん方が投票する議員の行動であったり、その人たちがもっている見識であったり、矜持(きょうじ)であったり、そうしたものが最終的に決めていく。
私どもは、周りに置かれている状況は、極めて厳しい状況になっていると認識していますから、それなりに予算で対応しておりますし、事実、若い人の意識は、今回の世論調査でも、20代、30代の方が、極めて前向き。一番足りないのは50代、60代。ここに一番多いけど。ここが一番問題なんです。私らから言ったら。なんとなくいい思いをした世代。バブルの時代でいい思いをした世代が、ところが、今の20代、30代は、バブルでいい思いなんて一つもしていないですから。記憶あるときから就職難。記憶のあるときから不況ですよ。
この人たちの方が、よほどしゃべっていて現実的。50代、60代、一番頼りないと思う。しゃべっていて。おれたちの世代になると、戦前、戦後の不況を知っているから、結構しゃべる。しかし、そうじゃない。
しつこく言いますけど、そういった意味で、憲法改正は静かに、みんなでもう一度考えてください。どこが問題なのか。きちっと、書いて、おれたちは(自民党憲法改正草案を)作ったよ。べちゃべちゃ、べちゃべちゃ、いろんな意見を何十時間もかけて、作り上げた。そういった思いが、我々にある。
そのときに喧々諤々(けんけんがくがく)、やりあった。30人いようと、40人いようと、極めて静かに対応してきた。自民党の部会で怒鳴りあいもなく。『ちょっと待ってください、違うんじゃないですか』と言うと、『そうか』と。偉い人が『ちょっと待て』と。『しかし、君ね』と、偉かったというべきか、元大臣が、30代の若い当選2回ぐらいの若い国会議員に、『そうか、そういう考え方もあるんだな』ということを聞けるところが、自民党のすごいところだなと。何回か参加してそう思いました。
ぜひ、そういう中で作られた。ぜひ、今回の憲法の話も、私どもは狂騒の中、わーっとなったときの中でやってほしくない。
靖国神社の話にしても、静かに参拝すべきなんですよ。騒ぎにするのがおかしいんだって。静かに、お国のために命を投げ出してくれた人に対して、敬意と感謝の念を払わない方がおかしい。静かに、きちっとお参りすればいい。
何も、戦争に負けた日だけ行くことはない。いろんな日がある。大祭の日だってある。8月15日だけに限っていくから、また話が込み入る。日露戦争に勝った日でも行けって。といったおかげで、えらい物議をかもしたこともありますが。
僕は4月28日、昭和27年、その日から、今日は日本が独立した日だからと、靖国神社に連れて行かれた。それが、初めて靖国神社に参拝した記憶です。それから今日まで、毎年1回、必ず行っていますが、わーわー騒ぎになったのは、いつからですか。
昔は静かに行っておられました。各総理も行っておられた。いつから騒ぎにした。マスコミですよ。いつのときからか、騒ぎになった。騒がれたら、中国も騒がざるをえない。韓国も騒ぎますよ。だから、静かにやろうやと。憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。
わーわー騒がないで。本当に、みんないい憲法と、みんな納得して、あの憲法変わっているからね。ぜひ、そういった意味で、僕は民主主義を否定するつもりはまったくありませんが、しかし、私どもは重ねて言いますが、喧噪(けんそう)のなかで決めてほしくない。
(朝日新聞: 2013年8月1日)
下は共同通信が翌日の7月30日に発表した記事。
麻生太郎副総理兼財務相は29日夜、都内で講演し、憲法改正をめぐり戦前ドイツのナチス政権時代に言及する中で「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」と述べた。
「けん騒の中で決めないでほしい」とし、憲法改正は静かな環境の中で議論すべきだと強調する文脈の中で発言したが、ナチス政権を引き合いに出す表現は議論を呼ぶ可能性もある。
麻生氏は「護憲と叫んで平和がくると思ったら大間違いだ。改憲の目的は国家の安定と安寧。改憲は単なる手段だ」と強調した。その上で「騒々しい中で決めてほしくない。落ち着いて、われわれを取り巻く環境は何なのか、状況をよく見た世論の上に憲法改正は成し遂げられるべきだ。そうしないと間違ったものになりかねない」と指摘した。
安倍晋三首相や閣僚による終戦記念日の靖国神社参拝を念頭に「国のために命を投げ出してくれた人に敬意と感謝の念を払わない方がおかしい」とし「静かにお参りすればいい。何も戦争に負けた日だけに行くことはない」と話した。
(共同通信: 2013年7月30日)
このように、共同通信は淡々と、麻生の発言をそのまま報じたにすぎないのですが、西村幸祐は、下のように、共同通信や朝日新聞が麻生の発言を歪曲したと主張し、英語のできる人々に、今回の麻生太郎の発言に関して抗議声明を出したユダヤ人の人権団体、サイモン・ウィーゼンタール・センターに、日本のマスコミを糾弾するメールを送れと呼びかけています。これは正しいことでしょうか?
【急募!英語が達者で不正を憎む方】 共同通信と朝日新聞が麻生財務大臣の発言を全く正反対にねじ曲げて、反ユダヤ主義のナチズム礼賛の謀略宣伝を行ったと以下にメールして下さい。 Home | Simon Wiesenthal Center http://t.co/SvDGT3YkSI
— 西村幸祐 (@kohyu1952) August 1, 2013
共同通信や朝日新聞は、本当に「反ユダヤ主義のナチズム礼賛の謀略宣伝」など行ったでしょうか? 麻生太郎は実際に下のように述べているではありませんか?
そもそも、共同通信や朝日新聞が、麻生の発言を歪曲したというのなら、なぜ麻生太郎は今回の発言を撤回したのでしょうか?
仮に、この発言が、麻生お得意の軽口であったとしても、この種の発言が冗談では通用しないのが国際社会の常識です。だからこそ麻生は発言を撤回せざるを得なかった。麻生が既に発言を撤回した後に、これを「マスコミの歪曲だ」などといって海外に向かって不特定多数の日本人が大量のメールを送りつけて、誰がうなずいてくれるんですか?火に油を注ぐだけではないですか。
事実を歪曲しているのは、マスコミではなく、西村幸祐、あなたがたではありませんか。外務省の役人など専門的な対応能力のある部署が、推敲に推敲を重ねた釈明の書簡を送るならまだしも、性懲りもなく、十分な知識や教養や国際的センスや英語力のない不特定多数の一般人を煽り立てて、拙い英語と論理で、感情任せの思いつきのメールを書かせ、それを海外の機関に大量に送らせたりすれば、日本人がますます恥をかき、笑い者になるだけです。そんなことをしても「日本人は非常識だ」という印象を世界にばらまいて終わるだけじゃないですか。今回の問題は、明らかに一般人が対応できる範囲を超えています。無責任な呼びかけはやめていただきたい。
こういうのを「恥の上塗り」と言うのです。
何回同じ失敗を繰り返したら、あなたがたは学ぶのか?
それとも、日本人に恥をかかせようとして、わざとやっているのか。
あなた方は異常です。
自分たちの異常さに気づかない分、なおさらたちが悪い。
良識はどこに消えた。
いい加減にしてください。
(追記1)
さっそく馬鹿なことをしている方たちがいるようです。日本の恥さらしです。あきれてものが言えません。いい年をした大人が自分たちがしていることの意味もわかりませんか? こんなことしてはいかんことぐらい子どもでもわかるじゃないですか。
@SeriousTom1 ネトウヨが例の支離滅裂な自民擁護を機械翻訳にかけて、サイモンビーゼンタールセンターに送ってるそうです。水にマグネシウムかける?ような行為。
— kinokuniyanet(懲役300年 (@kinokuniyanet) August 2, 2013
(追記2)
SeriousTom氏のご指摘の通り、今回の麻生の今回の発言も「ダブルバインド」の話法によって語られています。
麻生のナチス発言もダブルバインドの亜種だが、実はただの痴呆症の疑い(笑) “@KKnagomi: これは面白い(でも恐い)です。非常に鋭い指摘。「言葉」がすでに支配されているのだ。「彼ら」の洗脳手法: ダブルバインド(二重拘束) http://t.co/qdKRBv6ftO”
— SeriousTom (@SeriousTom1) August 2, 2013
B. ナチスの手口に学ぶべき。わーわー騒がず誰も気がつかない間に憲法改正は行われるべきだ。
C. 憲法改正を実現させなくてはならない
どうして、安倍政権の周辺の人々は、そろいもそろって、この気持ち悪いダブルバインドの話法を使いたがるのでしょうか。
(追記3)
コメント欄で紹介いただいた、元外交官天木直人氏のブログの記事です。天木氏の指摘の通り、安倍政権はこれまでの売国にいっそう拍車をかけていかざるをえない。国民としてはたまったものではありません。
愚かな発言をしたものだ。いうまでもなく麻生太郎副総理が憲法改正に関連してナチス政権を引き合いに「あの手口、学んだらどうかね」と語った失言だ。その発言の不適切さについては一切の弁解も通用しない。
しかし私がここで言いたいのはその事ではない。この発言が行なわれたのは7月29日に都内で行なわれた講演だった。それを報じた翌日の報道は小さかった。メディアや野党政治家の反応は静かだった。
ところがきょう8月2日になって各紙はこぞって大騒ぎをし、野党はここぞとばかり批判している。
なぜか。
それは「サイモン・ウィーゼンタール・センター」が抗議声明を出したからである。
このユダヤ組織に本気で噛みつかれたら麻生副総理の政治生命は終る。
それどころか安倍政権にとって致命傷になる。
だから大騒ぎになったのだ。
この事を見事に証明しているのがきょう8月2日の朝日新聞に掲載されている次の記述だ。
「・・・とりわけユダヤ人の人権団体から反発が出たことに、外務省幹部は『最悪だ』と悲壮感を漂わせる。ユダヤ人社会にネットワークを持ち、米国内でも影響力が強い。日本の右傾化批判が強い中国や韓国に米国が同調すれば『国際社会を敵に回す』(官邸スタッフ)ことになるからだ・・・」
いうまでもなくユダヤロビーは米国の政権と直結している。
イスラエルと米国が本気になれば安倍政権などひとたまりもない。
しかし結論から言えばイスラエルと米国は安倍政権をそこまで追い込まないだろう。
それどころか一発かまして後は静かになるだろう。
日本はまだまだ利用価値がある。
安倍首相には長く政権にとどまってもらって、どんどんとイスラエル・米国の為に働いてもらう必要がある。
安倍政権に代る政権など見当たらない。
ふたたび日本の政治が混迷し、弱体化してもらっては困るのだ。
かくして麻生失言は見逃される事になる。
それと引きかえに安倍・麻生自民党政権はますます対米従属になる。
麻生失言の本当の深刻さはそこにあるのである(了)
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