「彼ら」の洗脳手法: まとめ
これまで様々な洗脳や、世論誘導のやり方を紹介してきました。
●矛盾したメッセージを同時に発して思考停止に陥らせる「ダブルバインド」
カルト宗教も多用するこの洗脳手法は、「TPP絶対反対、安倍政権絶対支持」というチャンネル桜の発する矛盾したメッセージに典型的に現れていました。中野剛志氏がある記事の中で同じ事を指摘していますが、安倍政権もダブルバインド的な相反するメッセージを同時に発するという特徴があります。実は、サンフランシスコ条約によって、日本が「独立した」と宣言しながら、同時に日米安保条約によって日本を属国化した「戦後レジーム」それ自体が、その始まりからして既に、日本人をがんじがらめに縛り付ける「ダブルバインド」的な矛盾を抱えたものでした。
●善悪のコントラストを強調して「善」とする側に人々を傾斜させる「善悪二元論」
三橋貴明がブログの中で多用してきた、最もシンプルな洗脳手法です。彼はブログの中で「民主党=悪」「自民党=善」というマンガのような単純な善悪二元論を執拗に反復し、人々が自民党を盲目的に支持するように誘導してきました。また、「戦後レジーム」の根幹を支えた冷戦構造そのものが、極度に理念化された「善悪二元論」であり、これによって、戦後の日本人はアメリカを「善の陣営」と信じて強く傾斜していくようになりました。
参照記事: 「双頭の鷲作戦」で滅ぼされる日本
●特定の個人や集団を叩くことによって、同じ傾向性をもつ周辺の個人や集団の抱える問題を見えなくする「スケープゴート」
これも、三橋貴明が繰り返し使ってきた手法です。竹中平蔵のような特定の新自由主義者「のみ」を批判することによって、あたかも、同じ傾向を抱える安倍晋三が新自由主義者ではないかのような錯覚を人々に与えてきました。また、民主党を売国政党として批判することによって、自民党のもつ同じ売国的な性質や来歴が隠蔽されてきました。この洗脳手法も「戦後レジーム」の中に織り込まれたものでした。ソ連や中国といった共産圏の国々「のみ」を日本に敵対する国として強調することによって、アメリカのもつ同じ反日的な傾向が隠蔽されると言う事が生じました。
●自分の本来の立場を隠すために敢えて自分と同じ立場の人々を批判する「偽装批判」
これは、チャンネル桜や三橋貴明や西田昌司のような論客たちに見られた事例です。TPPや新自由主義に反対する立場である「ハズ」の彼らが、なぜか、TPPや新自由主義的な政策に積極的な安倍晋三を愛国・保守の権化として神格化し、支持を煽るという不思議な現象がみられました。その結果、安倍晋三はTPPや新自由主義に反対する立場の政治家であるという誤解が人々の間に広がり、「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」という自民党の欺瞞的な選挙ポスターなどの効果も相まって、安倍自民党は選挙に圧勝。安倍晋三がTPP交渉参加を表明したあとは、これらの論客たちは体を張ってTPP交渉参加を阻止するかと思いきや、「仕方がない」「容認するしかない」と態度を改めて世論を懐柔しはじめました。これらの一見すると反TPPの論客たちは、結果的には、TPP参加の方向へ世論を誘導することに成功したことになります。
●危機感を煽って、急進的な市場主義改革を迫る「ショック・ドクトリン」
ナオミ・クラインの『ショック・ドクトリン』という書物に書かれている煽動手法です。政変・戦争・災害などの危機的状態を挙げ、人々を不安に陥れ、市場原理主義的な改革を実現させようとする「惨事便乗型資本主義」の手法です。尖閣諸島問題、韓国の大統領の竹島上陸、中国の反日デモ、北朝鮮のミサイル、拉致問題・・・これらが日本社会に与える危機感が、「対中包囲網」という大義名分をおし着せられたTPPへの傾斜や、親米的な安倍政権への強い支持率へとつながりました。この洗脳手法も、TPP問題が浮上した最近に限らず、ソ連の核の脅威が強調された冷戦時代など「戦後レジーム」全体を通じて一貫して見られるものでした。
●99%の正しさの中に、1%のウソや誤謬を忍び込ませる「毒りんご」
ほぼ正しいことを言っているので、話の全体が正しいように聞こえてしまうのですが、注意して聞けば、どこかに小さな、しかし深刻な誤謬が隠されているという洗脳手法です。一つの例として、みなさんは、次の水島総の話の中に含まれる1%のウソを見抜く事ができるでしょうか。
この手法も、「戦後レジーム」の中に最初から組み込まれていたものであると言えます。「自由」や「民主主義」という美しくまた「正しい」言葉や主張の中に、どれだけ危険なウソや誤謬が忍び込まされていたことでしょうか。戦後の日本人は、与えられたおいしいリンゴを食べ続けることにより、その中に含まれていた微量の毒をどれほど体に蓄積させてきたことでしょうか。
「戦後レジーム」自体が長期的・複合的な日本人の洗脳プロセスであった
このように、「戦後レジーム」それ自体が、さまざまな洗脳手法を幾重にも組み込んだ、長期にわたる洗脳プロセスであり、戦後60年以上をかけて日本人はたくみに洗脳され、本来あるべき姿や立ち位置を忘れて、全く異なる地平へと知らず知らずに誘導され、国の姿を根底から歪めてきました。「保守」論客たちは「戦後レジーム」の中に内在されていた洗脳手法をそのまま反復して用いることにより、「戦後レジーム」という洗脳プロセスを強化し、その最後の総仕上げを行ってきたと言えます。また「戦後レジーム」完遂の画竜点睛を任じられた人物こそ安倍晋三なのであり、その政権の下で、一時的な好景気の知らせにうかれる日本人は、あたかも集団自殺を図るかのように、亡国の方向に向かって大きく傾斜していこうとしています。
日本の最後の息の根を止めようとする日本包囲網の中で、「戦後レジーム」のたくみな洗脳から脱し、日本人の本来の思い、本来の立ち位置、本来の姿、本来の知恵、本来の勇気、本来の誇り、本来の自立、本来の独立を取り戻す日本人は、これから、どれほど多く現れるでしょうか。日本を取り戻すため、どれだけ多くの日本人が立ち上がり、力を合わせて結集するでしょうか。
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コメント
ネット保守派層の多くはパチンコの危険性と廃止を口にします。また社民党、共産党を朝鮮半島の手先だとも主張します。ただし韓国北朝鮮と関係のあるパチンコ産業とそれに関わるパチンコ議連には社民党、共産党所属の議員は居ません。殆どが民主党と自民党の議員ですね。
投稿: 瓢箪山 | 2013年7月 6日 (土) 15時48分
こちらの記事を動画化してニコニコ動画に投稿しました。
よろしかったらご覧ください。
「彼ら」の洗脳手法:まと
http://www.nicovideo.jp/watch/sm21054765
投稿: よしふる | 2013年6月 7日 (金) 02時15分
つい最近のことですが、私がこのHPに初コメしたのは三橋氏擁護でした。
【三橋貴明】増税キャンペーンが始まる
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2013/05/20/mitsuhashi-42/
このメルマガ最低です。
このメルマガもまさに「彼ら」の洗脳手段のお手本のようなものです。
①安倍麻生はデフレ下での消費税増税反対派である
②敵は財務省、マスコミである
よくこんなデタラメが言えるものです。
今更ですが、三橋氏の卑劣な誘導に気づかせてもらいありがとうございました。
投稿: ぼんたろー | 2013年5月20日 (月) 23時30分
自民党へ投票することは、自分に襲いかかってくることがわかっていながら、屈強で武道の高段者であるボディーガードを雇おうとするようなもの。愚かなことです。
行動の影響が自分個人の範囲内に収まるのであればご自由ですが。
「どうせいずれ病気にもなり最後は死ぬのだから、不摂生に生きてやる!」
というのなら一切止めませんが、投票は周りに影響を与えるので、やめてもらいたいですね。
余談ですが、政治がここまで腐敗した一因は、「みんなが投票へ行かなければいけない」という意識や宣伝、すり込みにもあると思います。
普段から情報を集めて、日本の将来を一生懸命考える人の票も、何も考えない人が投票すると潰されてしまうのですから。そして世の中どのような分野であっても、有識者より素人の方が数が多い。
かといって全員が有識者になることはあり得ません(学生が全員テストで100点とるのと同じぐらいあり得ません。)から、全体の質を高めるには「素人は選挙に行くな」と言うしかありません。
投稿: たかたろ | 2013年5月20日 (月) 23時01分
アメリカの勢力は戦争屋のロックフェラーと金融派のロスチャイルドに分かれていて中東戦争でも戦争をしかけた戦争屋が力を落としていて世界はロスチャイルドを中心に回っている中日本はロックフェラーを支えて日本の国力のすべてを戦争屋に与えようとしているのではありませんか
そのフォロー役がチャンネル桜であり、ニコ動政治部門であり、選挙前ドットコム等の評価であるのでは?
選挙前ドットコムを参考に選挙に行っていましたが明らかに安倍さん派の評価は高く設定されています。
原発再稼働、憲法改正、NATO等日本は戦争屋に動かされてきたので官僚や財界が金融派より強いということでは?
世界では戦争屋の支配は終わったようなのですが、日本は逆行していない?
http://sp.mainichi.jp/m/news.html?cid=20130508k0000e030180000c
投稿: たこ | 2013年5月20日 (月) 06時43分
革命や暴動?何を夢みたいなことを言っているのですか?
そんなことができると思っているのですか?
なんのために在日米軍がいるのかわかりませんか?
まず警察が、それで駄目なら自衛隊が、それで駄目なら日本政府による治安維持への協力要請という形で、在日米軍が動きますよ。間違いなく。
一般人はどうあがいても軍隊の持つ軍事力にはかまいません。
なぜアメリカ人が銃器を手放さないかわかりますか?
あれはいざというとき、革命権を行使するためなのです。
それでも現代の高度化された軍隊には到底かないません。補給だって続きません。武装だって最高でアサルトライフルどまりです。ミサイルや爆撃機なんか持っていません。18世紀のアメリカ独立革命の時代のような、小銃を持っていれば民間人でも軍隊と戦えた時代とはわけが違うのです。
ましてや日本人は拳銃すら持っていません。元自衛隊員以外軍務経験者もほとんどいません。
イラク戦争後のイラクでの米軍への抵抗も、元イラク軍人の経験や知識や、蓄えていた武器弾薬があればこそです。
あなたはアラブの春などのイメージを考えていると思いますが、
あれはケフィヤやCIAや全米民主主義基金という、アメリカの工作機関の支援や後押しで、行われたものであって、
実はおおよそこの世界の革命と呼ばれる物で成功したものは、ほぼ間違いなく外部からの支援があるのです。正確に言うと、外部の大国の傀儡として動いたのです。
フランス革命もレーニンのロシア革命もヒトラーの政権奪取もそうです。それに革命の成功条件には、革命主体自身が軍隊であるか、軍隊の支持が必要です。
その自衛隊は在日米軍との一体化を進められ、日本人のための軍隊ではなくなります。
余計な小賢しいことは考えなさんな。
素直に反対なら反対の意思を示さないと駄目です。
参院選後は、政治変革のためのコストは各段に跳ね上がります。
人々をつなぐためのインターネット監視も厳しくなるでしょう。
マイナンバー制により個人管理は厳しく行われるでしょう。
革命を起こす前に、タイーホです。
自民党に投票することはTPPや道州制(日本解体)や1000万人移民受け入れに賛成をすることと同義です。
自民党は実務能力があるから売国行為もさくさくと進むのです。
自民党ならTPPでマシな交渉をして少しでも国益を守ってくれるなどと思いなさんな。
国益を守る気があったらそもそもTPPなんか参加しません。
投稿: だめだめわんこ | 2013年5月20日 (月) 04時52分
jugemさん
なんで自殺行為のようなことをする必要があるんですか?
何の資格があって、国を壊すんですか。私たちに、その資格はないですよ。TPPに参加したら、日本がこの先どうなってしまうのか、意味が分かってるんですか? 無責任すぎます。
自民党と民主党の二つしか政党はないんですか? 二元的な思考をやめろ、二元的な思考が国を滅ぼすんだぞと、繰り返し警告している意味が分かりませんか?
民主党じゃだめだから、自民党しかない。そして、仮に自民党が国を壊す政策を行っても、自民党を選び続けるしかない。この二元的な思考が今日本を滅びに向かわせているじゃないですか。「あれか、これか」という、その単純な二元的な思考を脱してくださいと呼びかけるために、上の記事も書いています。
上の記事の趣旨は、物事の批判は洗脳だなどということを言っているのではありません。特定の立場に人を追い込み、囲い込み、取り込んでいく手法についてお話しているんです。とくに「あれか、これか」という、二項を立てることで、特定の立場に傾斜していく危険性を言っているんです。
私がみなさんに強く繰り返し言ってきたのは、特定の立場からのデタッチメント(離脱)によって、本当に守るべきもののアタッチメント(愛着)を取り戻してほしいということです。
私が皆さんに訴えているのは、特定の政党やイデオロギーや立場を信奉してくれということではありません。みなさんを特定の思想や立場の中に囲いこもうとしているのではありません。ただ、みなさんが守るべき本当に大切なものをしっかり守って下さいとお願いしているんです。家族の未来だって、ふるさとの未来だって、国の未来だって、全部大切なかけがえのないものではないですか。どうしてそれを簡単に破壊してしまうような選択をわざわざするんですか。
繰り返します。二元的な思考を脱してください。未来に対する責任をしっかり果たしてください。国を滅ぼす資格は、私たちにはありません。
自分の子どもがAという男と、Bという男に殺されようとしている。Bに殺されるよりは、Aに殺される方がましだといって、自分の子どもをAに差し出す馬鹿な親がどこにいますか? AにもBにも殺されないように、どんな方法を使っても、子どもの命を守ろうとするのが、親としては当たり前の行動ですよね? 国を守ることも同じ話でしょう? どうしてこんな単純な話がわからないんですか? 現に自分たちの子どもや孫がTPPによって大変な被害を被るんですよ。彼らの人生を守ることは、親としての責任でしょう。違いますか?
Aという道と、Bという道の二つに道が分岐している。どっちに進んでも、道が途切れていて崖から真っ逆さまにおちてしまう。さて、どっちの道をいくべきか。答えはどっちの道も選ばないと言うのが、正解です。理性のある人間なら誰でも分かる当たり前な話です。Aもだめ、Bもだめなら、第三の道を探してください。
民主党に国を滅ぼされるよりは、自民党に国を滅ぼされる方がましだといって、自民党に票を入れる。こんな理性を欠いたばかばかしい話はありません。頭がいかれています。だから洗脳されていると言ってるんです。通常の健全な仕方で脳みそが機能していないんです。どうして、自民党にも民主党にも国を滅ぼされないようにしようとしないんですか。なんで国を守ろうとしないんですか。道がないなら、道を作ろうとしなければいけない。活路を作るしかないじゃないですか。生き残ろうとするならば、道なきところに、新しい道を作るしかないんですよ。
私たちが、どんなに愚かであっても、自分がその責任を負えばいい。でも未来の日本人を、私たちの愚かさの巻き添えにする権利は、私たちにはありません。国を滅ぼす権利は私たちはないんです。2000年以上も営々と続いてきた国を滅ぼす資格は私たちにないんです。どんな活路を見出しても、どんなことをしてでも、国を引き継いでいかなきゃいけないでしょう? 違いますか? 目を覚ましてください。
投稿: WJF | 2013年5月20日 (月) 04時11分
何と言いますか
今回の「洗脳手法のまとめ」を読みますと、「他を批判する」こと
自体が洗脳だと言っているに等しい結果になっています
wjf様が現在行っているキャンペーンもまた洗脳ではあります
私はwfj様に示唆を多くうけつつも、
色々考えた結果、次の選挙ではやはり自民党にしました
どの政党にチェンジしてもアメリカはtppを押し付けてくると思います
であるなら実務能力が一番ある自民党しかないのでは
他党特に民主党などではもっとズルズルに受けいれてしまいます
悲しいことですが
その上で国民ができることは、本当に不利な条件でtppを締結することが
決まったら、その時に暴動なり革命なり蜂起すればいいのです
民主主義とはそういうことかと
投稿: jugem | 2013年5月20日 (月) 03時37分
彼は安部氏を「戦後レジームを守ろうとする勢力の中で孤立した形で、戦後レジームからの脱却を言っている」と評しています。
こうして聞くと、安部氏が戦後レジームからの脱却のため、あたかも孤軍奮闘しているように聞こえます。
しかし、安部氏の今までの言動から、彼が戦後レジームから脱却する気はさらさらなく、むしろ更に進めようとしていることは明白です。
米中が手を組んで日本外しをしているということにしても、TPPは対中包囲網というのが所謂保守の人たちの言い分でしたが、それも矛盾しています。
改めてダブルバインドをはじめとした洗脳手法の恐ろしさを痛感しました。
新しい動画、楽しみにしています。
投稿: ときわ | 2013年5月19日 (日) 13時38分