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2013年4月28日 (日)

「主権回復の日」が孕む自己矛盾

本日4月28日、安倍自民党政権は、1952年4月28日のサンフランシスコ講和条約の発効を記念するために、「主権回復の日」と銘打って、天皇陛下をお招きし、政府で式典を開催する予定です。

果たして、サンフランシスコ講和条約の発効日とは、本当に、天皇陛下をお招きし、国を挙げて祝うにふさわしい日なのでしょうか。

これまで当ブログでは、

「日本を取り戻す」と言いながら「日本を売り渡す」

「TPP絶対反対」と言いながら、TPPを積極的に推進する「安倍政権を絶対支持する」

などといった、安倍政権や、安倍政権を支持する人々の見せる自己矛盾した姿勢を、「ダブルバインド」という心理学の用語を使って批判してきました。

しかし、よく考えてみるならば、サンフランシスコ講和条約の発効を持って始まった「戦後レジーム」そのものが、その始まりから、まさに「ダブルバインド」そのものだったのかもしれません。

なぜならば、サンフランシスコ講和条約の発効によって、日本は、表向きは主権を回復し国際社会に受け入れられましたが、それと同時に、同日に発効した日米安保条約によって、主権回復後も外国の軍隊が日本の国内に駐留し続けることになったからです。

「主権が回復したのだ」と国際社会や国民に対して宣言すると同時に、主権が回復することと正逆に外国の軍隊が駐留することが定められたのですから、「戦後レジーム」そのものが「ダブルバインド」的な自己矛盾を孕んだものだったと言ってよいと思います。

また、単に「戦後レジーム」そのものが「ダブルバインド」的であるばかりではありません。

「戦後レジームからの脱却」というスローガンを掲げて選挙に勝利した政権が、わざわざ「戦後レジーム」の開始日を祝うという行為もまた、きわめて「ダブルバインド」的な自己矛盾した行為であると思います。

サンフランシスコ講和条約の発効日を日本政府が祝うという行為は、「戦後レジーム」からの脱却どころか、同条約の発効によって開始された「戦後レジーム」を賛美し、肯定し、正当化する行為にほかならないからです。

安倍政権や自民党が、サンフランシスコ講和条約の発効をもって、本当に日本の主権が回復したと考え、日本政府が祝うべき日であると考えるのならば、「戦後レジームからの脱却」などというスローガンを掲げて衆議院選挙を戦ったことは茶番にすぎなかったということになってしまいます。

しかし、安倍政権が「主権回復の日」を祝う行為が孕む自己矛盾はこれには留まりません。

TPP交渉に参加を表明し、日本の主権を嬉々として放棄しつつある政権が「主権回復」を祝うこともまた自己矛盾に満ちた「ダブルバインド」的な行為です。

まだあります。

欧米の不当な要求に対して日本の自主独立を堅持し、欧米の帝国主義からアジアを解放するという大義に命を捧げた英霊を祀る靖国神社に閣僚が参拝し「わが閣僚はどんな脅かしにも屈しない」と勇ましく擁護したその政権が、戦後7年間に及ぶGHQによる日本改造、「悪の軍国主義国家日本の民主化」が完了して「これでよし」としてアメリカからお墨付きをもらえた日にすぎないサンフランシスコ講和条約の発効を祝うことの持つ自己矛盾です。

サンフランシスコ講和条約の発効を祝うという行為の背後には、「アメリカに自由や民主主義という価値観を教えてもらったことを称える」という自虐的な歴史観が隠れています。この歴史観は、「靖国神社に参拝する」という行為が示す歴史観とは180度食い違うものです。

このように、安倍政権が「主権回復の日」と称してサンフランシスコ講和条約の発効を祝う行為の背後には、二重、三重、四重の「ダブルバインド」(自己矛盾)が隠されています。

私が不可解に思うのは、一体、誰が、このような奇怪なほどの自己矛盾に満ち満ちた構想を思いつき、推進したのかということです。

少なくとも国民の間から自然に生まれた構想ではありません。

構想した人物や集団の名前や議論のプロセスは、私たちには何も明かされないまま、「主権回復の日」は一つの既成事実として、本日、天皇陛下をお招きして日本政府によって祝われます。

(追記: 誰がこんなばかばかしい構想を推し進めたのかといぶかしく思っていましたが、チャンネル桜の次の動画に説明が書かれてありました。)

サンフランシスコ講和条約が発効し、占領状態から主権国家に復帰した4月28日を国民­の記念日に制定しようと、民間有志が15年に亘り続けてきた国民運動は、遂に超党派の­議連成立を実現させ、近く議員立法として国会に提出される見通しになった。

沖縄県民の反発をまねいておきながら、「国民運動」もへったくれもありません。


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戦後体制と冷戦構造」カテゴリの記事

コメント

たかたろさん

アドバイスありがとうございます。
工夫の余地はまだあると思うので、色々と考えてみたいと思います。

ニコニコ動画のフィールドでも、安倍政権などを批判する動画を投稿してくださる投稿者様も増え始めてきたので良かったと思います。

私はニコニコに専念しているので、ツイッターやフェイスブックなど他のフィールドの情勢がイマイチ分かっていません。
ニコニコの政治カテゴリはひどい方だと思います。私(達)がニコニコで積み重ねたことが、そろそろ役に立って欲しいところです。参院選まで残り一か月になり、不発で終るのか火が着いて爆発するのか。いい加減に火がついて欲しいところです。

投稿: よしふる | 2013年6月20日 (木) 11時16分

よしふるさん

もう大部分の記事を動画になさってるので、今頃言っても仕方ないかも知れませんが、「安倍政権の危険を拡散してください」という文章を動画の中にも入れてはいかがでしょうか?

おそらく視聴者の大部分は「動画説明」を見てないと思います。

あと思ったのですが、既に作成なさった動画をタイトルだけ変えて(例えば”(再)”をつける)アップロードするのはどうでしょうか?

これの意図は「新着動画」として目につきやすくすることです。古い動画が埋もれてしまうのはもったいないように思いましたので。

投稿: たかたろ | 2013年6月20日 (木) 02時37分

こちらの記事を動画にして、ニコニコ動画に投稿しました。

「主権回復の日」が孕む自己矛盾
http://www.nicovideo.jp/watch/sm21154754

参院選に向けて、なるべく動画にしてニコニコ動画に投稿しておこうと思います。

投稿: よしふる | 2013年6月19日 (水) 23時31分

わんこさん
「ダブルバインド」とは、Aという人物の価値観と、Bという人物の価値観が矛盾しているということを言うのではありません。Aという同一人物が、矛盾したメッセージを同時に発する事をいいます。自己矛盾は多かれ少なかれ誰もが持つものですが、各自、恋人同士や家庭の中だけで済ませるべきでしょう。一国の総理大臣が「日本を取り戻す」と言って国民を欺きながら、実際には「国を売り渡す」ような自己矛盾は許されるものではありません。また未来の世代に責任をもつ日本国民が、「TPPや道州制や消費税に反対する」といいながら、TPPや道州制や消費税増税を積極的に推進する安倍政権を支持するなどという自己矛盾も許されるものではありません。なぜならばTPPや道州制や消費税増税は、安倍政権の政策の中に「何かの間違いでうっかり紛れ込んでしまったもの」なのではなく、それこそが彼らが目指している根幹だからです。新自由主義的な構造改革を実現させることを自らの指命と信じ込んでいる安倍政権を支持しながら、どうやって、TPPや日中韓FTAや道州制や消費税増税を止められるのでしょうか。このままでは英語の公用語化や、水道の民営化まで実行に移されてしまいます。

>心理学の用語とか言ってエラそうに知識をひけらかしているようにしか思いません。

学んだ事、知っていること、考えていることを伝えるために、ブログを書き、動画を作っています。また人に伝えるために、本を読んだり、勉強をしたり、考えたりしています。そのことの何か問題でしょうか? 私自身は何も問題だとは思いませんので、これからもがんばって勉強をし、知識を思う存分ひけらかすつもりです。

投稿: WJF | 2013年4月28日 (日) 23時24分

>「ダブルバインド」という心理学の用語を使って批判
安倍支持派ですが、TPPや消費税増税には反対の立場です。
人それぞれ、価値観の優先順位や経験が違うので、
こういった批判には納得できません。
安倍総理と人格が同じならダブルバインドという現象はおきないでしょう。政権の大臣でさえ別の人格ですのでTPPには反対の人もいるはず。
安倍総理以外の人は、何かしらダブルバインドを抱えているってことですよ。奥さんでさえ

心理学の用語とか言ってエラそうに知識をひけらかしているようにしか思いません。

投稿: わんこ | 2013年4月28日 (日) 23時10分

うさぎさん

一橋大学名誉教授の方も同様の指摘をしているようで、WJFさんがこちらでご紹介しています。

安倍政権の本質: 保守主義と新自由主義の結合
http://wondrousjapanforever.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-5981.html


愛国心を利用して売国行為を行うなんて、まるで差別利権者のようなやり口です。(弱者(=被害者)の立場を叫んで、強者(=加害者)の立場を得る) 人の心を踏みにじるという点で、”死ぬ死ぬ詐欺”をも連想させます。
彼らはきっと、少し愛国的な発言をすればネットから讃える言葉がわき出る状況を見て、心の中で笑いが止まらないことでしょう。腹立たしい限りです。

投稿: たかたろ | 2013年4月28日 (日) 14時18分

安倍内閣は、TPP問題でも分かるように、大変な大きな自己矛盾をかかえながら、日本を危うい方向へ導いています。

この主権回復の日は、戦後レジームがスタートされた日でもあるのに、戦後レジーム脱却を目指す政権が祝うとは、本当に狂っているとしか考えられません。

特に極めて強い怒りを覚えるのが、天皇陛下が先帝の代で沖縄がこの日から20年近く米国の植民地として統治されていることにご心痛され、その思いを受け継がれた今上陛下を、よりによってこの屈辱の日にご出席させたことです。

安倍総理は、国民を分断させるようなこのような式典を平然と行い、そして陛下を政治利用までする、売国奴かつ逆賊であることを確信しました。1日も早くこのような偽保守政権が瓦解しなければ、日本のほうが壊れてしまいます。

投稿: こしき | 2013年4月28日 (日) 13時43分

天皇陛下を招きが策略と思います。我々の天皇陛下では?
さて
昨日27日TPP反対デモに宮下公園に行きましたが参加人数は30名足らずでしたが、コールがハキハキしていて何万人かの行きかう人々にアピール出来たかも?

渋谷の道行く若いかたは手摺りTPPパンフレットを受け取るはほぼ皆無。

きちんと報道しないTPPで とりあえず国益を守るに安心なのでしょうか。
3Sで羊な愚民にナってしまったのか無関心。
安倍首相はアジア・ゲートウェイ構想を第1次内閣のとき掲げ既にグローバル主義は見えていたとか。残念ながらコソケケφのときも見破れなかった愚民でした。

そうこうしている内に安保条約のように決めるTPPと言われてます。
世界革命行動計画25ヶ条を密かに進めていたユダ金ロス茶やロック、その上には まだいるそうだ。

安倍ちゃんも、そう言う人達に取り込まている。
政治家バイブル
「上手に話せ、そして分からないように嘘を付け」
の通りな安倍ちゃん。
日米交渉は対等ではなかったを孫崎氏の戦後史の正体で知りました。日米協議の部屋に入る前だけは こやかにとは新聞テレビ派は騙されていた。そして協議結果はワザワザ小難しくして庶民に煙幕。

絶対絶命を救うは愚民にTPPに関心を持って貰うことですが。なかなかTPP論議なんて日常では怪訝に。議員を繰る官僚どもは高笑い。

さて在得会(帰化チョウセンのかた)対在日抗争はA:Bの得意な構図を作り、日本人の取り締まりを厳しくする為では無いかと懸念してます。日本人デモは整然で後の日本人に迷惑を掛けないが基本とかです。

黙っていては賛成と思われてしまいます。
首相官邸Fax03ー3581ー3883
自民党本部Fax03ー5511ー8855
安倍晋三事務所Fax03ー3508ー3602>
バカB層にして おくほうが権力者に取っては都合がよい。

投稿: こんにちは | 2013年4月28日 (日) 11時16分

WJFさま、示唆に富んだ問題提起ありがとうございます。昨日の朝日社会面に、安倍政権と愛国心についての慶大教授の分析が載ってましたね。「この政権の本質は新自由主義で、ナショナリズムは新自由主義によってバラバラにされる個人を統合するための安上がりな仕掛け」だと読めるそうです。
憲法草案に家族主義を盛り込んだのも、公的扶助を安くあげるため。主権回復の日も同様の安上がり国民統合イベント。戦前回帰的な志向性をもつが、戦前との違いは「大きな政府」ではなく、あとは自分で何とかしなさいという「小さな政府」だということだそうです。安倍さん自身がどのくらい確信犯かはわかりませんが、少なくともその主張や彼に従う「保守」がコーポラティズムに利用されている側面は否定できません。
自主独立と隷米、ひいては戦後史自体の矛盾が主権回復の日によって逆に明らかになるという皮肉や、愛国心は手段だということが、彼の支持者にはわからないのかな。いずれにしろこれからどんどん矛盾が大きくなっていくでしょうね。

投稿: うさぎ | 2013年4月28日 (日) 11時11分

WJF様

天皇陛下の政治利用。
天皇陛下の御前で日本を売り渡しながら、これ以上の愚弄・無礼はないと感じます。

投稿: 中野剛志さんのファン | 2013年4月28日 (日) 08時25分

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