インチキな二人の仕立て屋の大いなる自己矛盾
三橋貴明氏からは、公開質問状に回答はありませんでした。おそらく、お話になれない事情がおありなのでしょう。
昨日、三橋氏は西田昌司氏と共にTPP反対派の論客として、TVタックルに出演されていたようです。
三橋氏も、西田氏も、TPPの問題点と危険性を、いつものように舌鋒鋭く明確に指摘し、国民に周知してくださいました。
これだけなら100点満点です。
何の不満も疑念もありません。
「よくやってくれた」と拍手喝采を送りたいです。
問題は、彼らがTPPに反対すればするほど、
どうしてTPPに強く反対する彼らが、TPP交渉参加に前のめりな姿勢を示す安倍晋三を支持してきたのかという、彼らのかかえる自己矛盾が、このことによって、いっそう鮮明に浮き彫りになってしまう点です。
ジャーナリストの青木直人氏は、安倍晋三は「市場経済推進論者」であるとはっきりと指摘しています。
黒田ノミネートから安倍晋三という政治家のもう一つの顔が見えてきます。彼は市場経済推進論者であり、尖閣事件以後も、中国との「戦略的互恵関係」を見直すと言ったことはありません。これが黒田総裁就任の背景です。
中野剛志氏も、安倍政権の新自由主義的な傾向と、TPP交渉参加に前のめりな姿勢を鋭く批判しています。
しかし、「瑞穂の国の資本主義」を実現し、日本を取り戻そうと本気で決意した政治家が、社内では英語、公の場ではルー語をしゃべる社長や、トリクル・ダウンを主張するグローバル企業経営者、新自由主義の経済学者、外資系コンサルタント企業社長、ましてや、外資系金融機関のアメリカ人アナリストなんかの意見を聞くものなのでしょうか?そして、TPPに参加しようと思うものなのでしょうか?
安倍政権になって、株価も内閣支持率も上がっています。しかし、この政権には、私たち日本人にとって、何か一番大事なものが欠けているように思えてなりません。
反TPPの論客として知られる東谷暁氏も1月21日の日本農業新聞で、安倍政権は構造改革路線を志向していると指摘していました。
安倍晋三は、2月28日衆院予算委員会で、日米首脳会談前に自民党が強く守るように求めていた6条件のうち、第一条を除く残りの5条は公約でないと言い出しました。
このように、安倍晋三の新自由主義的な傾向や、TPP交渉に前向きな姿勢は既に明らかなのですが、
それにも関わらず、三橋貴明氏は、あいも変わらず、ウルトラマンの各エピソードに登場するような単純な善悪二元論を繰り出すことで、安倍政権や自民党を絶賛し続けています。
「自民党(善)vs民主党(悪)」
「安倍政権(善)vs市場原理主義者(悪)」
「安倍政権(善)vs自民党内のTPP推進論者(悪)」
「安倍政権(善)vsマスコミ(悪)」
このように、毎日、毎日、安倍政権や自民党を「善」の側におくことによって絶対的な擁護を続け、安倍政権が、絶対的な「善」であり正義である、唯一真正の保守政権であるかのような誤ったイメージをブログの読者に刷り込んできました。
(道州制やTPPによる、徹底した規制撤廃とグローバル化を目論む安倍政権が行う金融緩和と財政出動は、三橋氏がつねづね語ってきた国民経済の強化をめざした経済政策とは全く異質なものであったことが既にあきらかなのですが、三橋氏はそのことにもふれようとしません。)
このことによって、人々が洗脳状況に陥りやすいダブルバインド的な状況が作り出されて、国民は、一体安倍政権は新自由主義政権なのか、そうではないのか、はっきりと判断のつかないまま、とにかく安倍晋三を信じ続けるという状況においこまれてきました。
さらには、次のようなプロセスによって、国民は、安倍晋三率いる自民党に投票するように誘導さえされてきました。
2. 国民はTPPに強い警戒心を抱くようになる。
3. 安倍晋三が、「TPP交渉には参加しない」と国民が誤解するような公約を掲げる。
4. 三橋氏と西田氏のようなTPP反対派が、安倍晋三を強く支持する。
5. TPPの危険性を恐れる国民は、安倍晋三が新自由主義者ではないと誤解し、かつTPP交渉には絶対に参加しないと信じて、自民党に投票する。
6. 安倍政権のTPPに前向きな姿勢が明らかになった後でも、三橋氏と西田氏が、TPPに反対し、かつ安倍晋三を支持するという矛盾した態度を示すことで、安倍氏の立場があいまいになり、国民は反対の声をあげることを控えるようになる。
(実際に三橋氏は、「安倍総理は時間かせぎをしてバスが発車するのを待っているだけだ」とか、「マスコミの飛ばし」と発言して批判を沈静化させようと努めてきました。)
実際に、安倍晋三はTPPに反対していると信じて自民党に投票された方はかなり多かったのではないでしょうか。
三橋と西田の両氏は、TPPに強く反対しながら、TPP交渉参加が実現する方向に、結果的に、世論を強く誘導してきたことになります。
三橋貴明氏は、いまだに安倍晋三の新自由主義的な傾向についてブログで一言も言及されようとしません。
彼は本当に安倍晋三が新自由主義者であるという、政治を見てきたものなら誰でも知っている基本的な事実をご存知なかったのでしょうか。
彼は、本当に、いまもその事実にお気づきではないのでしょうか。
そんなはずはないのですが・・・。
三橋貴明氏や、西田昌司氏のような、TPP反対論者が、TPPを前向きな安倍晋三を支持しつづけるというこの奇妙な自己矛盾。
謎は深まるばかりですが、三橋氏は真意をご説明にはなりません。
このように、安倍政権を巡っては、あまりにも不可解な矛盾が多すぎます。
※最後に、三橋ブログのみなさんへ
TPPや道州制の下では、三橋氏が説いてこられた経済政策は成立不能であることはご理解になりませんか? そして安倍政権は現に道州制を公約に掲げ、実現にむけて着々と準備を進めています。このことが何を意味するかお解りですよね? だからこそ、どうして安倍政権が道州制を公約にしているという最も基本的なことを「見ざる・聞かざる・言わざる」を決め込んで、ブログで全く取り上げない理由はなんなのかと三橋氏に尋ねているのです。三橋さんは、このままでは詰んでしまうと思われませんか?
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コメント
こちらの記事を動画にして、ニコニコ動画に投稿しました。
インチキな二人の仕立て屋の大いなる自己矛盾
http://www.nicovideo.jp/watch/sm21162891
竹中平蔵氏が意味の分からないことを言っています。
竹中氏「やらざるを得ない」来年の消費増税を容認(13/06/19)
http://www.youtube.com/watch?v=dNp7MGqw6oA
http://www.nicovideo.jp/watch/sm21156763
投稿: よしふる | 2013年6月20日 (木) 23時37分
こちらのサイトを見て、三橋氏、西田氏、チャンネル桜が意図的に安倍氏支持に誘導していたことが理解できました。
しかし一体何故みんな安倍氏への誘導なのか?
噂では倉山氏、上念氏が「TPP参加表明しても大したことない」かのようなことを言ってるとかなんとか。
チャンネルAJERは会員登録しないと後編が見れなくなりました。
何か不穏なものを感じます。
テレビや新聞が民主党の悪政を全然批判しなかったように、ネットが安倍氏を支持するよう何らかの工作が行われている、ということでしょうか。
ネットに圧力をかけられるとなると、ネット選挙の話も胡散臭さを帯びてきます。
投稿: たかたろ | 2013年3月24日 (日) 00時46分
私も、この様に投稿出来るようになったのも、他でもない政治、経済を勉強させていただいた三橋さんのお陰です。ですからある意味本当に感謝しています。
でも、だからこそWJFさんの言われるように大いなる矛盾だらけになってしまいます。
ここまでたどり着かれた方、その気持ちを大切にしてください。
その羅針盤を信じてください。
私達の思いはただ一つ「日本を守ること」ですよね。
たとえ、どれだけ素晴らしいと思っていた人、思想、論点でもその一点で曇り始めたら我に還ることです。本末転倒になってしまいます。
それほどの緊急事態です。
心の泉に耳を傾けて下さりありがとうございます。
投稿: 青い水 | 2013年3月 6日 (水) 09時22分
国際勝共連合の新聞に文鮮明と安倍総理の写真がでており、統一教会であることがわかった今、安倍政権が続いたら、日本は統一教会の教えに変えられていく可能性が高いということですね。
水島さんの安倍総理はTPPには参加するでしょうと平気でいってのけた言葉を耳にするまではチャンネル桜の報道に違和感がありませんでした。チャンネル桜は統一教会の洗脳機関ということですか。表向き中立を保ちながら統一教会の教えを織り交ぜていくやり方なのでしょうか。
水島さんはチャンネル桜を日本を主語とする報道機関と言っています。
助走期間は綺麗事で人心を集め、その後日本を粉々にする計画なのかなと飛躍した考え方ですが思ってしまいます。
というのは統一教会が宗教であり、非課税でダミーの金が流れるからです。
アメリカのCIAが日本管理のために創価学会と統一教会を置いたとされる宗教だからです。
創価学会の昔の急速な発展は若者の人心を集めたことにありました。創価学会はお金を一銭も集めないといって事実昭和60年頃までお金を強要されたことがありませんでした。創価学会は誰でも海外に何回も行けるほど金持ちになると指導していました。
公明党は永遠に民衆の側に立つと言っていました。
現在はどうでしょうか。多くは語りませんが、日本に様々な問題をかもしだしている宗教ということがわかると思います。
今本当に日本の危機に立たされています。
安倍政権の高支持率を背景にこれから起こるであろう政策の一つ一つがこれからの日本に大きな影響を与えることは間違いないと思います。
10年経ってしまったと思っても後の祭りです。
投稿: きらぼし | 2013年3月 6日 (水) 05時15分
確かに西田さんと三橋さんの理論はかねてから尊敬していますが安倍さん擁護で一致しています。
西田さんや水島さんやシーラ千賀子さんの口からTPPの危険性を訴えておきながら日本はTPPに入らなければいけないと口を濁す発言をしています。
今週の週間西田では安倍さんは新自由主義者をうまく使いながら懐刀を抜くみたいなことを言ってやはり安倍さんを擁護していましたが、懐刀を抜くとはTPP入らないことなのでしょうかね。
投稿: カラス | 2013年3月 6日 (水) 00時03分