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2013年2月15日 (金)

安倍氏のTPP公約の欺瞞性

安倍政権は、アメリカに、関税撤廃のいくつかの例外品目を認めさせる交渉を行い、妥協を引き出(すふりを)して、TPP参加を表明するだろう。それが既定のシナリオである。

年頭から、繰り返し、私はこのようにみなさんに警告してきましたが、TPP反対の論客の一人、東谷暁氏が、脱力するような記事を産經新聞にあげています。

安倍氏は「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、TPP交渉参加に反対する」という公約を掲げてきましたが、衆院選後からは「関税撤廃の例外品目が認められれば、TPPに参加する」可能性を示唆するようになり、今月下旬に予定されている日米首脳会談では、TPPを議題として取り上げ、関税撤廃に例外品目を設けられるかどうかを直接オバマ大統領に確認するとしています。

しかし、東谷暁氏によれば、「聖域なき関税撤廃」など最初から存在せず、例外品目が認められることは始めから織り込みずみであり、安倍氏の公約は「TPPに参加する」と事実上言っているに等しいというのです。

まさに、私が申し上げた通り、「関税撤廃のいくつかの例外品目を認めさせる交渉を行い、妥協を引き出すフリ」なのであり、国民の目を欺くためのばかばかしい茶番です。

ジャーナリスト・東谷暁 不適切な「議題設定」

安倍晋三首相は、2月下旬に予定されている訪米のさい、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について、オバマ大統領から「聖域なき関税撤廃」を目指すのか否か「感触」を得ると述べている。しかし、たとえ外交が政府の専権事項だとしても、これは国民に提示するアジェンダ・セッティング(議題設定)としては不適切と言わざるをえない。

 というのは、貿易だけで成立している都市国家でもなければ「聖域なき関税撤廃」など不可能であり、ほかでもない米国こそ「聖域なき関税撤廃」を望んでいないからだ。米国はすでにオーストラリアとの米豪FTA(自由貿易協定)において砂糖を例外品目としたが、TPPにおいてもこれを前提とすると宣言している。また、ニュージーランドからの乳製品も、断固として例外品目とすることを目指している。

 米国は典型的な農業保護国で、間接補助金と高関税で保護してきた砂糖以外にも、タバコ関税350%、落花生163・8%、ピーナツバター131・8%など高関税品目が多くある。また履物37・5%、ガラス製品は最高で38%、衣料品も最高で32%、トラック25%など多くの分野で高関税を維持してきた。オバマ大統領は支持者である国内製造の某スポーツ・シューズ・メーカーに配慮して、履物の例外品目扱いをほのめかし、「ダブルスタンダード」と批判されたほどだ。

 安倍首相がオバマ大統領に「米国はTPPで聖域なき関税撤廃を考えていますか」と聞けば、オバマ大統領は「そんなことは考えていない」と答えるに決まっている。それをTPP参加の条件とするというのは事実上の参加表明であり、たとえ安倍首相の本意ではないとしても、国民を欺いていることになるだろう。

 これまでも、TPPについて日米政府のアジェンダ・セッティングには奇妙なものが多かった。日本の高官が米国の高官に「米国は日本の公的医療保険制度を廃止しようとしていますか」と聞いたら「他国の制度を廃止するわけがない」と答えたからもう安心だと報道された。

 しかし、2010年9月に米国通商代表部は「医薬品へのアクセスの拡大のためのTPP貿易目標」で、TPP参加国に公的医療保険制度における「払(はらい)戻(もどし)制度」の公平性と透明性を要求すると述べている。米国は「廃止」を要求しないにしても明らかに「変更」を目指しているのだ。米国政府はこれを「薬価問題」だとしているが、払戻制度は保険適用範囲を決定する公的医療保険制度の根幹である。

 すでに米豪FTAおよび米韓FTAにおいて、米国は相手国に公的医療保険制度を「変更」させることに成功した。米国は医療機器でも、参加国の制度変更を言い出す可能性がある。自国には公的医療保険制度も払戻制度もないにもかかわらず、自国の医療産業のために他国にその変更を要求する米国の姿勢はやはり傲慢なものといえる。

 安倍首相が国民を欺かないためには、まず参加・不参加以前に欺瞞(ぎまん)的なアジェンダ・セッティングをやめるべきだ。そして公的医療保険制度・投資家保護条項・保険問題も考慮した、昨年の自民党による「TPPについての考え方」に立ち戻るべきだろう。(ひがしたに さとし)

産經新聞

竹島の日、尖閣公務員常駐、靖国参拝、 建国記念の日、宮沢・河野・村山談話の修正などの他の公約と同じく、TPPに関する公約も、私たちを騙すためのウソだったわけです。

「日本を取り戻す」「戦後レジームからの脱却」「美しい日本」「瑞穂の国の資本主義」

このような美しい言葉を並べてきた政治家が、TPPや道州制を通して、日本の歴史上最大の売国を行う。

このような政治家を救世主のごとく、多くの人たちが信奉し続けている。

多くの「保守」論客たちは、事実を隠蔽したまま、国民を騙し続けている。

誰も本当のことを見ようとしない。語ろうとしない。

私たちの国を守ろうとして散っていった英霊の方々。

絨毯爆撃の下で、原爆の火で焼かれていった人々。

私たちは、日本がこんな情けない国になってしまったことを、彼らにどうお詫びしたらいいのでしょうか。

日本は二回目の敗戦を迎えようとしています。

一度目は武力によって日本はアメリカに敗れました。

二度目は戦後70年にわたる、教育と同化と洗脳と政治的陰謀によって、私たちの祖国はこの国に完全に呑み込まれようとしています。


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安倍氏のTPP公約の欺瞞性
http://www.nicovideo.jp/watch/sm21240508

投稿: よしふる | 2013年6月30日 (日) 14時49分

アメリカの遣り口は分かっています。
自由貿易を謳いながら、自国の都合の悪いことは保護貿易に徹します。
これまでの過去を振り返れば、誰しも否定しないでしょう。

TPPは単なる貿易協定ではありません。
自由経済というアメリカに都合のよい解釈が可能な、物品に限らずサービスや投資にまで及ぶ、多角的で広範に渡っている協定です。

この協定に加盟してもメリットは限定的で、それよりも日本の文化そのものが浸食、破壊される恐れが極めて高いのです。
市場の無用な開放は、その国独自の文化によって培われてきた市場や産品が駆逐されかねません。

TPPを(自動車の)バスに例えるならば、一度その乗客となれば下車は許されず、何処に連れていかれるかも分かりません。
それよりも日本は日本独自の規格で産出された(第3のエコカーと呼ばれる)軽自動車にでも乗って自由に走った方が良いです。

TPPで軽自動車の規格も「改善」されると言われています。
市場参入障壁だそうですが、日本の地方都市では、自動車はほぼ一人一台必要だそうです。
でないと生活ができないのです。
その軽自動車もなくなるかもしれないのです。
このことは、交渉に参加しないと分からないそうです。
しかし交渉に参加して、日本の主張が通って行く保証はどこにもありません。
また、交渉を中断、離席ができるかも不透明です。
これは、ほんの一例ですが、お気楽な企業家と政治家の多さに辟易します。

投稿: ケロ | 2013年2月15日 (金) 19時02分

アメリカが保護主義の国だとは、酷い話ですね。社会保険制度や国民の安全や健康を守る法令を廃止しては堪りません。最近になってアメリカは健康保険制度を導入しましたが、TPPで他国の制度を廃止しながらも、自国の制度を守るのでしょうね。

投稿: 琢 | 2013年2月15日 (金) 15時43分

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