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2013年2月13日 (水)

不可解な矛盾(1): 新自由主義的政権が反新自由主義と誤認されている矛盾

道州制推進を要望=新藤総務相「全面的に協力」-首長連合

8県15政令市の首長で構成する「道州制推進知事・指定都市市長連合」の村井嘉浩共同代表(宮城県知事)は12日、総務省で新藤義孝総務相と面会し、道州制の推進を要望した。総務相は、自民党が検討している道州制基本法を念頭に「機が熟せば法案が出てくる。それについてはわれわれも全面的に協力したい」と述べた。
 また、基本法に盛り込まれる見込みの道州制の制度設計を担う諮問機関をめぐり、村井氏は構成員に地方の代表を多く配置することなどを求めた。これに対し、総務相は「地方の代表を入れるのは、当然のことではないか」と述べ、前向きな姿勢を示した。(2013/02/12-21:17)

TPPのみならず、道州制も実現に向けて着実に一歩一歩進行しています。

外国人参政権どころのレベルではない、「国家の解体そのもの」が、まさに今、現実に行われようとしているのですが、異常なことに反対の声が全く広がっていきせん。

道州制というと、橋下や維新に批判が向けられるばかりで、実際にそれを実行に移そうとしている安倍政権には批判を向ける人はほとんどいません。

安倍政権が、実際に公約に道州制を掲げており、かつ、安倍氏本人が、以前から政界一の道州制の推進論者であるという客観的な事実を、誰も真っすぐに見ようとしません。

これには理由があります。

道州制をはじめ、従来より新自由主義的な政策を推進してきた安倍氏のような政治家を、かねてから道州制やTPP、新自由主義に反対していたはずの西田昌司氏や、三橋貴明氏、チャンネル桜までもが、神格化し、絶対化し、支持を煽ってきたからです。

新自由主義に反対する人々が安倍首相を熱烈に支持することで、安倍氏自身が従来から持つ新自由主義的な本質が隠蔽され、あたかも安倍氏自身も新自由主義に反対しているようなイメージがばらまかれてきました。

新自由主義に反対する人々が、新自由主義者を支持する。

この矛盾は、一体どこから生まれたものなのでしょうか。

事実1: 安倍氏はかねてから道州制の推進論者であり、自民党幹事長として小泉構造改革を推進し、第一次安倍内閣では小泉構造改革を継承し、アジア・ゲートウェイ構想というグローバル化政策を推進し、移民に積極的であり、現政権でも閣僚を新自由主義者で固め、小泉政権時の重鎮を配置し、安倍氏自身が明らかな新自由主義者である

事実2: 西田昌司氏や、三橋貴明氏、チャンネル桜は新自由主義に反対していた

どちらかの事実が「偽」でないと、この矛盾を説明できないのですが、一体どちらが「偽」なのでしょうか。

論理的に考えてみましょう。

「事実1」が、「真」であるとすると、「事実2」は「偽」ということになります。つまり、西田昌司氏や、三橋貴明氏、チャンネル桜が新自由主義に反対していたのは、見せかけであり、実際には、彼らはTPPや道州制といった新自由主義的政策を推進する側の人々であるということになります。反対していたのは、安倍氏の新自由主義的な本質を隠蔽するためだったということになります。

「事実2」の方が、「真」であるとすると、「事実1」は、「偽」ということになります。つまり、安倍氏自身は道州制を推進したり、新自由主義者で閣僚を固めたり、小泉政権では幹事長として小泉構造改革を推進していた人物であり、一見すると新自由主義者に見えるが、それは見せかけであり、実際はそうではない。安倍氏は真の愛国者であり、TPPや道州制に反対しており、国の枠組みを断固死守しようとしている。彼はアメリカの目をあざむくために、新自由主義者のふりをしているだけである。

「事実1」も「事実2」も真だとすると、西田昌司氏や、三橋貴明氏、チャンネル桜は、安倍氏の新自由主義的な本質を誤認していたということになります。しかし、彼らのように安倍氏に近く、頭のよい人たちが、安倍氏の本質を見間違うなどということがあるでしょうか。

どうして新自由主義に反対していた人たちが、新自由主義者を熱心に支持するという、このような奇妙な現象が生まれたのでしょうか。

また、その西田昌司氏が、「安倍総理は新自由主義者なんですか?」という視聴者の質問に答えて、次のような動画をあげていらっしゃいます。

念のため申し上げておきますが、西田昌司氏は、日頃から、対米自立を唱え、TPPや道州制などの新自由主義的な政策に強く反対されてきた方で、その点で私も高く評価し尊敬申し上げてきた政治家の一人です。

動画の中で西田氏は、「安倍総理は新自由主義者なんですか?」という質問に対して、次のようなことをおっしゃっています。

・世の中には、いろいろな考え方の人たちがいるので、閣僚の中に新自由主義的な人たちも混ざっている。
・しかし今のところは、何も問題は生じていない。
・戦後教育に洗脳された国民がほとんどの中で安倍総理は政策を実現していかなくてはならない。
・そのため目標の達成には時間がかかるので、長い目でみてほしい。

私も何かを実現するのには、時間と手間がかかることを理解しています。それがハードルの高い困難な課題であればあるほど、時間が長くかかります。私自身、偏見に満ちたアメリカの政治家たちになんとか慰安婦問題を納得させようとして、ああでもないこうでもないと、大変、手こずりながら動画を制作していますので、難しい目標を達成することは時間がかかることをよく理解しています。

しかし、安倍政権が何を目標とし実現しようとしているのかもう一度確認してみましょう。

安倍政権は、

・道州制を公約に掲げ、
・安倍総理自身が政界でいちばんの道州制の推進論者として知られており、
・安倍総理自身が、実際にその著書の中でも道州制を推進すると明言しており、
・安倍総理自らが、国会でも「道州制基本法」の早期制定を目指す考えを示している。

このように、新自由主義的な政策の実現を明確な目標に掲げている政権に「長い目で時間を与える」ことが何を意味するか。それは、当然のことながら新自由主義的な政策が実現することを意味します。

安倍政権が新自由主義とは反対の対米自立的な方向に公約を掲げていれば、「そのために時間をください」と、日頃、新自由主義に反対し対米自立を主張している西田氏のような方が呼びかけることは、筋が通っており、よく理解できます。

しかし、実際には新自由主義的な公約を掲げアメリカへの傾斜を深めようとしている安倍政権に、日頃、新自由主義に反対し対米自立を唱えている西田氏のような方が、「時間をください」と私たちに頼むというのは一体どういうことなのでしょうか。

矛盾に満ちており、実に奇妙です。

実は、西田氏は、動画の中で、「安倍総理は新自由主義者なんですか?」という肝心の質問には答えていません。安倍氏が道州制を実現しようとしている一点を見ただけでも、この質問の答えは、「安倍総理は新自由主義者である」が正解なのですが、西田氏はこの質問になぜか答えていません。

これは、三橋貴明氏やチャンネル桜にも同じことが言えるのですが、彼らはTPPや道州制の問題を一般論としては批判しますが、なぜか、安倍政権、というより安倍晋三氏自身が、それらの新自由主義的な政策を押し進めようとしているという事実は、巧妙に避けて触れようとしません。その最も重要な問題に触れない一方で、安倍氏への支持を国民に煽っています。そのようなことをすれば、安倍氏が新自由主義と反対の立場にたつ政治家であるような誤認が国民に広がることは当然のことです。西田氏や、三橋氏、チャンネル桜が行ってきたことの罪は大きいと思います。彼らが真の愛国者であるならば、ただちにこれまでの安倍氏への無責任な支持を取り下げて、安倍政権の新自由主義への強い傾斜を明確に批判し、国民にその危険性を警告し、啓蒙すべきです。

また、閣僚は、くじ引きで選ぶわけではありません。政策の実現のためにふさわしい人物を安倍総理自らが選ぶのであり、安倍氏は実際に新自由主義者で閣僚を固めています。

矛盾といえば、西田氏は、新自由主義に反対されてきたふだんの言動とは裏腹に、三党合意による消費税増税に賛成するという矛盾した行動もとられています。

ちなみに西田昌司氏は、そのイメージとは裏腹に、自民党の清和会というアメリカとはとても深い関係にあるグループに属しています。

西田氏は、大変頭の切れる方であり、参議院の予算委員会では、破綻のない明解な論理で的確な質問を浴びせ、民主党を追いつめてこられた方です。その姿を私自身とても心強く感じてきました。

最近の西田氏の言動は、あまりに歯切れが悪く、矛盾に満ちています。

安倍政権は、これ以外にも、頭をかしげざるをえない奇妙な矛盾に満ちあふれているのですが、これについては、また明日以降に取り上げたいと思います。


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コメント

こちらの記事を動画にして、ニコニコ動画に投稿しました。

不可解な矛盾(1):新自由主義的政権が反新自由主義と誤認されている矛盾
http://www.nicovideo.jp/watch/sm21235332

投稿: よしふる | 2013年6月29日 (土) 23時07分

あだりんさん、
私もこんな落とし穴が用意されていたとは予想もせず、油断していた愚か者です。決して自民党も安倍氏も積極的に支持していたわけではなく、かなり早くから安倍氏に違和感も感じており、従来から親米保守やアメリカの問題も批判するように心がけてはいたのですが、民主党政権を終わらせることが優先されるべきだろうと考えてしまいました。もっと早くから自民党の問題にもっと積極的に警鐘をならすべきだったと忸怩たる思いでいます。こういう事態をまねいた責任は自分にもあると反省しています。早く他の人たちも目を覚ましてくれるといいのですが。本当に大変なことになってきました。この危機をなんとか乗り越えて、今度こそ「本当の保守」政権を誕生させるための努力したいと思っています。

投稿: WJF | 2013年2月14日 (木) 08時41分

初めてコメントさせていただきます。
私は、2年ほど前から民主党に疑問を持ち、政治に興味を持ったものです。

そして、西田昌司先生の大ファンでもあります。

主様のブログを拝見させていただいたのは、ほんの少し前ですが、凄く納得する部分があります。

御託に漏れず、自民党総裁選は安倍氏を大応援し、選挙ではもちろん自民党を応援し、気付くとすっかり安倍信者になっていました。

前政権があまりにもひどかったので、今の安倍総理が耀いて見えるのではないでしょうか?

私も民間人の会議に竹中や、楽天三木谷等をメンバーに入れ始めた頃から、ちょっときな臭いなと思ってきてました。しかしながら、アンチ安倍のブログは、リチャードなにがしを始め、小沢信者のブログで気持ちが悪く、冷静にかつ客観的に現政権を分析しているブログにやっとたどり着いたと思ってます。

やはり、自民党清和会といえば、今はわかりませんが、某協会との関係や、CIAとも繋がっているので、私達が本当に求めている保守党にはほど遠い現状にあるのだと思います。

すべてを鵜呑みにするのではなく、是々非々で私達国民が賢くなければ、本質を見抜く力を持たなければ、日本は終わります。

もともと、動物園の檻の中にいるのが私達です。

そのように長い期間を経て、骨抜きにされたのです。

しかし、主様に共感する人はこれから増えて行くと思います。

微力ながら、私もしっかり安倍政権を監視して、道州制、TPP は断固反対!出来る限り拡散していきます。

あだりん。でした。

(メールにてコメントを投稿をいただき代わりにWJFが投稿させていただきました。)

投稿: あだりん | 2013年2月14日 (木) 08時31分

冷戦時代、日米同盟は、資本主義という経済システムを守るために機能したかもしれませんが、日本文明を守ったわけではありません。日本文明はしなやかでしたたかですから、外国の文物が入ってきたぐらいで簡単に同化されたりしないのですが、「日米同盟は、そもそも日本文明を守るために構想されたものではない」という当たり前のことは、国を愛する人たちは肝に銘じておくべきです。愛国者を名乗る人たちが、日本ではなく、それ以外の何かを守るたに構想されている「日米同盟」という言葉を振りかざすほど、しらじらしいことはありません。

投稿: WJF | 2013年2月13日 (水) 20時09分

日本が戦後世界第2位の経済大国となるまで、殆ど自民党が与党第一党でありました。このような見方が正しいか分かりませんが、自民党が日本の伝統や国柄を売った為、日本は経済大国になれたのではないでしょうか。
勇気を持って国難に立ち向かう、忍耐を以て苦難に耐える、様々な不足を我慢する。こうしたことには精神的なエネルギーが必要です。そしてエネルギーはカネになります。自分の国は自分で守るという気概を「売った」為、米軍に依存し必要な軍事費を経済分野に振り向けられた。質素倹約は美徳であるという気質を「売った」為、人々は浪費を好むようになり、景気が上向いた。そして得たカネを欲望の赴くまま更に増やそうとして、道州制やTPP推進に向かう。
今の自民党に批判を浴びせる人が少ないのは自然なことなのでしょう。円安となり、株価が上がり、多くの日本人が益々肥えられるのですから。日本精神を切り売りし、日本の伝統も独立の気概も失い家畜のような存在となった日本人は、今後更に肥え太り、解体され、いずれ誰かの胃袋に収まるのでしょう。安倍首相が言っているのではない、利他主義が根底にある真の「瑞穂の国の資本主義」を取り戻す必要があります。何だかトンデモのようなコメントですね。お目汚し失礼しました。

投稿: PAG | 2013年2月13日 (水) 19時40分

PAGさん、対米従属の問題は、官僚依存と大きな関係があります。民主党の「無能」さにはいくつかの要因がありましたが、彼らが「政治主導」や「脱官僚依存」を行おうとしていたことがその要因の一つであったという背景も私たちは理解しておかなくてはなりません。対米自立を遂げようとすれば、アメリカに間接的にコントロールされている官僚から、政治が自由にならなくてはなりませんが、これをやろうとすると、ある程度の政治の停滞が生まれるのは必至です。将来、本当の意味での保守政権が誕生した際にも、同じ問題に直面することは私たちは知っておく必要があります。現在の自民党政権のスピード感は、官僚に依存し、官僚に丸投げしていた従来の自民党政治に戻ったという側面から生まれたものですが、これは同時に彼らの対米従属、アメリカの間接支配が再び始まったということも意味しています。この二面性を理解した上で現政権の見た目の「功績」を評価しなくてはならないと思います。どこもひどい政党ばかりで、日本文明の維持という課題を安心してゆだねられる政党は一つもありません。自民党がsecond bestなのかもしれませんが「売国」という点においては、彼らを抜きん出る政権は日本の歴史上存在しません。外国の間接支配を許し、日本を属国化させてきたという点では、古代から現代に至る日本のすべての時代を通じて、彼ら以上の売国奴はいなかったと言ってもよいでしょう。日本は戦争に負けましたが、日本の敗戦は、本来、必ずしもかくも長期的な外国の間接支配と結びつく必要のないはずのものでした。サンフランシスコ条約の調印までのアメリカによる支配は仕方のないものですが、その後もアメリカに支配されるいわれはありません。歴史上初めて日本を他国の属国の地位に陥れた自民党の歴史的責任は極めて大きいと思います。自民党に対しては、これまで以上に政権に対する厳しい国民の監視の目が注がれなくてはなりません。

投稿: WJF | 2013年2月13日 (水) 14時13分

何度でも申し上げます。占領憲法である日本国憲法の「改憲」を党是とする自民党に対米独立は不可能です。これは自民党員個々の思想や選挙戦略等によるものではなく、構造的に不可能なのです。
従い、西田議員であろうと保守派と言われるどのような政治家であろうと、自民党に所属する以上、構造的に対米従属するしかないのです。自民党が保守政党に成長することに期待してはなりません。
しかし、残念ながら自民党は現時点ではsecond bestと言わざるを得ません。民主党は無能の極みであり、維新は思想が纏まらない第二民主党、その他は新自由主義・カルト宗教・極左というカオスです。
各党に散らばる保守派の政治家が、他のどの国家にも依存しない政策を掲げて結党・成長するまで、自民党による売国政策を批判し続けなければなりません。

投稿: PAG | 2013年2月13日 (水) 13時02分

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