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2013年2月20日 (水)

安倍政権の本質: 保守主義と新自由主義の結合

一橋大学名誉教授の渡辺治という政治学者が、安倍政権の本質を的確に指摘した文章がありますので、ぜひお読み下さい。

【安倍政権誕生の背景と運動の課題】保守主義と新自由主義の結合

(前略)

三番目は天皇や家族の重視。新自由主義による企業リストラ、福祉の削減で貧富の格差が拡大し、社会の分裂が進んでいる。しかし社会統合の破綻を、所得再分配の政治で補うわけにはいかない。そこで天皇を中心としたまとまった社会や、家族による福祉などを持ち出す。

軍事大国の象徴である天皇というより、新自由主義で分裂した社会のまとまりの象徴である天皇像です。さらに彼らは日本の含み資産と言われた家族を復活させたい。

一見すると復古的に見えるけれど、新自由主義によって壊れた社会を再建するための天皇制や家族の役割の強調です。

――幻想をばらまいているだけと思えます。

新自由主義は、福祉国家や自民党型の利益誘導政治とも違い、自分の力で社会の分裂を修復できないのです。新自由主義の政策をやればやるほど社会は分裂してしまうので、ナショナリズムや新保守主義、強権政治と結びつかざるを得ない。

フランスで右翼が台頭しイギリスのサッチャーが新保守主義理念を振りかざしたのはその例です。

新保守主義は市場経済の昂進による個人の孤立、競争や伝統社会の絆の解体という見地から、新自由主義に厳しく反対します。教育についても、日の丸・君が代は強調しても、競争主義的な格差と分断には抵抗する。しかし安倍首相の掲げる保守主義には、新自由主義に反対する「健全な」部分はかけらもありません。大企業の発展のためなら、地域も伝統も容赦なく壊す、都合のよいところだけ復古的なものをつまみ食いしているだけです。

ひらたくいえば、安倍政権の押し進めようとする新自由主義的政策によって、格差は広がり、競争は激化し、弱肉強食の世の中になる。そうすれば人心は荒む。荒んだ人心を慰撫し、社会の分裂を防ぐために、日の丸や天皇という愛国的なシンボルが必要になる。

それが安倍政権の本質であると、渡辺治氏は述べています。

つまり、新自由主義政策を実現するために、人々の愛国心を利用する、ということです。

安倍政権は、一見すると、保守的・愛国的に見えますが、彼らは、決して、日本の「国体」、日本の文化や国家の枠組み、日本の国益を守り抜こうとしているわけではないということに、みなさんに気づいていただきたい。

日本の「国体」を守ろうとする政権が、党内に200名を超える反対者を抱えていながら、ただちにTPP不参加を決定しないなどということが考えられますか?

日本の「国体」を守ろうとする政権が、国家を切り刻む道州制を導入するなどということが考えられますか?

安倍政権の目的は、あくまで、大企業や国際金融資本に利益を誘導するために、TPPや道州制などの極めて過激な新自由主義政策を実現させて、国家の枠組み、つまり「国体」を解体し、解消し、希薄化させることにあります。

そのために、みなさんの愛国心を彼らは利用しています。

「新自由主義」という言葉が何を意味するのか、具体的にイメージしにくい方は、小泉政権時代を思い出してください。

社会の格差が広がり、「勝ち組」と「負け組」に国民が二分されました。ホリエモンのように一攫千金をものにする人々がいる一方で、失業者や、派遣労働者、お正月をあたたかな家の中で迎えることすらできないたくさんのホームレスが街にあふれました。自殺者も増えました。まじめに汗水垂らして働くことがばかばかしくなり、いかに楽をして儲けるかばかりを考える風潮が広がりました。家庭の主婦までもが投資にのめり込むようになりました。

靖国神社に参拝し、愛国者のふりをしながら、このような社会を日本にもたらしたのが小泉純一郎でした。そして、そのとき幹事長として小泉純一郎の売国を補佐していたのが安倍晋三です。

TPPや道州制が実現してしまったら、そのときに訪れるであろう格差社会は小泉時代の比ではありません。

「安倍さん、さすが」と手を叩きながら、

みなさんは、自分の子どもたちに地獄を用意しています。

「どうして、こんな世の中なの?」

「どうしてこんなに生き辛いの?」

彼らが、みなさんを恨めしそうに見つめる日がまもなくやってきます。

みなさんは日米同盟のためなら、TPPも仕方がないと考えるかもしれません。

安倍さんが決めることならば、安倍さんを信じて、受け入れようと思うかもしれません。

しかし、子どもたちに、上のように問われたとき、

「日米同盟のためなのだから、仕方がないじゃない」と説明できますか?

「安倍さんが決めたことなのだから、がまんして受け入れなさい」と答えられますか?

子どもたちに地獄を味合わせたくなければ、

今、体を張って、TPPと道州制を止めて下さい。

それこそが「大人の」日本人の責任であり義務です。

日本は、今、大変な危機の状態に置かれています。

目を覚ましていただきたい。

そして、声を挙げていただきたいと、強く願います。


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コメント

この記事を動画にして、ニコニコ動画に投稿しました。

安倍政権の本質:保守主義と新自由主義の結合
http://www.nicovideo.jp/watch/sm21218577

選挙までにできるだけ動画にして投稿したいと思います。
特にこの数日は、一日に2~3記事くらいは投稿する日もあるかもしれません。
投稿したことだけをお伝えする素気ないコメントになるかと思います。

投稿: よしふる | 2013年6月27日 (木) 22時23分

民主党の方がはるかにマシだった。
民主党はバカのふりして日本を守っていた。
もう日本は終わる。
今年で日本は終わる。
もう諦めよう。
日本は終わりなんだ。
認めようは日本は終わっているということを。

投稿: ナナシ | 2013年2月28日 (木) 20時05分

れーぼ さん
とくめい徳子さんが、書かれたことに対して、私を批判されてもこまります。私がとくめい徳子さんになりすまして書いていると思われているならばそれは誤解です。
いずれにせよ、TPP参加はないと決めつけて、TPP反対の声を弱めるようなことは、現時点で絶対にあってはならないことだと思います。わたしは予言ごっこをしているわけではなく、狼少年になりたいわけでもありません。たとえ飛ばし記事と仮定しても、マスコミから安倍政権がTPPに前向きであるという報道は何度もなされてきた、それに対して、国民から怒りと反発の声が上がらないというのは、国民がTPP推進を容認してしまっているという誤ったメッセージを政権に与え、結果的には安倍政権がTPPに参加しやすい環境を用意することになります。今の状況がおかしいのは、安倍政権を批判すべきではないという奇妙な風潮が広がってしまっていることです。どんな政権も国民の監視を受けて健全な批判が行われなくてはなりません。完全無欠な政権など存在しないからです。チャンネル桜が「保守分断だから安倍政権を批判してはならない」などというメッセージを流してきたことに対して私はとても腹を立てています。一方で道州制や新自由主義を批判しながら、道州制を公約に掲げる新自由主義的な傾向を明確に打ち出している政権を「批判するな」というのはどういうことなのでしょうか。「日本を守る」ということを最優先とするならば、今の状況でTPP反対の口を閉ざすということはありえないことだと思います。ましてチャンネル桜の水島氏のように「仮にTPPに参加しても安倍氏を批判してはならない」などという転倒した考えが許されていいはずがありません。TPPや道州制は、日本の国体と独立を決定的に損なう日本にとってそれほど深刻な問題だからです。

投稿: WJF | 2013年2月21日 (木) 14時45分

私も自民党本部に電話をしてみました。
私「TPPに参加するのかどうかこちらで教えてくれるとの事ですが?」
自民「こちらはあくまでも皆様からのご意見を伺う立場ですので、そういった事をお伝えすることはございません。」
だそうです。事の真意をご自分で確認せずに、都合のいい情報を未確認であっても拡散する。
あんなに素晴らしい動画を作っている方とは思えませんね。

投稿: れーぼ | 2013年2月21日 (木) 12時02分

とくめい徳子さん
日本を守ることよりも、安倍さんを守ることに熱心な人たちが多く、保守の人々の間に、TPPや道州制に関する怒りの声はあまり広がっていきません。アメリカの間接支配により、アメリカの都合によって作り替えられてきた戦後の日本。安倍政権は、とうとう日本の「国体」に最後のとどめを刺そうとしているのですが、日本の歴史上、最大の国難を深刻に受け止めている人はあまりいないように思います。TPPや道州制の問題を取り上げる人たちはいますが、おざなりであり、また安倍氏以外の政治家をスケープゴートのように批判することはしても、そもそもTPPや道州制をやろうとしている安倍政権そのものに対しては、決して批判の矛先をむけようとしません。かねて「保守」の人が増えたと喜んでいましたが、実際には、隣国に嫌悪感を抱く人々が増えただけであり、「国を守る」ということの意味と責任を深く自覚していた人々は、どれだけいたのでしょうか。

また自民党本部への抗議ご苦労様です。彼らは参加の可能性を認めたわけですね。執行部は確信犯ですので、地方を攻める方がより効果的かも知れません。ご自分の居住されている地域でなくてもかまいませんので、自民党の全国各地の県連や各議員の地元の事務所に怒りの電凸をお願いします。

TMさん
ご意見ありがとうございます。まさに御指摘のような問題があらゆる領域にひろがっていくと思います。日本独自の歴史や伝統に根ざす価値観や標準ではなく、世界の劣化した規格化された標準に私たちがわざわざ合わせなければならないというばかばかしい事態になっていきます。

投稿: WJF | 2013年2月21日 (木) 05時21分

初めて書き込ませていただきますが、日ごろとても信頼できるサイトとして拝見しております。
TPPの脅威を聞いていると、中学時代の家庭科で食品添加物について最初に先生が話したことを思い出しました。先生は「昔の厚生省はとても厳しいお役所で、安全性に少しでも疑問がある添加物は使わせなかった。だから海外の人たちは日本の口紅を絶対安全だからと買って帰っていた。でも今は口紅をそんな目的で買う海外の人はいない。アメリカの言いなりにいろんな添加物を認めてしまったからだ。なぜ断れないかは牛肉を見ればわかるだろ?だから、今は自分で添加物から身を守らなくちゃならない。」というような話をしていました。
これがあらゆるところに適用されていくわけですね。
この先生の話がどこまで本当かはわかりませんが、このような例を探してTPP反対動画をつくれば、もっと振り向いてくれる人が多いと思います。
長文失礼しました。

投稿: TM | 2013年2月21日 (木) 02時53分

自民党本部に聞きました
「TPP参加表明するんですか」
「そういう噂です」
「絶対反対です」
「アジアとの関係で参加せざるをえないのです」
「でも国が亡くなります」
「そうです。私も反対なんですけどね」
「それなら私は徹底して、安倍自民と戦います」
「そうですか」
女性がおっしゃって終わりました。

支那ですね

交渉参加したら抜けることができないそうです

諦めずにこれからも抗議していきます
道州制も反対していきます

真剣に考えてくれているのは、このブログだけでした

投稿: とくめい徳子 | 2013年2月21日 (木) 02時47分

グローバリズムに飲み込まれるぐらいならば、PAGさんの「鎖国」にも賛成ですね。
日本は危ないさんが拡散希望された動画の中に出てくるアメリカのPublic CitizenのホームページにはTPP特集ページがあります。

http://www.citizen.org/TPP

全文英文ですが頑張って読む価値があります。ところで、私が読みたいのはTPP全26章の草案全文ですが、どなたかご存知ないですか?
なお、国境なき医師団ではTPPに反対(危惧)の立場を2011年10月には既に表明しています。

http://www.msf.or.jp/files/20120405_TPP_Issue_Brief.pdf

その後も都度公式にコメントを出していますので、ご参照ください。

http://www.msf.or.jp/news/2012/04/5483.php

投稿: ケロ | 2013年2月20日 (水) 22時34分

今のところ危険度はTPPの方が上なので徹底的にTPP参加論を潰すことが先決ですが、TPPを阻止できたとして次はRCEP参加論が高まるでしょう。米中どちらにも事大せず、我が国自身による独立を目指すのであれば、TPPにもRCEPどちらにも参加してはなりません。しかし次から次へと…いっそ鎖国したいとすら思います。

投稿: PAG | 2013年2月20日 (水) 13時40分

拡散させてください。

カナダ政府がメチルコーポレーション社から訴えられた例をみて、TPPの怖さを実感してください。
どうぞ、こちらの動画をみたことが無いかたは、是非ご覧になってください。

TPP 多国籍企業による世界のっとり計画  ACTA 著作権
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=vhMAa12ztb4

TPPとは、国の枠を壊され、多国籍企業VS世界の市民という枠にさせられる、多国籍企業による世界統治です。

以下TPPについて抜粋記事を記載します。

TPPは26章のおよぶ大変包括的な規則ですが、この中のたったの2章が貿易に関する内容です。
他の24章は企業へに対する新たな特権と権利に関するものです。

そもそも、国民や市民の総意で民主的に決定されたことを、一企業が訴えて、莫大な費用を負担させて、裁判で争うような経済システムをどう思うかという問いかけを持つべきではないでしょうか?

この裁判経済システムによると、法律屋、弁護士屋ビジネスという巨大な中間寄生搾取産業が創出されることになります。
表面的にはお金が動き、新しいビジネスが生まれますが、非生産的な行為にお金(税金)が使われることになります。当然、コストがあがり、お金が消えていくのです。

アメリカ政府が国際銀行家に乗っ取られて、日本政府も国際銀行家の子分の経団連に乗っ取られているのであれば、アメリカ 対 日本といっても、この言説ではらちがあきません。
(だって、国際銀行家 対 国際銀行家の談合で、結論は決まっています)

TPPで、この中間寄生搾取産業としての、法律屋の業務に「自由化」が盛り込まれているのは当然のことでしょう。
ISD条項で訴えられないためのコンサルティングとか、そういうわけの分からない非実業ビジネスが生み出され、誠実な生産経済文化が破壊されます。

TPP推進派にうだうだいわれ、部分交渉やら、ISD条項が危険だから、というのではなく、
国民の総意で決められたものを、一企業が訴えられるとはふざけるな、完全却下!
こんなの私達の社会経済制度では全くの非常識です。
アメリカ経済システムのようにはなりたくありません。
「アメリカの常識は世界の非常識」だと、立場表明をするというのが正しい戦略です。

--------抜粋以上です。

投稿: 日本は危ない | 2013年2月20日 (水) 11時37分

kmさん
「道州制導入、大量移民、外国人留学生数十万受け入れ、日米同盟深化、TPP参加っていうことになったら、どこに、『日本を取り戻す』って言う政策が反映されてるわけ?」

上の文章はある方のツイートですが、あなたはこの質問に答えられますか? 安倍政権の政策のどこに「日本を取り戻す」という政策が反映されていますか?

「日本を取り戻す」確かに安倍政権はスローガンとしてこれらの保守的・愛国的な言葉を掲げていますが、実際にやろうとしている政策はすべて新自由主義の政策です。

TPPも道州制も移民も、すべて、「日本を取り戻す」という彼のスローガンとは逆行する新自由主義の政策ですよね?

安倍政権の政策の中に「日本を取り戻す」ための具体的な政策は一つでも何かありますか?

私には、「日本を取り戻す」ための具体的政策は一つも見つけられません。

アベノミクスにしても、小さい政府を目指すTPPや道州制、そして消費税増税によってやがて打ち消されてしまいます。

安倍政権が本当に尖閣を守ろうとしているのであれば、どうして沖縄を危機にさらすような道州制を実現させようとするのでしょうか。

道州制を導入しようとしているという一点だけを見ても、彼らの真の目的は、尖閣や沖縄を守ることではなく、大企業や国際金融資本を儲けさせることにある、ということが明白だと思われませんか?

彼らにとって、領土や国益は明らかに二の次です。

TPPや道州制をやろうとすることと、「日本を取り戻す」というスローガンは、真逆であり、論理的に完全に食い違っています。

渡辺氏がどんな立場の方であろうと、安倍政権の抱えるこの矛盾を、上の文章は的確に説明していると私は思います。

kmさん、もしあなたが、渡辺氏の説明が誤っているとお考えなら、これ以外の方法で、なぜ安倍政権の政策がこうも食い違っているのか、私たちに分かりやすく論理的にご説明ください。

投稿: WJF | 2013年2月20日 (水) 11時19分

九条の会の局員で橋下支持者……

投稿: km | 2013年2月20日 (水) 11時14分

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