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2013年2月24日 (日)

三橋貴明氏は何がしたいのか

ずっとTPPに反対してこられた三橋貴明氏。

同時に、安倍晋三を熱心に支持してきた三橋貴明氏が、下のような記事をブログに挙げています。

歪められる安倍総理のTPP発言

記事の中で、三橋氏は、TPP交渉参加を伝えたマスコミ各社の記事は、安倍晋三氏による、日米首脳会談後の内外記者会見の言葉を反映していないという指摘を行っています。

全ての新聞がミスリードすることで国民に誤解を与え主権に基づき選ばれた政府の手足を縛る。これが民主主義の危機でなくて何なのでしょう?

政府間でTPP交渉参加にむけた様々な協議や作業が進行している中で、マスコミは、何も安倍氏の記者会見の言葉だけで記事を書く訳ではありません。実際に、菅義偉官房長官も次のように本日のNHKの番組の中で述べています。

TPP交渉参加、党内調整に自信 官房長官「問題ない」

安倍政権は週内にも環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加を正式に表明する。菅義偉官房長官は24日のNHK番組で、日米首脳会談を踏まえたTPP交渉への参加について「そんなに長引かせる必要はない」と指摘。反対論がある自民党内の調整に関しても「全く問題ない。党内に理解いただけると思う」との見通しを示した。

 首相は25日の自民党役員会や公明党との会談で首脳会談の結果を報告し、交渉参加への一任を取り付ける考えだ。農業への影響を懸念する自民党内には慎重論や反対論があるが、菅長官は「聖域なき関税撤廃が前提の交渉には参加しないことが基本だった。その前提がなくなった」と指摘。党内調整に自信を示した。

 TPPは年内の妥結を目指して各国が交渉を進めている。交渉参加は政府の権限でもあり、法案や条約のような厳密な党内手続き、党議決定の必要はない。法案の国会提出や条約の国会承認を反対派が阻止するための党総務会などの舞台も、交渉参加の表明にあたっては考えにくい。こうした事情も踏まえ、菅長官は党内調整と一任取り付けに自信を示したとみられる。

三橋氏は、「自民党VS民主党」「安倍政権VSマスコミ」「TPP推進派VSTPP反対派」などの善悪二元論を展開することが大好きな方ですが、今の差し迫った状況下で、世論を「安倍さんをマスコミから守ろう」とする不毛な方向に誘導するべきではありません。

彼が本当にTPP交渉参加を阻止したいと腹の底から願っているならば、マスコミの記事は「飛ばし」だというような安易な楽観論を国民の間に蔓延させるようなことは、決してあってはならないはずです。

仮に記事が飛ばしであっても、「TPP交渉参加決定」の報道が現実になされたときに、国民が口をつぐめば、それは、日本政府やアメリカ政府に対し、日本国民はTPP交渉参加を容認したという誤ったメッセージを伝えることになります。国民の強い反対の声がなければ、日本政府がTPP交渉参加に踏み切りやすい環境を用意してしまうことになります。

今、TPP交渉参加を阻止するために最も必要なのは、国民の反対の声です。TPP交渉に日本を参加させようとする内外からの極めて強い圧力が加わる中、この圧力を押し返すことのできるのは、ある意味、アメリカや政府を震え上がらせるほどの、国民の怒りの声しかありません。

そして、危惧しなければならないのは、「安倍政権はTPPに参加しない」「記事は飛ばしだ」という思い込みが蔓延したまま、反対の声が国民の間に十分に広がらないことです。

この点は、自分のお子さんにどのように接するかを思い出していただければお解りになるかと思います。子どもを愛すればこそ「事故なんか起きるはずがない」「病気なんかするはずがない」と楽観的に決めつけたりはしません。むしろ「この子に事故が起きたらどうしよう」「この子が病気になったらどうしよう」と身構えて心配をし、危険を回避するあらゆる処置を講じるのが親の愛ではないでしょうか。

国に対しても同じことが言えます。国を愛すればこそ「安倍さんはTPPをやらない」「マスコミの捏造だ」などという楽観論にあぐらをかくことはゆるされません。むしろ「TPPをやったらどうしよう」「道州制をやったらどうしよう」と先回りをして心配するのが、国を愛するということではないでしょうか。

まして「国」というものは抽象的な観念ではなく、まさに、私たちや、私たちの子が、これからの生活を営んでいく現実的で具体的な「場所」のことですから、これを健全に守ろうとすることは、子どもたちに対する「愛」ともぴったりと重なっていくものです。

「子」を愛すればこそ「国」を愛し、「国」を愛すればこそ「子」を愛する。それだから、安易な楽観論は私たちに許されない。他人の考えを無批判に信じ込んで、それに誘導されることは、親として大人として無責任である。子どもたちの未来に対する責任の一つとして、「国」をよりよい形で引き継いでいく責任が私たちにはあります。そのためには、あたう限りの注意と警戒を常に怠ってはなりません。わたしたちの住まうこの「国」を売ること、子どもたちがこれからを生きる、この「場所」を損なうことは、どんな形であっても許してはなりません。その「場所」をまもりぬくために、私たちが油断をして気を抜くことがあってはならないのです。

三橋氏、あなたは親が子によせるようなはらはらとした愛情をもって、日本の国を見つめていますか?

それとも、あなたは日本のこと以上に、大切なものをおもちではないですか?

このような危機的な状況下にも関わらず、あなたは、安倍政権を批判から守ることを何よりも最優先に考えていませんか。

安倍政権に批判を向けさせまいとするあなたの努力が功を奏しているのか、TPPに対する反対の声は、未だ十分に広がっていません。

2月25日追記: TPPに関して三橋氏が新しい記事が上げておられます。

続 歪められる安倍総理のTPP発言

彼のいつものやり方なのですが、特定の議員をスケープゴートにすることで、安倍政権の新自由主義的な本質を隠蔽することは決してあってはならないと思います。言論人の矜持として、そのような欺瞞的な姿勢は戒められるべきものだと思います。

また、三橋氏は、安倍政権がとる日米関係のスタンスの中で、アベノミクスがどういう意味やカラクリをもつか御存知ないわけがないのだから、TPPが既定路線ぐらいのこともよく御存知のはずですが、いつまでとぼけていらっしゃるのか。世論を欺くのもいい加減にしていただきたい。

2月26日追記: TPPに関する新しい記事に対して

泥の沼をかき分けて進む

彼は相変わらず、「自民党(善)VS民主党(悪)」という単純な善悪二元論を展開し、安倍政権は泥の中を「前に進んでいる」と言っていますが、問題はどの方向に向かって前に進んでいるかです。TPPや道州制による、日本の国家解体や、グローバル秩序への日本の組み込み、といったような新自由主義的な野望の実現に向かって前に進むぐらいであれば、後ずさりした方がはるかにましです。

彼は安倍政権は「現在の日本にとって最も理想の政権」と呼んでいますが、安倍政権が道州制を公約に掲げているという問題を一度でも言及し批判したことはあるのでしょうか。「現在の日本にとって最も理想の政権」がどうして、このようなものを公約にいれるのでしょうか。公約に道州制が入れられている一点のみからしても、安倍政権の新自由主義的な本質は明らかなのですが、どうして彼は気づかないフリをしつづけてるのでしょうか。

(みなさんに気づいていただきたいのは、かなり組織的に、安倍政権の極めて過激な新自由主義的側面を、意図的に隠蔽しようという情報工作のようなものが行われています。なぜか、あらゆる「保守」論客があえてこの点を無視し、語ろうとしません。三橋氏がどう意図的にこれに関係しているかは不明ですが、「不自然だ」ということは感じ取っていただきたいと思います。)

また何度もいいますが、アベノミクスの評価は、日本がアメリカに対して独立性を保ってこの政策を実行した場合と、アメリカとの協力や謀議の上でこの政策を発案し実行した場合とでは意味合いが全く異なります。輸出倍増を目指してドル安政策を長く続けていたオバマ政権にとって「近隣窮乏化策」とみなされうるこの政策は、本来ならば、アメリカに対してきわめて挑戦的な意味を持ちます。それにも関わらず、この政策を実行した場合、安倍政権は対米自立に向けて舵をきったといえ、三橋氏が言うような国民の利益のみを考え、国民経済の復興を目指したデフレ脱却と国土強靭化のための最善策として讃えられるべきものですが、その反対にアメリカとの協力や謀議の上でなされたものであるならば、単に「日本を太らせておいしくいただく」以上のものではないということになります。

では実際どちらなのかといえば、安倍政権がアメリカに対して独立性を保っているとはとてもいいがたく、アメリカ政府がアベノミクスを承認した事実を鑑みても、この政策が最初からアメリカとの謀議の上で成立している可能性の方がはるかに高い。アメリカがどのような形で日本をおいしくいただこうとしているかは、明確ではありませんが、TPPによってそれを行おうとしていると考えるのがもっとも自然であり蓋然性が高いと思います。

であるならば、アベノミクスは、三橋氏がかねてより唱えてきた経済政策とは180度意味が異なることになります。


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コメント

私は三橋先生の本をたくさん読ませていただきました。彼の現状分析能力・問題提起力は素晴らしいと思います。そしてなにより悲観的な報道により将来不安を抱えていた私に蜘蛛の糸を垂らしてくれた恩人でもありますので、私は彼が好きです。ですが今日のブログを読む限り彼は問題に対する解決策を間違えていると認識せざるをえなくなりました。彼の真意はわかりませんが、TPPが日本に与える悪影響を鑑みると彼の情報発信により最悪の結果が発生する可能性が高まることは素人でもわかります。繰り返しますが三橋先生は私の恩人です。ですので私の意見は彼を辱めるものではなくあるべき姿を取り戻して欲しいので、よしふる様のブログに賛意を評させていだだきました。私のコメントがよしふるさんが国益を真摯に考えていることへの担保となれば幸いです。

投稿: 安田直優樹 | 2013年6月11日 (火) 22時58分

ひやまさん
御指摘ありがとう。修正しました。

投稿: WJF | 2013年2月25日 (月) 14時44分

大変中身のない指摘で申し訳ないのですが、
>仮に記事が飛ばしであっても、「TPP参加交渉決定」の報道が現実になされたときに
の「TPP参加交渉決定」は、「TPP交渉参加決定」の間違いではありませんか?
文全体として「TPP交渉参加」がメインなのにここだけ浮いていて、どうしても気になってしまいました。
直していただければ幸いです。

投稿: ひやま | 2013年2月25日 (月) 13時57分

靖国神社に行くから絶対保守 君が代歌うから絶対保守 志あろうとなかろうと足も運べます。声がでるなら歌う事もできます。

民主党はわかりやすかったですが、自民党を昔から見てきた人と、ここ何年かでネットなどで手探りの人とでは、何かが違うような気もいたします。ですが、各省庁などのすでに起こってきた事実をHPでも知る事はできます。時に法改正されたもの、その時はどの政権だったか、誰が総理大臣だったか、その結果現状はどうなのか? そんな風にもネット活用してくださる人が増えればなと思います。

投稿: warakujapan | 2013年2月25日 (月) 13時17分

WJFさんを非難してるのではないのです。国を守りたいために、それぞれの方がそれぞれのアプローチでされる事を反対いたしません。

投稿: warakujapan | 2013年2月25日 (月) 12時50分

warakujapanさん
いつも大きな声を挙げ続けてくださりありがとうございます。お気遣いの点よく理解しております。ただ、あまりにも間違った言説の中に閉じ込められ、騙されている多くの人たちがいるため、私もだまってはおれません。引き続き、地道な啓蒙活動よろしくお願いいたします。

投稿: WJF | 2013年2月25日 (月) 12時30分

お疲れ様です。国自体の枠組みがなくなるTPPそのものに「反対」の意思表示すらさえも止めてしまう世の中の流れは芳しくありません。
また、逆にアメリカの市場を巻き込んでしまえと思っていらっしゃる方もおられるかとも思います。ですが、外資にもほとんど規制もない、規制の緩いビザ、外国人留学生並びに就職の現状の日本と、がっちり外資に規制をかけているアメリカの現状とを比べたら、守るものを守ってから交渉しているアメリカと守るものを守っていない日本となると明らかにアメリカが有利な気がいたします。とは言え、民主党にガタガタにされた経由もあり、リップサービスも外交には必要なのか?とも考えます。こいつがどうだ、あいつがどうだの渦に多くの人のエネルギーが集まっていますが、私は、一国民として引き続きTPP反対意見を送り続けます。

投稿: warakujapan | 2013年2月25日 (月) 12時22分

きっとかっとさん
飛ばしであろうと、なかろうと、メディアから「TPP交渉参加決定」という報道がなされたときに、国民から何も批判の声が上がらなければ、国民がTPP交渉参加を容認しているという誤ったメッセージを日本政府やアメリカ政府に伝えることになります。それは、TPP交渉参加の流れを加速化させるものです。「飛ばし」と断じて、TPP反対の声を沈静化させようとするのは、この危険な状況下では、決してあってはならないことです。

>現に安倍総理がTPPに参加する可能性はかなり薄いと言えます。

可能性が薄くなるとしたら、あなたも含めて、私たちが地鳴りのような怒りの声をあげるとき、そのときだけです。子どもたちの未来に責任を持つものとして、私たちに求められていることは、「信じる」ことではありません。「考える」ことが求められています。お子さんに対して「この子は病気になどなるハズがない」と安易な楽観論にあぐらをかくことが親として許されないように、愛する国に対して「TPPなど参加するはずがない」と具体的な根拠もなく安易に信じることは決して許されません。「愛する」こととは、ある意味において「心配する」ことだと思います。ぜひ、私たちの国のことをはらはらと心配してあげてください。

投稿: WJF | 2013年2月25日 (月) 10時59分

いやそれ以前に安倍総理の共同声明後の記者会見見ました?
まず「記事が飛ばし」かどうかを自分なりに確認をしてから語るべきではないでしょうか。
三橋氏は、安倍総理がTPPに参加しようとして国民を反自民に染めようとする流れを危惧しているのでしょう。現に安倍総理がTPPに参加する可能性はかなり薄いと言えます。オバマさんの共同声明時の不満そうな表情からもそれが伺えるかと思います。
自民党が掲げるTPP参加への判断基準6箇条をアメリカに伝えたことが主な成果でありますので、私達はこれまで通りTPP反対の声を出し続け、自民党にその意思を伝えたら良いと思いますよ。

結論としては安倍総理の批判は的外れ、ということです。

投稿: きっとかっと | 2013年2月25日 (月) 09時08分

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