« 「戦後体制」とは何か(1) | トップページ | ナショナリズムとグローバリズム »

2013年1月 4日 (金)

三橋貴明の「新」日本経済新聞からの引用

三橋貴明の「新」日本経済新聞で、ここ数日、かなり感情的にかつ辛辣になって私が述べてきたことと同じことを、とても冷静に書かれている方がいらっしゃるため、引用して紹介させていただきます。(強調はWJFによる)

【東田剛】バカな失敗から立ち直るために
FROM 東田剛

安倍内閣は、現時点であり得る選択肢の中でベストだと思います。しかし、だからと言って、その方針が全部支持できるわけではありません。

報道によれば、経済財政諮問会議に伊藤元重氏と高橋進氏が、産業競争力会議には竹中平蔵氏が委員として選ばれたそうですが、三人とも新自由主義者で、熱心なTPP推進論者です。
特に、竹中平蔵氏は、「失われた二十年」をもたらし、数多くの失業者と自殺者を出し、政治を破壊した構造改革の主犯格です。

なぜ、その彼らを登用したのか。それは、安倍内閣もまた、構造改革、とりわけTPPを進めるつもりだからでしょう。

郵政民営化が典型的ですが、経済財政諮問会議は、党の反対勢力を抑え、内閣主導で構造改革を進めるための装置です。

経済財政諮問会議の民間議員は、改革派官僚が下書きした構造改革の要望である「民間議員ペーパー」を連名で出します。これで中立な民間人を装い、馬鹿なマスコミを利用して、「民間の改革派」vs「自民党の抵抗勢力」という図式を演出し、構造改革を進めるのです。

予告しておきますが、そのうち、TPP早期参加を求める「民間議員ペーパー」が出されるでしょう。「発送電分離」とも書いてあるかもしれません。

注)発送電分離についての東谷暁先生の分かりやすい動画
http://www.mxtv.co.jp/nishibe/archive.php

林芳正農水大臣というのも、TPP推進の布石でしょう。この人事は、先の総裁選に立候補した林氏が、自民党の次世代のリーダーにふさわしいか否かの試金石と言われていますが、安倍内閣がTPPに否定的なら、農水大臣のポストが試金石になるはずがありません。

谷内正太郎氏の内閣官房参与就任もTPPのためでしょう。藤井聡先生も参与に就任したので安心している方がおられますが、藤井先生だって国土強靭化という大事なお仕事があるので、何でもかんでも、できるわけではありません。

伊藤氏や竹中氏をアベノミクスに転向させ、マスコミ対策として使うだけだという見方は、甘いですね。
アベノミクスなど、所詮は、金融緩和と積極財政に過ぎません。もちろん、思想的に深く考えれば、アベノミクスの本質は、新自由主義やグローバリズムと反するもののはずです。しかし、彼らが深く考えるはずがない。「日本に必要なのは、金融緩和、積極財政、構造改革、そしてTPPだ」と平気で言えるのです。

もしそれが安倍総理の経済政策の方針だとしたら、総理も深く考えておられないということでしょう。第一次安倍内閣から六年、政権を失ってから三年も時間があったというのに、結局、金融緩和と公共投資の必要性しか、理解できなかったのだとしたら、悲しいことです。

それでも、安倍内閣は、現在の日本における最善の選択肢なのです。これが、今の日本という国の限界です。

「安倍内閣がベストだと思うなら、批判しないで応援しろよ!」と思う方がおられるかもしれませんが、そういう考え方は間違っています。

安倍内閣しかないからこそ、他に選択肢がないからこそ、ここで間違ったことをされては困るのです。そして、過ちを改めてもらいたければ、批判しなければなりません。批判というのは、敵だけではなく、味方に対してもするものなのです。忠臣たればこそ、諫言しなければなりません。

まあ、日本は、二十年も構造改革などという馬鹿をやり続けた国です。そう簡単には治らないことは、覚悟しておいた方がよさそうです。
やっと積極財政と国土強靭化をやるところまで来たのですから、ここでくじけずに、これから二十年かけてでも、日本を取り戻していきましょう。

PS
二十年も戦える強い精神力を鍛えたければ、東田剛さん、藤井聡先生、中野剛志さんの師匠である西部邁老師のこの本を読んでみてはいかがでしょう。
http://amzn.to/WhwalA

PPS
TPPは、郵政民営化と同じ構図だと感じた方には、東谷暁先生のこの本がお薦めです。
http://amzn.to/Vg9iE1

PPPS
「欧米没落!日中激突!異能の官僚が描く壮大な新国家戦略の全貌」を知りたければ、
1月10日発売予定のこの本をご覧ください。
http://amzn.to/Ui6g12

PPPPS
安倍政権をむしばむ改革派官僚の正体を知りたければ、
やはり、この本が役に立つでしょう。
http://amzn.to/UPCohv

この方の書かれている通りだと思います。この方のように冷静に考えを伝えられるようにしなければならないと反省しました。また、同じ危機感を共有されている方がいらっしゃることが分かり、少し冷静になれそうです。

が、日本がいまだ未曾有の危機に直面していることには変わりありません。安倍政権になって安心してしまっている人たちや、安倍首相をバッシングから守ろうと過剰に擁護してしまう人たちが多いため、また保守論壇がこぞって安倍政権の手放しにも見える支持に走っているため、余計に厄介です。TPPに関しては安倍政権になったことにより、安心できるどころか、危険度は一層高まっており、安心は禁物です。

同じ方のこちらの記事にも、私がまさにお伝えしたかったことがわかりやすくまとめられています。そのとおりです。「デフレ脱却」を目標にするアベノミクスは、本来ならば、アメリカの国益に衝突する性質を持っており、アメリカの圧力に対抗するような強い姿勢がないと、実現できない政策のはずです。また、アメリカから強い反発を受けるはずの政策です。極めて不自然なのは、現政権がアメリカに立ち向かおうとするような雰囲気も、アメリカが安倍政権に反発しているような雰囲気も伝わってこない。極めて協調的であり、融和的な雰囲気しか伝わってきません。とすると、私が疑うのは、すでに、TPP参加がアメリカとの間で織り込み済みになっており、アメリカに利益が渡ることが保証された上での「デフレ脱却」ではないのかということです。TPPが前提となっていれば、日本の「デフレ脱却」は、アメリカの国益とは相反しないからです。

また、アメリカは、インフレターゲットならぬ失業率ターゲットを設定した上で、QE3と呼ばれる、リーマンショック後、三回目の大規模な量的金融緩和を最近行っており、またIMFによっては既に不十分だと評されている方法によって辛くも回避した「財政の崖」という問題を抱えているにも関わらず、ドル高・円安が進行するという不思議な現象も起きています。QE3が最後の量的緩和になり2013年中に終わることが予想されていることが理由だろうと言われていますが、それにしても不自然な印象を受けます。報道によれば、ちょうど参院選のある今年の夏までは円安基調が続くのだそうです。逆にTPP参加の合意などないと仮定すると、2010年に「5年以内の輸出倍増計画」を打ち出して以来、ドル安政策を取ってきたオバマ政権が、一方では失業率を下げようとして(つまりインフレ率を上げようとして)いまだに金融緩和を続けながら、円安ドル高を今年の夏まで容認するという事態は一体何なのだろうと、理解に苦しみます。

グローバリズムやTPP・道州制を実現させようとする勢力は、巨大な大津波のような圧倒的な力をもって私たちに臨んできます。この勢力は、世界において侮ることのできない巨大な力をもった勢力です。また、この勢力は本当にしつこく執念深い。またずる賢い。あの手この手を使って私たちを籠絡しようとします。私たちはそれに立ち向かっていくことはできるでしょうか。私たちの国を守り抜くことはできるでしょうか。改めて私たちの力を結集する必要があります。この危機的状況を正しく理解し、危機感を共有する人々が増えるように、周りに広めていただきたく思います。


« 「戦後体制」とは何か(1) | トップページ | ナショナリズムとグローバリズム »

TPP」カテゴリの記事

コメント

rxtypeさん、
当然のことですが、敵は、まずそうなりんごに毒を仕込んだりはしません。敵は必ずおいしそうなりんごに毒を仕込んできます。りんごがいくらおいしそうだからといって、そのことは、その中に毒を含まれていないということを保証するものではありません。むしろ、おいしそうだからこそ、敵が毒をしこんでいる可能性が強くなります。このりんごがおいしそうだからこそ、私たちは疑わなくてはなりません。毒の有無を、きちんと確かめなくてはなりません。

安倍政権が他に類をみないほどおいしそうなりんごであること疑いの余地はありません。しかし、他の政策がすばらしいから、TPPの毒を私たちが受け入れてしまうというようなことが絶対に起きてはならない。この毒が取り除けないならば、このおいしそうなりんごは、残念ですが、捨てなくてはならないと思います。もちろん毒が入っていないなら、あるいは毒を取り除くことが可能ならば、これ以上すばらしいりんごはこの世に存在しませんから、そのときは安心しておいしくこのりんごをいただくべきです。

問題はこの政権がTPPをやるのか、やらないのか。この政権がTPPをやることを意図している場合、私たちはこれをやめさせることができるのか、できないのか。ここに尽きると思います。

小泉政権も、だれもがむしゃぶりつきたくなる、おいしそうなりんごでしたが、その中には強い毒が含まれていました。TPPは小泉政権が含んでいた毒よりも遥かに強い毒です。即死するような劇薬です。安倍さんがTPPをやるのか、やらないのか。これのみが、この政権の是非の究極の分かれ道です。他にどんなにすばらしいことをやってくれようと、TPPをやるような売国政権は、断固拒否すべきです。私たちが今すべきなのは、この政権がTPPをやるのか、やらないのかを明確にすること。それをあいまいにしたまま、盲目的にこの政権を支持することはあってはならないと思います。

仮に安倍政権がTPPを強行する意図を持っているならば、結果的には、安倍政権は、日本史上考えうる最悪の売国政権ということになります。与党だった時代が長かったこともありますが、これまでのことをふりかえって公平に評価するならば、自民が過去にやってきた売国に比べたら、民主党の売国なんぞかわいいものだと思います。民主の売国政策の多くは保守の人々の奮闘の成果もあり阻止することができました。自民がTPPや道州制を導入する意図をもっているならば、そしてそれを私たちが阻止できないならば、まちがいなく、自民の売国の方がはるかにひどい。日本の歴史上、考えうる限り最悪の売国になるでしょう。

安倍政権は日米同盟を強化することによって、中国・北朝鮮包囲網を強化しようとしています。これは新ヴァージョンの二元的冷戦構造です。米ソの冷戦終結以降、世界は一極支配をもくろむアメリカの意図とは裏腹に多極化していきましたが、ふたたび冷戦時と同じ二元的な対立構造を作り出し、再びその中に日本を組み込むことが、本当に「戦後体制の脱却」なのかわかりませんが、今の北東アジア情勢は、おそらくこのような新しい冷戦構造を必要としているのでしょう。それはよいとしましょう。しかし、「日米同盟強化」の中にTPP参加が否応なく含まれてしまっているとしたら、これは大きな落とし穴です。文字通りの「毒りんご」です。アメリカはTPPを抜きにした「日米同盟強化」を安倍政権に許すかどうか。私はかなりネガティブに考えています。

保守論壇が、安倍政権のTPP参加の意図というこの重大な問題をあまりに過小評価し、臭い物にふたをし、目をそらしている(かにみえる)ことは大きな問題であり、国の未来を誤らせるものです。この問題の大きさの前に、「保守分断だ」などと言っている場合ではないのであり、現実的に目の前にせまりつつあるこの重大な問題に、私たちは真摯に向き合い、もっと率直に論じ合う必要があります。

現段階での具体的なアプローチとしては、当然ですが、いきなり「安倍政権打倒」などと極端な行動に走るということではなく、「私は安倍政権を心から支持していますが、TPPはやるのか、やらないのか、明確にしてください」と意見を出したり、「私は安倍政権を心から支持していますが、TPPは絶対にやらないでください」という意見を多くの人々が自民党に出していくことだと思います。

http://wondrousjapanforever.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-4322.html

投稿: WJF | 2013年1月 5日 (土) 15時33分

「安倍内閣は、現時点であり得る選択肢の中でベスト」という現状認識がないと、安倍批判は無意味ですね。
「安倍政権を弱めない範囲で」軌道修正するよう進言や諫言をすることが重要だと思います。

自民政権批判のために「お灸をすえる」形で民主党政権という日本史上最悪クラスの政権が出来てしまったことを片時も忘れてはなりません。

投稿: rxtype | 2013年1月 5日 (土) 12時58分

kenkenさん、ご理解に感謝します。政治において私たちの判断を誤らせるのは、善と悪の二元的な思考。0か1かのデジタル的な思考だと思います。実際には、どの政治家も政党もグレーの領域を抱えています。100%「善」である政治家も政党も、100%「悪」である政治家も政党も存在しません。そこをきちんと見極めて、二元的な、二者択一的な思考に陥ることなく、政治家や、政党、政策を見極めていかなくてはならないと思います。

投稿: WJF | 2013年1月 4日 (金) 14時20分

いつも為になる情報発信をありがとうございます。

安倍さんになったから安心磐石なのではなく、安倍さんでも安心出来る面とそうでない面がある事を忘れないようにしたいと思います。

私のように好い歳まで政治に関心がなかった者が、日本の現状を知り始め、慌てて保守のような考え方に共感すると(にわか保守?)、思案する事も無しに安倍さんだから日本は安泰になると決め込んでしまいそうです。

今からが正念場なんですね。

投稿: kenken | 2013年1月 4日 (金) 08時51分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 「戦後体制」とは何か(1) | トップページ | ナショナリズムとグローバリズム »