ナショナリズムとグローバリズム
「少年よ、大志を抱け」の言葉で有名なクラーク博士が教えた札幌農学校で、新渡戸稲造らと共に学び、武士道精神とキリスト教を結びつけようとした明治時代の思想家内村鑑三という人物の墓が東京の多摩霊園にあります。その墓には次のように書かれています。

写真はこちらのブログよりお借りしています。
Japan for the World,
The World for Christ,
And All for God.
私は日本のため、
日本は世界のため、
世界はキリストのため、
そして全ては神のため
この人物がキリスト教の信仰に基づいて述べた後半の二行はともかくとして、「自分は日本のために存在する。そして日本は世界のために存在する」という考え方は、私たちにも多く学ぶべきものがあるのではないかと思います。
日本一国のことしか見えない「悪しきナショナリズム(国家主義)」は健全なものではないでしょう。日本一国を是として、それ以外の国々を非とする世界観に陥ってはなりません。私たちが日本のことを一生懸命に考えるのは、日本を守ることを通して、他の国々と協力し、日本がよりよく世界に貢献できるようにするためだと思います。
同時に「国家」というものを消し去ろうとする「悪しきグローバリズム(世界主義)」も決して健全なものだとは思われません。「国家」という枠組みは、世界のさまざまな民族や国民の文化や伝統を守る容れ物であり、器です。これを消し去ることは、長期的な視点に立てば、それぞれの民族や国民の文化や伝統を消し去っていくことにつながります。
世界のさまざまな人々が自分たちの国を愛し守る。そのことを通して自分たちの伝統や文化を守る。そして、それぞれの良さを発揮して「世界」に貢献する。そのような「良きナショナリズム(国家主義)」に支えられた、「良きグローバリズム(世界主義)」こそ、本来あるべき世界のあり方であり、人間のあるべき姿であると思います。
この意味では、ナショナリズム(国家主義)とグローバリズム(世界主義)は、本来、相反する考え方では決してありません。私たちは「日本のため」に尽力することができます。そして「日本のため」に尽力することを通して「世界のため」に尽力することができるからです。
「良きナショナリズム(国家主義)」は、「良きグローバリズム(世界主義)」を必要とし、また、「良きグローバリズム(世界主義)」は、「良きナショナリズム(国家主義)」を必要としています。
ここでも、「ナショナリズム(国家主義)=善」、「グローバリズム(世界主義)=悪」というような、単純な善悪二元論に陥らないようにすることが大切です。
私たちが反対するのは、TPPのように「国家」の枠組みを取り除こうとする「悪しきグローバリズム」に対してです。そして、私たちがこのような「悪しきグローバリズム」に反対するのは、自国のことしか見えない独善的な「悪しきナショナリズム」を推進するためではありません。「国家」という枠組みを守りぬくことを通して、
「私は日本のため、
日本は世界のため」
という健全な人間のあり方を実現し、守っていくためです。
日本という国に、世界に類を見ない顕著な特徴があるとするならば、それば、「国家」の一つの理念型(理想の形)であるということです。日本は世界最古の「国家」であると同時に、以前こちらの記事でお話したように、「国民国家」という国のあり方を、多大な犠牲を払うことによって、西洋人以外の人々にも広くもたらした世界史的に大きな貢献をなした国です。靖国神社に祀られている多くの英霊が命をかけて戦う以前は、西洋人以外の多くの人々は自分たちの「国家」を持ちませんでした。事もあろうか、その世界最古の「国家」であり、世界中に「国家」という枠組みをもたらした私たちの日本が、「悪しきグローバリズム」を推進する巨大な勢力によって、「国家」という枠組みそのものを解体させられようとしています。私たちは、この巨大な勢力と、しっかりと対峙し、「国家」の枠組みを守り抜いていかなくてはなりません。それは、私たち自身のためだけではない。自分たちの独立した「国家」をやっとの思いで手に入れることのできた、世界中の国々のためでもあります。
TPPと道州制。この二つは絶対に実現させてはいけません。

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コメント
今日は。このHPトップ画面のご意見に同感です。悪しき家族主義に陥ることなきよう戒めるべきだが、次のようなことを思います。 ①先祖から子孫まで連綿と命が引き継がれてゆくことを大事にする日本人の考え方を誇りに思う事と、②自然に恵まれた事も幸いし、自然を畏怖しつつ大事にする、おそらく日本民族の古来からの意識(≒神道に直結している意識)と、③それを連綿と守りぬく仕組みを作ってこられ、日々の実践を続けられる皇統の方々、そのどれに対しても感謝を申し上げたい。 過去にも色々、政治利用されたことはあっても長く政治とは距離を置いて来られたと考えております。 西洋列強の圧力から日本を守るため維新の志士が結束し、その結果明治時代を発現させたと思います。 小沢・橋下・その他多数の、資金のためには、無差別にあらゆる団体の応援を受けつつ皇統を政治利用しかねないタイプの政治屋には要注意とも思っています。 まとまらない記述で恐縮ですが、私見として、ご容赦下さい。 拝
投稿: kototamamochi100 | 2013年1月14日 (月) 14時47分
民主党政権では「国民」ではなく「市民」という表現を多く使い、「世界市民」みたいな言葉も出てくる。かの仙石氏もそうだった。
しかし、国際世界で、自己のアイデンティティがないことは軽蔑の対象。鳩山元首相の海外での評価を見ればすぐにわかる。
確固たるアイデンティティの上に、相互理解と強調があるのであって、単なる迎合には、従属という結果しか待っていない。
投稿: ednakano | 2013年1月 4日 (金) 19時49分