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2013年1月21日 (月)

自殺・消費税・アメリカ国債・対米従属 (1)

昨日、1997年に、自民党の橋本龍太郎内閣が、大蔵省の圧力(つまりはアメリカの間接的圧力)に屈したまま、消費税率を5%に上げて以来、日本は本格的なデフレに突入し、以来自殺者の数は3万人を下ることがなかったという事実にふれました。下のグラフを見ればわかるように急増したのは、男性の自殺者であり、一家の大黒柱が、経済的な行き詰まりを理由に自殺していったことが伺えます。

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「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざがあります。一見無関係と思われる、二つの出来事のあいだには、人々の気づかない因果関係が隠されていることがある、ということを例示することわざです。ちなみに、「風が吹く」と「桶屋が儲かる」という二つの出来事の間には、次のような因果関係が隠されているのだそうです。

1. 大風で土ぼこりが立つ
2. 土ぼこりが目に入って、盲人が増える
3. 盲人は三味線を買う(当時の盲人が就ける職に由来)
4. 三味線に使う猫皮が必要になり、ネコが殺される
5. ネコが減ればネズミが増える
6. ネズミは桶を囓る
7. 桶の需要が増え桶屋が儲かる

江戸時代と異なり、盲人が三味線を弾かず、人々が木桶を使わない現代では、このことわざの真偽を実証することはもはやできませんが、「人々が自民党を盲目的に支持する」と「自殺者が増える」という二つの出来事の間の因果関係を説明することは、比較的たやすく行うことができます。

日本人の自殺と、消費税増税と、アメリカの圧力と、アメリカ国債と、自民党による対米従属と、自民党人気と、昨今の円安、これらの事実の間にどのような因果関係が存在するかを、何回かに分けて考えていきたいと思います。

この因果関係を理解すれば、なぜ「対米従属の先には亡国がある」と言えるのか、よりはっきりと認識することができると思います。私たちが、対米従属をやめて、国家として自立しなくてはならないのは、単に、「アメリカが嫌いだから」とか「原爆を落としたアメリカが憎いから」とか「独立国として情けないから」といった感情的な理由のためではありません。日本人の一人一人が、また子や孫たちの一人一人が、現実の生活を、一日一日、生き延びるためにこそ、真剣に考えなくてはならない選択肢です。日本人はアメリカの抱える借金のために、まさに奴隷と化しており、アメリカとともに奈落の底にまっさかさまに転落しつつあります。

「対米自立」というスローガンは、保守の人々の間であまり人気がありませんが、中国や韓国の危険性を熱心に啓蒙してこられた有名ブログ「中韓を知りすぎた男」も、下のような記事を掲げていらっしゃいます。

中韓を知りすぎた男: 親米保守の甘い幻想

このブログ主は、ビジネス上の個人的な直接の体験を通して、中国や韓国の問題を誰よりも深く御存知の方ですが、それを理由に、アメリカへの安易な傾斜を決して人々によびかけないその見識は大変立派なものだと思います。「中国は危ないから、アメリカにつこう」。「民主党はだめだから、自民党を信じよう」。このような単純で二元的な思考ほど、日本を誤った方向に向かわせるものはありません。

まずは、理解の前提となるいくつかの事実(点)を列挙していきます。その後で点と点と線で結ぶ作業を行い、それらの事実の間にどのような因果関係があるのか考えていきたいと思います。

昨年、民主党の野田政権と、自民党と、公明党が、三党合意によって、2014年に8% 2015年に10%の消費税増税を決定したことは、みなさん御存知のことと思います。一応、税率引き上げの条件として「経済成長率で名目3%、実質2%を目指す」ことを明記した「景気条項」と呼ばれる付則が付けられています。安倍政権が「2%のインフレ目標」を掲げているのも、消費税増税の前提条件を整える目的があります。

この消費税増税導入の背後には、十数年に及ぶ財務省の強力な圧力がありました。財務省は、国内の景気動向や、95%が国内の投資家よって保有されておりしかも円建ての日本の国債は破綻しようがないという事実を無視して、増税と緊縮財政を押し進め、ひたすら財政を「健全化」させることに執念をもやしてきたという事実を、まずはご留意ください。

事実1: 財務省は、たとえ日本の景気を悪化させてでも、財政規律を守ろうとする。

景気が悪いときに、公共事業を減らして財政をきりつめたり、増税をしたりすれば、当然需要が減るため、景気はさらに悪化し、深刻なデフレを引き起こしますが、財務省は、バブル崩壊以来、世論や政治家に「このままでは財政破綻するぞ」と脅しや圧力をかけて、緊縮財政と増税を推進してきました。日本の景気が少しよくなるきざしを見せれば、増税をし、財政を削る。日銀も不自然なタイミングで金融緩和を解除する。財務省も日銀も、まるで日本の景気回復を阻害することがその指命であるかのように、日本のデフレを悪化させてきました。政治家も長くこれに加担してきました。

下は日本とアメリカの名目GDP(国による物価の違いを考慮にいれないGDP数値)の推移のグラフです。1995年までは、日本のGDPはアメリカの経済成長とほぼリンクしながら成長していたことがわかります。アメリカの人口は日本の3倍ですから、一人当たりの名目GDPでは、1990年代の前半に、日本はアメリカを抜いていた時期がありました。しかし、1996年にスタートした自民党の橋本内閣以降、日本は本格的にデフレに突入し、日本のGDPがほとんど成長していないのがわかります。

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下は国の公共事業予算の推移を表すグラフです。橋本政権以来、公共事業費が削られ、緊縮財政が継続されてきたことがわかります。

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事実2: 財務省(当時は大蔵省)の圧力のもと、消費税率引き上げと緊縮財政を導入した橋本内閣以来、日本の経済成長は停滞した。

橋本龍太郎氏は、2001年の自民党総裁選において、次のように語り謝罪しています。

「振返ると私が内閣総理大臣の職にありましたとき、財政の健全化を急ぐ余りに、財政再建のタイミングを早まったことが原因となって経済低迷をもたらしたことは、心からお詫びいたします。

そして、このしばらくの期間に、私の仲のよかった友人のなかにも、自分の経営していた企業が倒れ、姿を見せてくれなかった友人も出ました。

予期しないリストラにあい、職を失った友人もあります。こうしたことを考えるとき、もっと多くの方々がそういう苦しみをしておられる。本当に心のなかに痛みを感じます。」(2001年4月13日)

三橋貴明 『日本の大復活はここから始まる』より引用

橋本氏は、2006年に亡くなるまで「官僚に騙された」と後悔されていたと言いますが、政策の誤りを率直に認め謝罪した分偉かったと思います。しかし、当時、橋本氏に増税と緊縮財政を執拗に促した官僚や、経済学者はどうでしょうか。後に同じ過ちを繰り返すことになる小泉純一郎や、小泉人気に便乗した自民党の政治家たちはどうでしょうか。小泉劇場に踊らされて自民党を盲目的に支持した国民は、今誤りに気づいているでしょうか。竹中平蔵や飯島勲のような小泉劇場の立役者に、現在も要職を与えている安倍首相はどうでしょうか。確かに、安倍政権は、公共事業費を増やし、橋本政権以来の長い緊縮財政に終止符を打とうとしているかに見えますが、果たして、安倍政権は従来と異なる新しい方向を目指して歩き出したでしょうか。

次回に続きます。


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