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2012年12月31日 (月)

TPPと自民党(2)

案の定、まさに予測通り、安倍首相はTPPについて次のように発言し始めました。こちらの記事で私が指摘した通りです。

■TPP

 聖域なき関税撤廃という前提条件が変われば、当然参加ということも検討の視野に入ってくる。これは論理的帰結だろう。基本的には国益を守ることができるかどうかを考えて判断していきたい。日米は同盟関係だから対話ができるはずだ。まず信頼関係を構築し、安全保障においても強力な結びつきを復活した上で、考え方を大統領に率直に話していきたい。

上の記事は産經新聞とのインタビューからの引用ですが、そのインタビューの中で、安倍首相は大変立派な政策を掲げてくださっています。そして、たくさんのすばらしい政策の中に、安倍政権は、案の定TPP参加を織り込んできました。私たち、日本の保守はそれに対してきっぱりとNOを突き付けられるでしょうか。是には是。非には非を突き付けられるか。

宗教の信者が教祖を崇めるように、安倍首相を盲信していては、子々孫々に至るまで償うことのできないような過ちを私たちは犯すことになるでしょう。賛成できることには賛成し、賛成できないことには反対しないと大きな間違いを犯します。

私は安倍首相を全否定しているわけではありません。しかし、誰が言おうと、どんな立派な政治家が言い出そうと、だめなものは絶対にだめです。TPP参加は、絶対に実現させてはいけません。

小泉政権時、政権はマスコミはどのように世論の支持を煽ったか。

「小泉政権VS抵抗勢力」

という対立の構図を強調することにより、小泉政権を正義の政権として印象づけることによってです。そして国民の大きな支持を背景に小泉政権がやっていたことは実際には売国です。

安倍新政権はどのようにして世論の支持を集めているか。

「正義の自民VS売国の民主」もしくは「安倍政権VSマスコミ」

という対立の構図を強調することによって、安倍政権を正義の政権として印象づけることによってです。そして国民の大きな支持を背景にやろうとしていることは、TPPへの参加ではないでしょうか。

小泉政権がアメリカの意向に従ってグローバリズムを推進し、構造改革の名の下に日本の国内制度を改変しアメリカに利益を誘導したのと同じく、安倍政権は必ず政権のどこかの段階でTPP参加を強行してきます。

アメリカは財政の崖に直面しています。2013年1月から政府の歳出が法的に強制的に減らされることに加えて、2013年1月にブッシュ減税の期限が切れて実質的な増税となることにより、崖から落ちるように需要が減り景気が減速することが予測されています。アメリカ景気の減速は日本にも少なからぬ影響があるでしょう。安倍首相は2013年1月に訪米を予定していますが、彼がオバマ大統領と会見を行うのはこのような状況化であることを忘れてはなりません。彼は何かの手みやげをもっていくはずです。同盟国としても、アメリカの景気を支えるための協力は必要でしょう。しかし、それは国を売るような形で行われてはなりません。

繰り返しますが、私は安倍政権の全てを否定しているわけではありません。その政策の多くはよいものであり、日本にとって必要な選択です。特に国債発行による公共投資拡大はデフレ脱却に不可欠な選択です。しかし、TPPへの参加はその限りではありません。多くの人々が、安倍政権を妄信的に全肯定しているようでは、これを食い止めることはできないでしょう。

私がずっと疑問に思ってきたのは、アメリカの民主党政権は、国債発行による公共投資拡大などというデフレ脱却政策を、安倍政権にやらせるだろうかということでした。80年代の日米貿易不均衡に端を発する激しいジャパン・バッシング。アメリカに肉薄した日本のGDPは、当時の世論調査によれば、アメリカの人々に当時のソ連以上の脅威を与えたと言われています。90年代に、アメリカ民主党のクリントン政権は、強硬な手段を使って戦略的に日本経済の封じ込めを計ります。同時に中国経済との結びつきを深めていきました。失われた20年と呼ばれる長期デフレには、その背後にあったアメリカの戦略も大きく影響しています。

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その他ならぬアメリカの民主党政権が、どうして、今、安倍政権にデフレ脱却を認めようとしているのか。財政の崖という逼迫したアメリカの経済状況下で、デフレ脱却がTPP参加とセットになっているのならば、当然うなずけることです。アメリカは極端な需要不足にこれから直面していきます。全ての手を出し尽くし、需要を回復させる手だてはもはやアメリカに残されていません。日本のデフレ脱却を容認すると共に、日本をTPPに参加させることによって、その需要不足を埋めようとしている。そういうことではないでしょうか。万策尽きたアメリカの状況を考えれば、TPPに日本を参加させようと今後アメリカの強い圧力がくわわってくることが予想されます。憲法改正と、自衛隊の段階的国軍化も、アメリカの財政が、今後軍事負担の大きな軽減を必要としているという状況が背景にあるのでしょう。

仮に、万一安倍政権がアメリカの傀儡であって、アメリカのこのような戦略をなぞろうとしているのなら、それはそれでよいでしょう。この中には明らかに日本に有利な政策も含まれているからです。日本が独立を果たす大きなチャンスでもあります。私たちはこの状況を逆手にとるぐらいでなくてはなりません。必要なのは、日本に有利なことはどんどんやってもらう。しかし、TPPのように日本に不利などころか、日本の国の姿を大きく変えてしまうようなことは、絶対に安倍政権にやらせない。日本を守っていく上で私たちに求められるのは、賢明にその一つ一つの政策の是非を見極めていく政権への醒めた視線であり、盲目的な全幅の迎合ではありません。

しかし、同時に私たちが覚悟しなければならないのは、日本がTPP参加によってアメリカの経済を支えないとするならば、アメリカは、今後東アジアの軍事プレゼンスを減らさざるを得ない。そうすると、私たちはますます日本を自らの手で守らなければならない。そういう時代に本格的に突入していくということです。核武装も含めた選択肢を、現実的に考え始める覚悟をどれだけ多くの国民が持つことができるか。もはやモラトリアムが許されない状況に日本を取り巻く情勢はなりつつあります。

民主党政権が退き、一見すると私たちの圧倒的な勝利に思える安倍政権の誕生。その背後に実は綱渡りのような危険な状況が隠れていることに、どれだけの人たちが気づいているでしょうか。



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