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2012年12月 3日 (月)

「あった」と「なかった」の間

いつも、ニコニコにWJFの動画を転載してくださっているanifunkさんという方が、『慰安婦神話の脱神話化』第一部をニコニコ動画に転載してくださいました。

動画のコメントを読みますと、元慰安婦に向けられている罵倒の数々。

その中で「日本人自身がこの問題の争点を正しく理解していない」と書かれている方がいらっしゃいますが、コメントを拝見して同じ感想を持ちました。

「狭義の強制連行だけが強制ではない。就職詐欺や人身売買も広義の強制連行で、日本政府が悪い。謝れ。」という、吉見義明のような左翼系の立場。

「慰安婦問題に関して日本に向けられている非難はすべて根拠のないいいがかりであり、日本の慰安婦制度には何の問題も違法性もなかった」と主張しがちな日本の保守陣営。

どちらの立場も、慰安婦問題の全体像を正しくは説明していないと考えています。

しかし、同時に別の言い方をすれば、「慰安婦制度は問題があった」という主張と、「慰安婦制度は問題がなかった」という主張の、いずれの主張も正しいとも言えます。

慰安婦問題はそれほど複雑であり、安易な一般化を許さない重層的な構造をもった問題です。

また「志願か強制か」「強制はあったかなかったか」「慰安婦は性奴隷か否か」といった「あれか、これか」の二者択一の問いによっても、答えられない問題です。

この複雑な問題に関して、様々な事実は明らかにされてきたものの、「問題があった」という事実と「問題がなかった」という事実の二つを、総括し橋渡しするような、全体論的な理論化や体系化、一般人にも分かりやすいシンプルな説明が、専門家によっても十分になされないまま今に至っているという思いを強くもっています。

それが、この問題の紛糾にもつながり、海外においては、韓国のプロパガンダが付け入る隙を与えてきたと思います。日本人がこの問題を正しく理解していないとするならば、まして外国人が理解できるわけがありません。

国内での問題理解が一定の段階から先に進まず深まらないないまま、海外では韓国人が騒ぎ続け、外国人がありもしない話を信じ続け、それに対して一般人が、十分に練り上げられた理論武装もないまま、素手で対応してきたのがこれまでの現状ではないでしょうか。

『慰安婦神話の脱神話化』の制作を通して、大変悩んだのも、「問題があった」と「問題がなかった」という二つの事実を、いかに上手に橋渡しをし、問題の重層的な構造をシンプルにわかりやすく説明するかという点でした。

元慰安婦を罵倒することに関しては、韓国のプロパガンダを利するだけですので、日本人はもっと腹黒く計算だかくあってもよいと思います。

韓国人元慰安婦たちは演出家や興行主の意のままに動く役者に過ぎません。必要なのは、役者の演技に一喜一憂を示す観客のように振る舞うことではなく、この劇場型のカラクリそのものを見抜き、演劇の公演そのものを成立不能にさせることです。

YouTube版ののコメント欄にわらわらと現れている韓国人たちの気持ちを腹黒く想像するならば、彼らが嫌がっている点があるとすれば、それは、この動画が慰安婦に対する同情を一旦はっきりと表明した上で、演出家や興行主である韓国政府や活動家たちに非難の矛先を向けている点ではないかと思っています。この演劇の興行が継続できなくなることを彼らは恐れます。

今回の動画作りに大変参考になる視点を与えていただいたブログとしてあらためて、長年慰安婦騒動をねばりづよく観察し、分析されてこられた「続・慰安婦騒動を考える」を紹介させていただきます。慰安婦問題に関する韓国のプロパガンダに対応しようと取り組んでいらっしゃる方たちに、戦略作りのため、ぜひ参考にしていただきたいブログです。戦略とは、A地点からB地点にたどり着くのに、直線ルートを進むのではなく、いかに効果的な「迂回路」を見つけるかということだと思いますが、このブログは、特に慰安婦問題においては、「急がば回れ」の発想が必要であることを、また、結果の評価というフィードバックを通して戦略を絶えず進化させ洗練させていく必要性を、さまざまな事例の分析を通して教えてくれているように思います。




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コメント

占領地では、東京裁判に話をしぼれば、8件の検察側の資料が残されています。(判決で取り上げられたのはその中で中国における就職詐欺の事例のみですが。)逆にいえばたったの8件ですから、組織的、常習的、かつ無差別な女性の拉致など行われていないことは明らかですが、ここでむずかしいのは「強制はなかった」と言い切ることはできない点。

また占領地における動員の事例も二種類があり、あきらかな軍規違反として発生した事例と、万国の軍売春制度に内在的かつ普遍的な問題として、諜報防止や性病防止のために、現地の売春婦を管理下(regulation)におくという意図で行われたケース。後者は、第一次世界大戦中にも起き、現在でも米軍が韓国の基地周辺で「エンターテイナー」たちを管理下に置き、かつ性病にかかった女性をモンキーハウスに強制収容していたという問題が発生していますから、当然日本の慰安婦制度に固有の問題ということではありません。

このように複雑な慰安婦問題ですが、一般の人たちや海外の人たちに分かりやすい形で、これまですっきり整理されてこなかったことを強く感じます。そのために「慰安婦は高給取りの売春婦だ」とか「元慰安婦たちは強欲の嘘つきだ」といった大変おおざっぱな認識が横行し、その結果、日本人がこの問題に対して示すネガティブな姿勢が、かえって韓国のプロパガンダに有利な状況を作り出しています。

投稿: WJF | 2012年12月 3日 (月) 18時44分

確かに線引きが難しい問題ですね。
個人的な感覚ですが、
1)韓国が主張するような大規模な強制連行が、韓国で行われたということには論理的に無理があると思います。併合後の韓国や台湾似たいし、そんなことをすれば、日本軍全体が崩壊しかねないからです。すくなからず朝鮮半島出身者が軍の中にいるし、将校クラスも結構いたわけで、慰安婦の目的の1つが、占領地での強姦を抑制することであったことが正しければ、当時の国内でそんな危険なことをすることは考えにくいです。
2)強制は、慰安婦輸送が難しい状況で、現地で行われたと思っています。これは、軍令違反の範疇でしょうが、補給が出来ずに現地で強引に調達したのでしょう。ゆえに、フィリピンやインドネシア、中国等ではありえたかもしれません。しかし、全員というわけでもなかったと思います。
3)この問題のもっとも厄介な部分は、これを主張している韓国政府や挺対協などに、本当に慰安婦の人権を守る気がないということです。政治的利用と利権のための活動です。アジア女性基金から償い金を受け取った7人の元慰安婦は、社会的に弾圧され、転居などを余儀なくされています。本人の意思と関係なく行われている現在の活動は、元慰安婦が嫌がっていた"SEX SLAVE"を使い始めることで、70年余りを隔ててはいますが、セカンドレイプなのではと思います。

投稿: ednakano | 2012年12月 3日 (月) 18時25分

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