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2012年8月 1日 (水)

慰安婦問題はなぜ難しいのか

最近、総理大臣に慰安婦問題に関する意見表明を求める場面が国会審議の中で見られることがありますが、そのことの是非や難しさについて考えてみたいと思います。

政治家は、特に総理大臣のような立場の人々は、通常、物事をはっきりと選択し決断し、その選択と決断の内容を人々に分かりやすく説明することが求められています。あいまいな中間的態度を取ることは許されません。

しかし、そのような選択と決断を使命とする立場の人々が、慰安婦問題のような複雑な歴史問題について国際社会に向けて意見表明することを求められた場合どのようになるでしょうか。

選択を職務とする政治家が慰安婦問題について語るとき、次の二つのいずれかのパターンに陥りやすく、これまで実際に陥ってきたのではないかと思います。

A. 強制など「なかった」と主張して国際社会の反発を招く。
B. 強制が「あった」と認めて、謝罪に追い込まれる。

しかし、この二つのいずれも慰安婦問題に対する正しい対応であるとはいえません。慰安婦問題はあったかなかったかの二者択一で、割り切ることのできる単純な問題ではないからです。

慰安婦問題は、単に「あった」といっても間違いであり、単に「なかった」といっても間違いである、複雑で繊細な構造を抱えた問題です。なぜ複雑なのかといえば、事情はいくつかありますが、その一つの要因をあげるならば、この問題は単に「事実」問題ではなく、「意志」の問題であるという点が挙げられます。現在、まだ生きている元慰安婦が「それは私の意志ではなかった」と言えば、単なる事実問題とは異なり、その意志の真偽を外部の人間が証明することはできません。「意志」は「事実」と異なり、善悪の問題として論じることはできても、真偽の問題として論じることはできないためです。

慰安婦問題の扱いの難しさについて、『続・慰安婦騒動を考える』様が下の記事でわかりやすくまとめていらっしゃいます。
続・慰安婦騒動を考える: 慰安婦問題とは何か

現在、WJFプロジェクトが挑戦しているのは、これまで陥りがちであった、どちらに転んでも誤りとなってしまう「あれかこれか」という二者択一による問題の単純化ではなく、「強制はあったかなかったか」、「自主か強制か」、「売春婦か性奴隷か」といった二者択一の問いを超えた俯瞰的な視点で総合的、包括的に、しかも、なるだけわかりやすくシンプルにこの問題の説明を論理的に定式化することです。そして当然のことながら、韓国による慰安婦問題を利用した反日プロパガンダを論理的に成立不能にさせることです。このような定式化は、(WJFの知る範囲では)、これまで十分になされてこなかったことがらですので、WJFプロジェクトがこれに成功するならば、日本国に対する小さからぬ貢献になると信じています。

政治家が慰安婦問題を語ることの是非について、2007年、アメリカ合衆国下院121号決議が可決される直前に読売新聞に掲載された興味深いインタビュー記事がありますので、他の方のブログから引用し紹介させていただきます。マイケル・グリーン氏は、元米国国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長であり、アメリカ共和党きっての知日家でありながくブッシュ政権のブレーンを務めてきた親日家の方だそうです。

マイケル・グリーン氏に聞く 「慰安婦」歴史家に任せよ

(中略)

---米下院では、民主党のマイケル・ホンダ議員らが慰安婦問題で日本に公式な謝罪を求める決議案を提出し、外交委員会の小委員会で公聴会が行われた。

 「米議会がこの問題に関与するのは大きな間違いだ。特に外交委員会は、北朝鮮の人権侵害、台頭する中国の挑戦など、対応すべき問題が山積している」

---日本政府は公式に謝罪しているにもかかわらず、決議が繰り返し米議会に提出されるのは、なぜか。

 「韓国系の住民の多いカリフォルニア州出身議員らが推進しているからだ。反日、反米、親北朝鮮の民間活動団体(NGO)などが絡んでいることもある」

---自民党の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」が河野官房長官談話の見直しを議論しているのをどう受け止めるか。

 「仮に決議案が採択されたとしても、米国の日米同盟に関する政策に与える影響はゼロだ。米メディアの報道も今のところ低調だ。しかし、日本が反発すれば事態は悪化する。共和党や民主党の一部議員が、決議案の問題点に気づき、修正や廃案をめざして動き始めたが、日本の政治家が反発すると収拾が難しくなる。日米とも政治家がこの問題に関与すれば国益を損なう。歴史家に任せるべきだ」

---安倍首相は「(旧日本軍の)強制性を裏付ける証拠は無かったのは事実だ」と発言している。

 「安倍政権の外交政策、特に国連での対北朝鮮制裁決議採択や、中韓との関係改善に向けた首相の指導力は、ワシントンでも高く評価されている。ただ、慰安婦問題は、高いレベルが政治介入すればかえって複雑化する。強制性があろうとなかろうと、被害者の経験は悲劇で、現在の感性では誰もが同情を禁じ得ない。強制性の有無を解明しても、日本の国際的な評判が良くなるという話ではない」

---昨秋、下院で開かれた公聴会で靖国神社問題について証言し、日本の立場に理解を示したが、この問題では批判的なのか。

 「慰安婦問題で議会に呼ばれたら、残念ながら日本を擁護できない。靖国問題と慰安婦問題は違う。どの国にも戦争で亡くなった英霊に敬意を表す権利があり、中国に介入する権利はない。クリント・イーストウッド監督の映画『硫黄島からの手紙』がヒットしたのは、米国人だけでなく日本人の犠牲者に対する同情を呼んだからだ。しかし、慰安婦問題で同情されるのは被害者女性だけで、日本が政治的に勝利することはない」

2007年3月4日読売新聞紙面4面より 抜粋引用

上のマイケル・グリーン氏の意見とは異なり、きちんと海外メディアの反応を分析し、フィードバックを行い、従来のアプローチを修正し、戦い方をもっと工夫し洗練させていくならば、「日本が政治的に勝利すること」もいつか可能だと私自身は信じています。

しかし、私たちが従来の「あったかなかったか」の二者択一の枠組みによって、この問題を世界に語り続けるならば、

A. 強制など「なかった」と主張して国際社会の反発を招く。
B. 強制が「あった」と認めて、謝罪に追い込まれる。

この二つのパターンの間を行ったり来たりするのは必然ではないでしょうか。




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慰安婦問題」カテゴリの記事

コメント

ちょっとこじつけですが、文中の
>クリント・イーストウッド監督の映画『硫黄島からの手紙』がヒットしたのは、米国人だけでなく日本人の犠牲者に対する同情を呼んだからだ。

硫黄島といえば栗林大将ですが、お孫さんの新藤総務大臣。
私は知人に誘われて、毎週日曜川口の駅前で行っていた演説に行ったことあるし、動画、HPは頻繁にチェックしていたので、TPPは明確に賛成ではないがはっきり答えない、結局賛成派って事ですね、道州制に熱心では…ばっちり売国奴の条件を満たしていて悲しいです。

http://www.shindo.gr.jp/2011/11/232tpp.php
週刊新藤第232号 拙速なTPP参加表明に反対する理由~自由貿易体制構築に必要な戦略と戦術~

自民党のTPPは用意周到なTPPだから、参加OKなんですね?!と嫌味を言いたくなります。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121227/stt12122708480006-n1.htm
新藤総務相が道州制導入に意欲 法案提出時期は明言せず

http://www.news-us.jp/article/350689529.html
安倍自民が売国法案・道州制をこっそり提出!!維新とやってる事が同じな件「メリットあんの?」「あんまない」「自民党の議員立法は悪法が多いと思った方がいい」 日本解体・格差拡大政策がTPPと共に水面下で進む

お爺様は嘆かれているのではないですか…


WJFに新藤さんの記事はどの位出ていたのか自分が知りたくて検索したのですが、良いものが多いので貼ります

不可解な矛盾(1): 新自由主義的政権が反新自由主義と誤認されている矛盾
http://wondrousjapanforever.cocolog-nifty.com/blog/2013/02/post-fd9d.html
角を矯めて牛を殺す
http://wondrousjapanforever.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-85bd.html
国際司法裁判所単独提訴取りやめから窺い知れるもの
http://wondrousjapanforever.cocolog-nifty.com/blog/2013/01/post-88c4.html
WJF制作委員会: 慰安婦問題
http://wondrousjapanforever.cocolog-nifty.com/blog/comfortwomen.html
なぜ日本海呼称問題について「署名」をしてはならないのか
http://wondrousjapanforever.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-0292.html
日本人に署名を煽る韓国の新聞
http://wondrousjapanforever.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-b5e6.html

投稿: 朝顔 | 2013年4月29日 (月) 19時49分

竹島の帰属は何故ここまで 置かれたのか 日本政府は力には力で押し返す 対抗しなければ 裁判には成りません 負け犬の遠吠えです 世界の常識は 勝ち取ったものが正義なのです 大体人の家に勝手に住み込み私の物と言われて やれ裁判だの 何だのほざいても相手には 伝わりません 対抗せねば 日本人はそれも出来ないほど 腰抜け 腑抜けでしょうか 世界中の 人々から 笑われています 日本には男が居ないのではと どうせいないのならば 日本男子は去勢して オカマになるべし これも教育で腑抜けにされて おバカにさせられたのが 原因なのですが 私は63歳 韓国の男子の様に すぐ切れませんので 韓国の女子には人気があります しかし私より年下の若い日本男子にはあきれています どうにもならないおバカ ばかりですと

投稿: bunchan 水戸市東野町 | 2012年8月17日 (金) 21時57分

まず米国の慰安婦石碑を名誉毀損として告発しましょう。
20万人以上の少女や女性を強制的に拉致したと書かれた
大日本帝国軍人の家族は名誉を深く傷つけられました。
まずはアメリカの司法で事実と異なる、この彼らの虚言癖を利用するのです。

いかがでしょうか?

たかじんさんの番組で動画拝見しました。
英語版も先ほど拝見しました。
大変素晴らしい動画だと思います。

投稿: ぼたん | 2012年8月14日 (火) 14時29分

お疲れさまです。
この問題の紹介方法として、韓国の男性たちに虐げられている韓国の女性たちを解放するという方向から紹介するのは、間違っていますでしょうか。
特に世界中の女性に紹介するときに、どのような方法が一番誤解なく説明できるか悩んでいます。

投稿: ひで | 2012年8月 3日 (金) 11時05分

>「あれかこれか」を超えた俯瞰的な視点で、しかも、なるだけわかりやすくシンプルにこの問題の説明を定式化すること

大変だと思いますが、WJFさんならできると確信していますwink

よろしくお願いします!

投稿: 北米在住+ヨーロピアンズ | 2012年8月 1日 (水) 19時11分

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