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2012年6月 1日 (金)

アメリカの自治体制度

パリセイズ・パークになぜあのような慰安婦の記念碑が立ったのかを考えるときに、私たちは、日本とは全く異なるアメリカの自治体制度について若干の知識を持っておく必要があります。

日本の地方自治は、まず国を都道府県に分割し、各都道府県内を市町村を分割するという律令制以来のトップダウンの中央集権的な区分の方法によって成立しており、地方自治体がカバーしない地域というのは原理的に存在しませんが、アメリカでは事情が異なります。

50の州が独立した準国家的な統治体であるというのは言うまでもありませんが、州は郡に区分され、その郡の中に存在するアメリカでの自治体とは、NPOや市民団体のように住民が街(町)作りのために自発的な意志によって結成したり廃止したりできる自由結社であり、自治体の存在しない地域の面積がアメリカ全体の大半を占め、38%のアメリカ人は自治体に属さない生活を送っています。(自治体の存在しない地域では郡が行政サービスを行います)。半数の自治体は1000人以下の小さなコミュニティーであり、市長や市議も基本的にはボランティアです。市議会は多くの場合夜開かれる住民集会のようなものにすぎません。コミュニティーのルールに縛られず自由なライフスタイルを満喫したいアメリカ人は自治体のない地域で暮らすそうです。

慰安婦の記念碑が建てられているパリセイズ・パークは、日本ではパリセイズ・パーク「市」と訳されていますが、正確には「市」ではありません。「Borough(バロウ)」というアメリカのニュージャージー州だけに特有の自治体の一つの形態です。このBaroughも他のアメリカの自治体と同じく住民の自発的な意志によって結成された市民団体のようなものです。人口はわずか19,622人であり、51.5%が韓国系なのだそうです。(Wikipediaによると、アメリカの全自治体の中でもっとも韓国系の比率が高い自治体だそうです。http://en.wikipedia.org/wiki/Palisades_Park,_New_Jersey)

アメリカの地方自治の仕組みについては下のサイトに詳しく書かれています。
http://staff.aichi-toho.ac.jp/okabe/ronbun/jichius.html

日本の自治体のような中央集権的な上意下達の仕組みの中に組み込まれた政体ではなく、州からも連邦からも独立した「外部からの影響を排して、自分たちの意志で街作りをしていくための自由で自発的な市民結社」というアメリカの自治体の特殊な性格をを知った上で、パリセイズ・パークの慰安婦の石碑の問題に正しく対処する必要があると思います。日本のあきる野市や東大阪市が何かの石碑を建てるのとは若干事情が異なるということです。

このアメリカの地方自治の仕組みと理念を理解した上で、なおかつこの小さなコミュニティーの住民たちが自分たちの意志で建てたこの記念碑を取り除こうとするのならば、

1. パリセイズ・パークという「Borough(バロウ)」の住人となり、パリセイズ・パークの街作りに関する意思決定権を持つ。

2. パリセイズ・バークの住人(特に非韓国系)に正しい知識を温和で冷静なやり方で知らせていき、住人の中から、自発的に記念碑を撤去しようという声があがるようにしむけていく。

究極的には、この二つの地道で丁寧な方法しかないのではないかと思います。拙速な方法によっては、慰安婦問題に関する正しい理解がアメリカ国民の間に広まるどころか、日本人がアメリカ国民の民主主義を脅かしているような印象すら与えかねず、却って問題を紛糾させてしまうでしょう。

記念碑があるから取り除こうという二元的な発想よりは、柔道のように相手の力を逆利用して投げ飛ばすような発想が一層好ましいと思います。柔道や剣道には「理合い」という言葉があります。「ああすればこうなる」という戦術の自然な流れです。日本の武道では「理合い」に従って正しいタイミングに正しい技を繰り出すことが求められ、「理合い」を無視してただ腕力で強引に相手を投げようとしたり、負かそうとすることはたしなめられます。「理合い」に従って動くとき、相手をより効果的に「やわらかく」倒すことができます。「柔よく剛を制す」と言われる通りです。「剛」VS「剛」という力と力を拮抗させた対称的な布陣で戦うのではなく、「剛」VS「柔」という非対称な布陣で戦うことの大切さを日本人は伝統的に見抜いていました。慰安婦問題などの情報戦においても、日本人が編み出したこの武道の発想がもっと生かされていくべきだと思います。




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