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2012年3月25日 (日)

「一般的状況」と「個別的事例」

今回の慰安婦動画の中で制作側として評価している部分は、最後のこの結論部分です。

Conclusion

これまで慰安婦問題に関する議論が紛糾しがちだった原因の一つは、日本側の論証の仕方のなかにも、「個別的事例」と「個別的事例」をぶつけ合わせて「強制連行があったかなかったか」などといった「あれか、これか」の議論に陥りがちだった点にあったかのではないかと思います。

たとえば慰安婦の募集広告や、慰安婦がもらっていた高い給料などの「個別的事例」をかかげて慰安婦の強制連行説に反論しようとすると、これら日本側に都合のよい「個別的事例」によって、実際に女性が強制的に慰安婦にされていた、白馬事件のような日本側に都合の悪い「個別的事例」を打ち消そうとしているかのような誤解や悪印象を与えてしまいます。

朝鮮人業者による詐欺や、日本兵による規則の違反によって、女性が自らの意志に反して慰安婦になっていた「個別的事例」があったことも事実ですから、この論法では、日本が、自分たちに不都合な「個別的事例」を否定したり、隠蔽したりしようとしているような印象を与え、彼らに「日本は歴史を歪曲している」と批判する余地を残してしまうことになります。

しかし、

国家によって作られる「一般的状況」
個人によって作られる「個別的事例」

このように二つを明確に分けて論じれば、どんなネガティブな「個別的事例」を持ち出されても、「日本ははじめから規則を設けており、守らせようとしていました」で話は済んでしまいます。慰安婦に関する議論は徹頭徹尾、この「一般的状況」VS「個別的事例」という枠組みでなされなくてはなりません。

この動画では「20万人が日本軍に拉致された」という命題に対する、反対命題として「慰安婦は自主的な売春婦だった」という主張を結論に掲げませんでした。統合命題を掲げることにより、うまく、議論を「止揚」しているのがお分かりいただけると思います。

このようなことは、何も真新しい発見ではなく、これまでも分かっていたことですが、もっと早い段階から、このようにシンプルに図式化できていたら、もっと簡単に世界の人たちに理解してもらえたのではなかったでしょうか。

私たち日本人の対外的な「宣伝」の不器用さだけでなく、ディベートにおける拙劣さも、慰安婦問題を紛糾させてきた原因にあるのではないかと考えています。


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慰安婦問題」カテゴリの記事

コメント

たびたびすみません・・。

そのリンクを貼るのを忘れていました。
慰安婦Q&A
http://mixi.jp/view_community.pl?id=5973321


こちらですが、日本人の満州引き揚げによる性犯罪被害のことも少しだけ触れるなどしています。注意深く見ようと思っています。

投稿: 慰安婦検証 | 2012年4月22日 (日) 16時54分

Mixiのコミュのことでこちらに書くのはどうかと迷ったのですが・・。

慰安婦デモなどに参加する「左翼」の人達がこぞって参加している慰安婦Q&Aというコミュニティーで、「検証」している内容に、こちらの動画で触れられている様々な内容も含まれていました。

例えば、慰安婦は合法であったか?という問いに応える形式で、あらゆる情報を載せて
「軍と業者が一体となった犯罪であり、国家犯罪と言えます。
 売春は合法だった、などという言い分は、まったく通りません」

と結論付けています。

WJFさんが指摘されている点が、もし知らなかったらこれら韓国に都合の良い解釈法にうまくまるめ込まれることになりそうだった自分を救ってくれています。

こういう視点だけで語ることで日本人がこうした「左翼」的な考えを自分の考えとしてしまう事に歯止めをかけることが出来る貴重な資料として、WFJさんの情報をこれからも大切に見ていきたいと思います。

投稿: 慰安婦検証 | 2012年4月22日 (日) 16時51分

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